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アリーシャの変調とその正体【9】

 その後、カリーダが夕食の用意が整ったと言って部屋に入って来たのと、湯浴みの用意を済ませたパティが戻って来たのがほぼ同時だった。

 アリーシャの体調に考慮して料理人が用意したという料理は、どれも匂いの強い香辛料で味付けされておらず、生ものや肉、魚、卵などもなかった。また食べ物の臭いで気持ち悪くならない様に、料理を少し冷ましてから提供してくれたらしい。


 そんな気遣いに感謝しつつ、アリーシャは食べられるものだけ食べると、病院で処方された妊婦用の栄養剤を飲んで、パティに手伝ってもらいながら湯浴みをした。

 自分で身体を洗いながらも、ついつい膨らんだお腹と張っている胸に目が入ってしまう。足や背中、髪はパティに洗ってもらうと、病み上がりのアリーシャは長風呂になる前に出たのであった。


 用意されていた下着は妊婦用の下着ということで、お腹や胸を締め付けない設計になっていた。丁度、今身に着けていた下着が胸を締め付けて苦しかったので、妊婦用の下着を用意してもらえて助かった。

 妊婦用だけあって胸元が擦れてもさほど痛くなく、サイズも調整出来るとだけあって、身体に負担が掛からずに身に付けられたのであった。

 髪を乾かしてもらい、パティが用意してくれたレモン水を飲みながら雑談をしていると、緊張した面持ちのカリーダが部屋に入って来た。


「旦那様がお呼びです」


 カリーダによると、先程まで父は仕事で外に出ており、アリーシャが湯浴みをしている間に帰宅したとのことであった。


「お父さんが何でしょうか……」

「それは私も存じませんが……。ただすぐに来て欲しいとの仰せです」


 この屋敷に戻って来た日に頬を叩かれたことを思い出して、アリーシャが臆していると、パティがアリーシャの襟元を整えてくれながら「大丈夫です」と微笑んでくれる。


「きっと旦那様もお嬢様のことが心配なんです。急に倒れられて、お子を身籠られていると知って」

「そうでしょうか……」

「そうですよ。もっと自信を持って下さい」


 安心させる様に微笑むパティと顔を見合わせ、アリーシャも小さく笑う。カリーダに続いて部屋を出ると、父の部屋に向かったのであった。


 父の部屋の前に着くと、中に入る前にアリーシャは深く息を吸う。緊張で胸は激しく音を立てていたが、深呼吸をしただけで、少し収まった様な気がした。

 最初にカリーダが父にアリーシャが来た旨を話すと、即座に父から「入れ」と返される。カリーダに扉を開けてもらうと、アリーシャは顔を上げて「失礼します」と声を掛けてから足を踏み入れたのであった。

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