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1年生7月:臨海学校(2)

もう、スタート最悪‥。

臨海学校に合流できたのは2時間遅れだった。

目が覚めるとハンス先生に倉庫に閉じ込められていたと言われ、理由を聞かれたけれど曖昧に誤魔化したらやんわりとお説教された。


『君が気にしないからと放っておいて、もしエスカレートしたら彼女にもよくないと思わない?』

『アリーナのときみたいに、他の人が巻き込まれたりするかもしれないよ』

妙に真面目なハンス先生に、すみませんと謝るしかなかった。


土曜日のベリアルとのことで頭がぐるぐるして、今日もぼんやりしていて、リリカにトイレに誘われてそのあとよく覚えていないとか、なんたる不覚‥!


船のデッキで右拳を握りしめてリベンジを誓う。

女の子を殴るわけにいかないけど、何か仕返しを考えよう。


島に着いて研修所に荷物を置いてすぐ、海岸で魔法訓練中のみんなに合流する。

「アリス、良かった!」

イマリがかけよってハグしてくれる。

「心配かけてごめんね、暑さで倒れちゃって。」

「もうっ、気をつけなきゃダメよ。」


海岸ではそれぞれ魔装具を使い、海に向かって攻撃魔法の練習をしていた。

思いっきり攻撃魔法を使えることは珍しい。

補助系魔法の生徒も、攻撃系の生徒に魔法をかけてその効果を実証している。

「みんな、魔力が空になるくらいまで撃ち続けてねー。」


魔力空までって、わたしの魔力9,999ならどれだけ使えるんだろう。

‥まあ、治癒魔法しか使えないので試しようがないけど。


わたしはまた倒れるといけないから、と岩の側に立てたパラソルの陰で見学させられていて、とても退屈。

元凶のリリカはわたしを完無視して海に魔法を放っている。

彼女が得意なのはキャサリンと同じ氷系の魔法。

海の表面が広範囲にパキッと凍り、波で砕ける。

魔装具は扇の形をしていた。


なんだかキャサリンよりお嬢様っぽくない?

リリカの父親はアーチャー商会の重役らしく、リリカとキャサリンは小さな頃から一緒にすごしているそうだ。

学園でキャサリンのサポートに徹しているけど、結構実力者じゃないのかな。


レナードのゴーレム化魔法も魔装具で強化されて、ゴーレムが大きくなっている。

タッドの得意な雷撃魔法は、杖を装備したことで神の裁きみたいな雰囲気になっている。

ベリアルは炎を剣状にしたり槍状にしたり鞭状にしたり、威力を試している。


‥みんないいなぁ。

わたしの魔装具『聖女の護印』は結界魔法を発動するペンダント、『聖女の刻印』はナックルに変化する指輪だ。

このナックル、どれくらい破壊力あるのかな。

右手に魔力を集中させると、薬指の指輪は人指し指から小指までの間接を覆う銀色のナックルになる。

ちょうど真ん中あたりに浮き彫りされた十字架の紋様。


「ふうー。」

立ち上がり、岩に向かって足を肩幅に構える。

呼吸を整えて、右手の拳を肩の高さで水平に繰り出す。

「はっ!」


『正拳突き』

わたしが一番得意だった、基本技。


背の丈ほどの大きな岩は一瞬で砕けて、ざらざらと砂の粒で小山ができた。


「わぉ‥。」

粉々かい。

これ、人を殺せるレベルじゃない?


ステータスをチェックすると、MPが10減っていた。

さらにステータスをよく見ると、『武闘技:聖拳突』が増えている。

武闘技って魔力を消費するスキルのようなもの?

これ、技を増やすにはどうしたらいいんだろう。

せっかくならわたしも魔物と戦えるようになりたい。


「すごい音したけど、どうした?」

ベリアルが様子を見にきて、岩の残骸を見てひゅうっと口笛を吹いた。

「こんなに粉々なんて、超音波とか出てそうだな。」

「ベリアルは武闘技を使える?」

「武闘技か‥。」

ちょっと思い出すようにしてから首を横に振る。

「技を何千回と練習しないと武闘技まで認定されないからな。」

そういうものなんだ。


うん、なにか嬉しいな。

前のわたしが認められた気がした。


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