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祝いの品と仮妻の成長【6】

「それなら嬉しいです。クシャースラ様にも同じことを言われましたが、オルキデア様にも言って頂けて嬉しいです」

「アイツにも同じことを言われたのか?」

「この屋敷に移送……じゃなかった。お引っ越しをした際に」


 クシャースラに先を越されたのを知って、少しむっとする。

 最初にアリーシャと出会って、彼女を保護したのは自分なんだが……。


 そこまで考えて、オルキデアは我に返る。


(まただ!? 何を考えているんだ。俺は!?)


 まさかクシャースラに嫉妬しているのかーー先を越されて。

 アリーシャとは、一時的な関係を持っているだけに過ぎない。

 結婚を解消して、アリーシャがこの国での生活に慣れていったら、自分よりいい男と出会って、やがて結ばれるだろう。

 それまでは、自分がアリーシャを気にかける。ただ、それだけではないか。

 それなのに、一体何を考えているのかーー。


 一人慌てるオルキデアを不思議そうに見つめてくるアリーシャに気付き、咳払いをして誤魔化す。


「とにかく。君はもう一人じゃないんだ。誰も心配しないと言うな。それは君を心配する人間に対して失礼に当たるからな」

「はい、すみません……」

「謝るのもだ。君は何でも謝りすぎるところがある。……もう少し、自分に自信を持て」


 今までの扱いが扱いだったから、すぐに自信は持てないだろう。

 これからは少しずつ「自分」を持って欲しい。

 いつの日か、この国で、オルキデアの手が届かないところで生きていく日が来た時、周囲に負けず、強く生きていけるように。


「はい……」


 自信なさげに、けれどもはにかむように微笑むアリーシャに、またオルキデアの心臓が揺れる。

 一体、自分はどうしてしまったのだろう。

 そんなことを考えながら、上官が持って来た結婚祝いを黙々と片付けたのだった。


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