4話 1通のメール
「今日は、有り難うございました」
「いえいえ、おもてなしは、出来ないですがまた来て下さいね」
幼馴染が飛鳥に言う。
「いや、どこ目線?」
「……親?」
「疑問形なのね……まぁ、いいや。今日はありがとな」
「えぇ、こちらこそ有り難う。じゃあね」
飛鳥は、そのまま帰っていく。その後ろ姿を眺め、俺はふと思う。そう言えば、家に幼馴染以外の女の子入れたのは初めてだなぁと。
◆◇◆◇
俺は、パソコンを見ると。昼に見たメールを読み返し、メモを取る。重要な部分のみを取り、要約すると、スマホを取り出しRAILを開く。そして、飛鳥に送りつけた。要約文には、貴方と同じ様な現象に家の父もなっているかも知れません、今度、詳しい話をしたいので次の土曜日会いませんか? と書いてある。一見すれば、出会い厨の様なメールも俺に取ってみれば、大事な情報だ。
飛鳥から返信が来る。
『やっぱり、この人は何か知ってそうですね。会ってみるのが吉かと』
『俺もそのつもりだ』
『他には、何か書かれてませんでしたか?』
俺は、それを見ると、メールを読み返す。そして、見逃していた一文を見つける。そこには、PSと書いてある。[PS,貴方のお母様が居なくなってから、同い年の子が来ていませんか? 多分、今だと幼馴染と呼べる様になってるはずです]
◆◇◆◇
「お、おはよう」
「あ、おはようございます。意外と速いんですね」
「意外は余計だ。それよりも、どう思う?」
「正直……昨日言った通り分かりません。でも…ここの高校じゃ無いってのが引っかかりますね。今度、行ってみますか?」
「あぁ、それも手だなぁ。ただ、あそこは完全女子校で男が校門を見るだけで、怒られるって噂があるんだよなぁ」
「私も聞いたこと有りますよ」
「お、遊。なーに、女子といちゃついてるんだ。お前には、奥さんが居るだろ」
俺は、後からの悪意を腹への、ストレートパンチで返す。
「おぅふ。今日も、ナ、ナイスパンチ」
「おはよう。変態野郎」
「変なあだ名で呼ぶなよなぁぁぁぁぁ。ちょっと来い」
俺は肩ごと捕まれ、飛鳥から少し離れた所に連れてかれる。
「な、な、な、何だあの美少女は」
「お前も思うのか……俺の目は腐ってなかったんだな」
「そんな事よりも。あの子は誰だ?」
「昨日、図書館で会ったんだよ。飛鳥って子。1個下の子だぜ」
「そうか。サンキュ」
すると、タブレットを噛み飛鳥の元へ行く。
「やぁ、飛鳥たん。俺は、待鳥 いつき好きな物は、君の笑顔だ。よろしく頼む(イケボォ)」
いつきは、手を出し握手を求む。
「あぁ……はい。よろしくお願いします」
飛鳥は、握手を無視する。
「うぅ。悲しい」
俺は、そんないつきを置いていく事に決め込み、学校に入って行った。
◆◇◆◇
「なぁ、遊。飛鳥たんはどんな子何だ?」
「あぁ? 自分で聞いて来いよ、丁度この下だぜ?」
「ほぉ。興味深い」
いつきは床に耳を付けると、目を瞑る。
「ここじゃないな」
そんな事を言うと、体をずらす。
「お前、気持ち悪いな。そんな事より、飯食おうぜ?」
俺は、鞄から弁当を出す。勿論、幼馴染が作った物だ。
「また愛妻弁当なのか?」
「死にたいのか?」
何時も通りの茶番を繰り返すが、何時もとは違う事も起こった。
「ねぇ、女の子があんたの事呼んでたよ?」
「女の子?」
「そうそう。ほら」
俺を呼んできたクラスの女子は、教室のドアを指差す。そこには、飛鳥が居た。
「おぉ。飛鳥たん」
俺より先にいつきが反応すると、飛鳥の元へ走った。
「どうしたんだい? 僕に、会えなくて悲しくなってしまったのかい(イケボォ)」
「い、いえ……遊先輩に話があって…」
飛鳥と目が合う。すると、飛鳥は助けを求めるように、目で訴えた。そのままにするのも面白そうだとは思ったが、今回は助けてやる事にする。
「おい、いつき。お前は、関係無いってよ」
「えぇぇぇぇ。そ、そうなの?」
「は、はい。いつき先輩は……」
◆◇◆◇
「んで、話って何だ?」
俺は、飛鳥に連れられ、今は使われなくなった校舎の1部屋に来ていた。もうすぐ、壊すらしいが、その話が出てから半年位はたっただろう。
「えぇ、実はその品城高校の件何ですが」
「あぁ品城か……」
品城高校は、朝も話に出た完全女子高だ。幼馴染も通っている。
「あそこの学校を調べてみたんですよね。すると、これ見てください」
飛鳥は俺にスマホの画面を見せてくる。そこには、品城高校のパンフレットが乗っていた。過去の物だろう、2枚ある。内容は、1枚目が、今年から共学にしました。2枚目がやっぱり共学止めましただ。そして、1枚目が発行されてから2枚目が出るまでは数年だった。
「……ん? この年って」
俺は、その年数に見覚えがあった。
「母さんが、高校に入ると時か?」
「はい、そうなんです。確か、お母様の高校ってここでしたよね?」
「あぁ。何か……臭うなぁ」
「えぇ、何かある気がします」
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