3話 図書館
ポヨン
俺は、通知のなったスマホを鞄から探しだす。
「えぇ、なになに。拝啓、泊内遊様……サイトか」
通知は、俺が運営している人探しのサイトだった。俺は、来たメールを注意深く確認する。しかし、目新しい情報が無いと確認するとゴミ箱に入れる。
◆◇◆◇
俺は、自転車の鍵を抜くと鞄に突っ込む。俺は、日課の図書館に来ていた。いつもの机を見ると人が居た。昨日の美少女だ。彼女の読んでいる本は俺が昨日読んでいた、母さんの居なくなった時代に発行された事件をまとめた本だ。
俺は彼女に見惚れていると、ふいに彼女に見られる。俺は、逃げるべく後ろを振り返る。
「待って」
「え?」
「だから、待ってって」
「あ、あぁ」
俺は足を止め、彼女の方に行く。
「あ、貴方は……悲しい?」
「えっ?」
不思議な子。それが、俺の第二印象。
「か、悲しいって何が?」
「お母さんが居なくて」
「悲しくは無い。どこかに居るから」
俺は正直に答える。いつもの俺なら嘘をつくだろう。それもそうだ。親は死にました。でも、どこかで生きています。なぜなら遺体も見た事無いし、何となく確信しているからです。こんな事を言うえば、大体の人間は引くだろう。それに、口ぶりからして知っていると思ったからだ。
「どこかに?」
「あぁ」
「貴方のお母さん探し手伝って上げる」
◆◇◆◇
「つまり……お母さんはどこかに居るって事ですか?」
「あぁ。と言うか、俺のノート見たんじゃないのか?」
「筆記術ですよね? 癖が強すぎて、殆ど分かりませんでした。ただ、私も良く使うのでギリギリ理解出来ましたよ。」
「そ、そうか」
「それで、当てはあるんですか?」
「当て?」
「お母さんを探す当てですよ。作戦立てましょう」
「1つ良いか? なんで俺の相談に乗るんだ?」
「なんでって……私、お父さん居ないんです。私が産まれてすぐに離婚しました。だから、お母さんの事凄く好きなんです。それなのに……お母さんが居ないなんて」
泣いているのか? 薄っすらと涙を浮かべている。彼女は、心優しい。それが第三印象。
「そうなのか……ありがたく、その手伝い受けさせてもらうよ」
「当たり前じゃないですか」
彼女はそう言いながら、笑顔を作る。
「まずは、情報を教えて下さい」
「情報? そりゃ、これに全部書いてあるぜ」
俺は、鞄からノートを取り出す。メモ帳代わりに使っている自由帳だ。勿論、速記術で書いてある。
「速記術の奴ですよね? さっきも言いましたが、殆ど読めませんし読むの大変なんです」
「あぁ、これはメモ替わりの奴だから。家に纏めた奴がある」
「じゃあ…家まで取りに行きますよ? 今日中に纏めて明日返します」
「なら、家に行くか」
「はい」
◆◇◆◇
「そう言えば、名前も聞いてなかったですね」
「そうだな。俺は泊内 遊。低床高校の3年だ」
「え、低床高校なんですか? 私も低床の2年の森 飛鳥って言います」
「へぇ、学校同じだったんだな。まぁ、この辺ならあそこが安牌だな。よく、図書館行くのか?」
「行きますね。私、本を買うのって勿体ない気がして。だから、図書館で読むんです。あそこは、静かで良いですよね」
「うん。どんなの読むんだ?」
「うーん、最近読んで面白かったのは……”死して尊い”ですかね」
「あ、あれ読んだのか? 面白かったよなぁ。なんか、主人公のセンスとかさぁ」
「おぉ、わかってますねぇ。私はヒロインの女の子のポンコツが好きなんですよねぇ。なんて言うか…可愛い」
「あぁ、分かるわぁ。あ、あれは読んだか? ”雨雲、君を思ふ”」
「それは読んでないでないですねぇ」
「と、そんな事を話しているうちに到着」
飛鳥は、玄関の前で止まる。
「あれ? 来ないのか?」
「え、入っていいんですか?」
「あぁ、別に良いけども? なんでだ」
「いやぁ、年頃の男子の家に急に押しかけてしまったので……色々とねぇ」
「ねぇよ、そんなもん。ほら、とっとと入れ」
俺は、鞄から鍵を取り出し刺す。しかし、回そうとも感覚が伝わらない。まさかと思い開けてみると扉の鍵がかかっていなかった。
「ん? 誰か居るのか」
俺は、飛鳥が入るのを確認すると、鍵を締め中に入る。すると、奴が居た。幼馴染だ。
「おかえりなさい。遊君」
幼馴染と、飛鳥の目が合う。
「こちらの方は誰ですか〜? あ、私お邪魔でしたかね」
急に幼馴染の口調が代わり、うざったらしくなる。
「知り合いだよ。ちょっと上に居るな。すぐ、出るから」
「いえいえ、いいんですよぉ。何時間居てもらっても。あ、それとも出かけた方が良かったですかぁ〜?」
俺は、無視して階段を登り2階に上がりかけるが、後ろで固まったままの飛鳥に声をかける。
「ほら、飛鳥も」
「え、あ、う、うん」
飛鳥も俺の後ろを付いて歩いてきた。
「取り敢えず、その辺適当に座っといてくれ」
俺は、そのまま1度自室を出ると1階に戻る。客人に何も出さないのも失礼だろうと思ってだ。確か、菓子ぐらいならあるはずだし
「あれ、もう終わったんですか?」
「いや、一様もてなそうと思ってな。菓子とか無かったか?」
「あぁ、有りますよ。遊君は先に行ってて下さい。私、持ってきますね」
「そうか。じゃあ頼むな」
俺は、幼馴染に頼むと。そのまま自室へと戻る。中に入ると飛鳥が本棚を漁っていた。片手には、”雨雲、君思ふ”と”婦人のジュースで1杯”が持たれている。
「持ってくか?」
「え、あ。勝手に見てすいません」
「別に、良いよ。それよりも、はい、これな」
「例のノートですか。へぇ、びっしり」
ピコン
通知が来る。俺は、パソコンを確認すると通知を見る。一通のメールだ。俺は目を通し驚きを隠せないまま、飛鳥にも見せた。
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後1点。
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