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初めての採掘!

 いやいや、流石に折角のVRで炭鉱労働なんてしないでしょ。というかそんな要素無いでしょ流石に。フレーバーだよフレーバー。

そう思って私はネットで「UP 金策 炭鉱」とかいうワードで適当に調べた。


「出たわ……」


 嘘でしょ。しかもUPの金策ランキングで結構な上位に来てるじゃん。嘘でしょ。

いやでも流石にさ、炭鉱労働が今できる金策の中で最上位ってことはないよきっと。もうちょっと詳しく見てみるか……。


 えっと……メリットは初心者でもできること。運が良ければ結構なゴールドになるアイテムが手に入ること。デメリットは疲れること。連続してやるのはしんどい。景色が変わらなくて飽きる。


 …………あれ?

これさ、私にピッタリじゃない?

なんせ私、初心者だし。それに並大抵のことじゃ疲れないし、別に飽きもこない人間だから……。


 ……や、やってみっか。

たのもー!


「ん?お嬢ちゃん……その目は、炭鉱で働きたいって目だな?」


 私は適当にそれっぽいNPCに話しかけた。合ってた。

大柄で髭をやたらめったら生やしたおじさんが、ツルハシ片手に私の内心を見抜いてくる。


「は、はい。うっす、そうっす」


「なに、緊張すんな!大丈夫。やることは簡単だ。ツルハシを持って、振る!これだけだ」


「ら、楽そうですね」


 私は適当に相槌をうつ。

あ、でもしまったな。私炭鉱で労働するのに必要なアイテム何も持ってないぞ。どうしよ。

そう考えてると、おじさんは笑顔で私にツルハシを差し出してきた。


「今ならツルハシとかの必要な道具も無料で貸し出してる。やるか?」


「やります!」


 そういうことになった。



――――


[『石のツルハシ』を入手しました]

[『普通のカンテラ』を入手しました]


【注意:これらのアイテムは借用品です】


――――



[「炭鉱第一層」へ入場しました]


 私は今トロッコに乗って採掘最前線まで移動している。

そしてマジでおじさんはカンテラとかツルハシとかの必要な道具を貸し出してくれた。お優しい。使い潰すか。


 とはいえ、この採掘には少々面倒な仕様があった。まあまあやることが制限されるタイプの仕様だ。

私はあのおじさんとの会話チュートリアルを思い返す。


 おじさんは語る。


「採掘には人手が足りないからな。冒険者にも手伝って貰ってるんだ。だが、ただ鉱石を掘ってもらうだけじゃ人は来ないだろ?」


「まあそうですねぇ」


「だから、こっちで指定した鉱石以外は持ち帰ってもらっても構わないことにしてる。要するに、こっちが石炭を指定してれば鉄鉱石とかは持って帰っても良いんだ」


「え、マジ?」


 それが本当だったらかなり滅茶苦茶な操業してるよね。

……まあ、これゲームだし多少無理矢理でも納得するしかないかな。別に私はその辺気にする人間でもないし。


「おう。マジだ。それと注意点だが、鉱石を指定する時ついでにその個数も決めさせてもらう。つまりノルマだな。それより多く掘ってくれば超過分は持って帰っても良いことにしてるが、問題はそれより少なかった場合だ」


「首に仕掛けられた爆弾が起爆するとか?」


「いやそれはないが。ま、ただ罰則金が発生するだけだな。でも、これは結構重いぞ。入場料よりも遥かに高い額だ」


「え、入場料とかあるんですか」


 アミューズメントパークかよ。そうキレそうになって私の意識は現実へと引き戻された。

その時はおじさんの説明で納得したけどさ、やっぱおかしいでしょ。炭鉱そんなアミューズ要素無いじゃん。

まあ結構入場料は安かったけどさぁ。それと今乗ってるトロッコ結構楽しいけどさぁ。


 そう考えていると、トロッコが停車する。……で、こっからどうすれば良いんだろ。

そうまごまごしていると、NPCっぽい人から話しかけられた。


「お、新顔だね。この辺りは今採掘中の場所だから、適当にその辺りからまっすぐ掘っていってくれ」


 その人は私の右側の壁を指差す。なるほど、そういう感じね。


「分かりました」


 私は了解して、早速壁を掘り始め……っと、スキルを設定しないと。

私は振りかぶったツルハシを一旦下ろし、スキル欄に【採掘】スキルを設定した。


 このゲームは2つスキルを持つことができて、街とかの安全地帯なら好きに変えられる。

2つだけだと少ない気がするが、実際はその2つのスキルにそれぞれ6つの補助スキルを付けられるらしい。それで差別化を図るとか。

ま、私は補助スキルなんて何も無いんですけどね。


 という訳で採掘開始!行くぞ!


 私はツルハシを振り上げる。結構重いが、堪えられない程ではない。

そのまま壁に向かって振り下ろす!


 ガコッ、と音を立てて壁が一気に崩れた。

うーん、大体縦1m横1mの範囲かな。奥には10cm程しか掘ることができてないけど。


 ……にしても。ツルハシの重さ、結構堪えるな。

現実ならそうでもないんだろうけど……このUPの世界って、始めた段階のキャラクターの筋肉量は一定なんだよね。つまり現実の体の筋肉量と差異ができる。


 逆に筋肉が増える人も多そうだけど、私は減る方だった。

勿論、上手く動けなくなるなんてことにはなっていない。今まで普通だったし。

でも、それが問題になってくるのはこういう時だ。


 ……ま、うだうだ言っててもしょうがない。やるか。


 私はツルハシをもう一度振り上げた。そして振り下ろす。


 ガラララと小気味よい音を立てて、壁が崩れる。二回ほど壁を掘ったが、特にアイテムの入手は無い。どうも石とか岩はアイテムとして手に入らないっぽいね。じゃあどこに行ってるのかって疑問はあるが。まあ大方虚空に消え去ってるんでしょ。気にするところじゃない。


 私はもう一回掘る。

うん、パッと見地味だけど結構楽しいぞこれ。


 さて、その調子で十回程掘り進んだ時。私は、足元に何かが落ちたのを確認した。

……んん?あっ、これ手動で回収なんすね。私は落ちた真っ黒い物体に触れる。


[『石炭』を獲得しました]


 そう通知が小さく流れ、私のインベントリの中にアイテムが入った。

やったぁ。初めてのアイテムゲットだ。

あっやばい、結構嬉しい。この地中で何かを掘り当てたという事実がこれほど嬉しいとは思わなかった。

もっと掘るか。


 私はもっと掘った。

そして大体もう十回程掘った時、急に何かの音が鳴り出す。何事かと音の鳴る方を見ると、なんと私が掘ってきた坑道の天井に崩落を防ぐためのはりが設置されていた。

あー、これ梁は自動設置か。楽で良いわ。助かる。


 ……よし。この辺で仕様の確認は大体終わったと見える。

後は掘り続けるだけだな。行くぞ!



――――


[【採掘】のレベルが2になりました]


[【採掘】のレベルが3になりました]

[補助スキル〈疲労軽減〉レベル1を習得しました]


[『石炭』を18個入手しました]

[『硬い鉱石』を5個入手しました]

[『硬い鉱石』を3個入手しました]


――――



 うーん、かれこれ25分くらいは掘ったな。にしても25分しか掘ってないにも関わらず腕がパンパンなんだけど。なるほど、これがネットで炭鉱労働がキツイキツイ言われてる原因か。


 そして、幾つかの鉱石を入手すると同時にスキル【採掘】のレベルも少し上がった。一回掘るごとの採掘範囲が(奥行きだけだけど)4cmくらい伸びてるような気がする。

補助スキルは……とりあえず設定しとくか。気休め程度な気もするけど。

 で、えっと……おじさんから課されたノルマは『石炭』を10個だったっけ。別にもう帰っても良いんだけど、この炭鉱アミューズメントパークだからなー。勿体ないよね。できるなら可能な限り掘り尽くしておきたい。


 という訳で採掘続行です。

腕がパンパンで持ち上げる度に悲鳴を上げてるけど、そんなの気にしなかったら無いのと同じだ。筋肉量こそ常人レベルに戻されたけど、疲労とか筋肉の痛みとか苦痛に対する耐性は据え置きだったし。行けるっしょ、余裕余裕。


 という訳で私は肉体が限界を迎えてから10分程、更に掘り続けた。


[【採掘】のレベルが4になりました]

[補助スキル〈梁強化〉レベル1を習得しました]


 それから。


 痛みを紛らわす為に何も考えず鼻歌を歌いながら掘っていると、ツルハシが突然ガギィンと鈍い音を立てて弾かれる。

えっ何?ツルハシ手からすっ飛んだんだけど?反射バリアか何か?


 そう思って、私はツルハシを突き立てた部分を見る。

……んん?この辺りだけ白いぞ。ちょっと触ってみるか。


 私は触ってみた。ツルツルだった。しかもよく見たら変な模様が付いてた。


 ……いやぁ、これは。

どっからどう見ても人工物ですね。


 いや早いな~。まだ【採掘】レベル4なのに変なの掘り当てちゃったか~。

己の才能に恐怖を感じる今日このごろだったが、とりあえずその周りを掘ってみることにした。

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