1年生12月:生誕祭(3)
終業式後、女子4人でお疲れランチ会ってことで王都に出た。
わたし以外の3人はそのまま自宅に帰るので、バッグがちょっと大きい。
リリカのオススメカフェでパスタをオーダーすると、チーズやニンジンが星形にアレンジされていた。
(なんだかクリスマスみたいね。)
フォークにひと巻きして頬張ると、さすがオマール海老のクリームソースは濃厚で。
(美味しっ‥!)
「アリス、それ美味しいでしょ?」
リリカがちょっとドヤ顔だ。
「うん、とっても。」
「ふふっ、アリスってほんと素直よね。」
「アリス様、笑顔が尊いです‥。」
イマリとスーザンからも突っ込みがくる。
「えっ、わたしそんなわかりやすい?」
「まあキャサリンほどじゃないけどねー。」
リリカがオーダーしたピザをひときれずつみんなの小皿に分けてくれた。
「アリスもクラスでもうちょっと普通に喋ったら? わたしたちといるときみたいに。」
「だよね~、わたしとは最初からこんな感じなんだけど。」
「それはイマリが話しやすいから‥。」
「毅然としてるアリス様も素敵です!」
スーザンはどういうフィルターをわたしにかけているんだろう‥。
「あの、アリス様は生徒会に入らないんですか?」
あ、それ聞きたかったんだ。
「生徒会長っていつベリアルに決まったの? 」
イマリとスーザンがリリカを見つめて、説明役が決まる。
「生徒会役員はね、生徒会長を選挙で決めてから他の役員を会長が指名するの。で選挙は現会長の指名した人と立候補者でするのね。現会長が続投を希望すれば現会長と対抗馬で選挙なんだけど。」
ふむふむ。
「ペンタグラム杯の後、ウォール会長がベリアルの指名を公表したら、他の立候補者が出なかったのよ。」
「え、なんで?」
「2年主席が1年主席を後継者に指名して、割り込む勇者はいないわよ。」
「エリオスって主席なの!?」
「アリス、もうちょっと学園内のこと興味持とうよ‥。」
「『エリオス』呼びってやっぱりアリス様と生徒会長は‥。」
「エリオス先輩ね、せ、ん、ぱ、い。」
「そんな隠さなくても、けっこうな噂よ?」
「噂?! どんな噂?」
まあまあとリリカが話を切り替える。
「今日のダンスパーティーの衣装、持ってきてくれた?」
「え、うん。リリカに言われたとおり一式持ってきたわ。」
「じゃあこれ食べたらね。パーティー4時からだから、ちょっと急ぎましょ。」
スイーツの盛り合わせがきて、わたしたちはしばらく無言でケーキを堪能した。
リリカに連れていかれた美容室で衣装一式チェックされて、髪とメイクを整えられた。
リリカ曰く、『アリスって加減わからなそうだから』と。
ちょっとサンタコスプレみたいなワンピースを準備してたんだけど、意外に好評をもらえてほっとした。
「ねえ、リリカはわたしのこと恨んでないの?」
「キャサリンのこと?」
美容室を出るときに、やっぱり気になって聞いてしまった。
「前に『感謝してる』って言ったわよね?」
「そう、よね。」
「キャサリンと初めて離れてわかったけど、わたし『支える』ことが好きみたいなの。」
ピン、とおでこを指で弾かれた。
「わたし、アリスをキャサリン以上に磨いてみせるから。」
「ええっ。」
「キャサリンに勝ったんだから、ダリアでもっと活躍してくれないと困るの!」
ああ、リリカは本当に。
「キャサリンが大事なのねぇ。」
「違うから、あんなわがままお嬢様、しばらくひとりで反省したらいいんだから!」
「もう、そんな照れなくても‥。」
「それより、かなり可愛く仕上げたんだから、ちゃんとパーティー楽しんできなさいよ!」
「ええ、ありがとう。キャサリンによろしくね。」
それから寮に一度戻ると、3時過ぎになっていた。
バッグをパーティー用に替えて、靴もパンプスにしないと。
少し部屋でくつろぐ時間がとれそう。
「あ、おかえり。」
ロビーを通り抜けるときに、ベリアルに声をかけられた。
「待ってたんだ。ちょっといい?」
共用スペースの談話室に誘われる。
「帰ってきたばかりなので‥。」
「ごめん、すぐ済むから。」
ベリアルにしてはちょっと強引‥困ってる?
「わかりました。バッグを部屋に置いてすぐ降りてきますね。」
数分後、談話室に入るとホットカフェオレが2つ準備してあった。
「よかったらどう?」
「ありがとう。いただきます。」
お礼を言うとベリアルがほっとした表情を浮かべた。
談話室にはわたしたちしかいない。
「アリス、4時からの生誕祭パーティーに出るよね?」
「ええ、ベリアルも出るのでしょう?」
「うん。それでアリスがもし誰とも約束がないなら‥俺と一緒に行ってもらえないかな?」




