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1年生7月:臨海学校(4)

臨海学校2日目は、島の大半を占める山間部での薬草採取兼魔物討伐。

島の魔物はレベルEまでしかいないことが確認されている。


地図と昼食を持って、安全のために研修所へ転移できる帰還の腕輪と救難合図用の笛を装備して、班ごとに探索を行う。

討伐1位の班には夕食時に肉追加、と男子が盛り上がっている。

今夜は海岸でバーベキュー&キャンプファイヤーだ。


昨日の肝試しの洞窟からさらに上へ登る。

地図だともう少し登ると、伝染病に効くレアな薬草が生えているはず。

ただし付近にキメラの巣があるので注意しないといけない。

キメラは今子育ての季節で、母鳥の気がたっているらしい。


沢の上流、水がきれいな所に薬草が固まって生えていた。

白い小さな鈴なりになった花が目印。

根っこを乾燥させて粉にすると、ほぼインフルエンザの特効薬になるそうだ。


「失礼しまーす。」

薬草採取セットから木製スコップを取り出して、そーっと花を掘り出す。

根っこごとビニール袋に入れて、麻袋に詰める。


「採るのは半分までなー。」

レナードが辺りを警戒しながら声をかける。

この薬草はまだうまく栽培できないらしく、定期的に採取して薬をストックするそう。

「水に秘密があるのかな?」

手をひたすと、冷たくて気持ちがいい。


グガアッ、グガアッ、グガアッ


ん? 鳥の鳴き声?

声がする方、木の根もとで草が繁っているその中に、鳥の雛がバタバタしていた。

小さいけど尖った嘴、カラフルな頭部の羽、鱗状の茶色の皮膚、ギョロリとした目玉。

うわあ、キメラの雛だ。

じゃあこの木の上に巣があるはず。


「ベリアル、ちょっといい?」

キメラの雛をベリアルに見せる。

「多分上に巣があると思うの。『飛行フライ』で見てもらえないかな?」

「ああ、任せて。」

フワリとベリアルは浮かぶと、木の上のあたりを見てきてくれた。

「あっちの木に巣があったから届けてくるよ。」

自分の麻袋を一度空にして、その中に雛を入れてもう一回浮かび上がる。

前に一度一緒に浮かんだけど、あの魔法使えたら素敵だろうな。

「届けてきたよ。」

「ありがとう、ねえ。」


「『飛行フライ』はどうやって覚えるの?」

「あれ、知らないの?」

ベリアルはスラックスのベルトを指す。

「『飛行フライ』は魔道具だよ。」

「えーっ?」

じゃあわたしでも使えるってこと?

「適正検査に通れば、少し訓練して使えるようになるよ。学園でできるからハンス先生に相談してみたら?」


午前中は薬草採取をして、沢の側でみんなでお昼ご飯を食べる。

5人で輪になってるけど、なんとなくリリカとタッドの距離が近いような気がする。

リリカはキャサリンと別行動でちょっとのびのびしてるみたい。


研修所で配られたお弁当は唐揚げ弁当だった。

美味しいけど、卵焼き食べたいな。


「マーカーさんはオレンジ好き?」

左側からレナードが聞いてくる。

「俺苦手なんだ。よかったら食べてよ。」

答える前にわたしのお弁当にのせてくれる。

「ありがとう。」

「どういたしまして。」

レナードがわたしを見つめてる‥いやいや、気のせいだよね。


「班長、おつかれさまです。」

「なにも疲れることなんかないよ‥でも最初にマーカーさんがいなくなったときは焦ったかな。」


ああ昨日そんなことがあったなぁと、もう怒りを忘れかけている自分にびっくりする。


「オマールくんはアーチャーさんと同じ班よね‥。」

「キャサリン? また何か迷惑かけてる?」

「そういうわけじゃないけど‥彼女に嫌われてる気がして、わたし何かしたかしら?」


「ああ‥。」

レナードが苦笑する。

「彼女とは中等部から一緒だけど、自分より目立つ女の子に絡むとこがあってさ。」

「わたしほとんど魔法使えないし、アーチャーさんの方が凄いと思うけど。」


「「それ、本気で言ってる?」」


レナードと、なぜかベリアルの声がハモった。

「ベリアル、聞いてたの?」

「聞くもなにも、一緒にご飯食べてるんだからいいだろ。」


ベリアルは空っぽの弁当箱に蓋をして、元気に立ち上がる。

「さ、昼からも1位目指して頑張ろうぜ!」


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