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1年生6月:迷宮(1)

朝6時に制服で学園入口集合と言われて、土曜日なのに5時起きで支度して、小雨の中20分も歩いて正門に着くと、外に馬車が待っていた。

レインコートを着た御者さんに手招きされて馬車に乗ると、ハンス先生とベリアルと、なぜかエリオスが座っている。


「じゃあファンさん、出発してくださーい。」

ハンス先生とエリオスが並び、わたしとベリアルが並んで座っていて、わたしの目の前にはエリオスの王子様スマイル。

目的のダンジョンまで馬車で1時間ちょっとくらいかかるそう。

入坑の手続きが朝7時からで日帰りしたいので、こんな早い集合にしたとのこと。


「緊張してるみたいですね?」

「ひゃあっ!」

膝上で握りしめていたわたしの手を、エリオスがそっと握りしめる!


「まだ入学されたばかりでダンジョン攻略は不安と思いますが、貴女に危険が及ばないようにきちんとお守りしますからね。」

安心してくださいねとはにかむ笑顔は、薄暗い雨模様も吹き飛ばして空が晴れそうな破壊力。

近いけど馬車の中で逃げようがない!

恥ずかしくて手を引っ込めようとしても、わりときっちりホールドされている。


「あっ、あのっ、あのっ、どうしてウォール先輩が!」

「エリオスと呼んでくださいと。」

「大丈夫、魔物は俺が全部引き受けます!」

話を途中で割って、ベリアルがエリオスの手の上から自分の手を重ねる。

「ウォール先輩が修行に集中できるよう、俺たちがご迷惑にならないようにしますから。」

ベリアルは強引にエリオスの手をわたしから引き剥がし、男同士の握手にもっていく。


「‥青春だねー。」

「ハンス先生、眺めてないで説明してください。」

「マーカーくん、魔鋼のとれるダンジョンがウォール公爵家の管理だって知らないのー?」

知りません、初耳です。


これから行くダンジョンは、もともと銀の採掘場だったところに聖都崩壊のごたごたで魔力が流れ込み、魔物が発生するようになってしまったそうで。

銀は魔力との親和性が高く、坑内の銀が魔鋼化してしまった。

で、銀山の持ち主がウォール公爵家で、魔物の流出を防ぐため普段は入口に結界を張っている。

中に入りたい人は入坑料として銀貨3枚、魔鋼を採掘した場合は重量の3割をウォール公爵家に払うことになっている。

レベル上げの魔物退治に手頃なので、冒険者たちに人気だとか。


「ウォールくんのレベル上げに協力って形にすると、入坑料も魔鋼の手数料も無料になるんだよねー。」

「それ、エリオス先輩はいいんですか?」

「ハンス先生が同行してくださると戦闘リスクが減りますから、お互いによいお話ですよ。」

ウィンウィンってこと?

「なんで学園の魔鋼じゃダメなんですか?」

「それはランスくんたちの魔石の力とつりあう量に足りないからだよー。もっと純度の高い魔鋼じゃないと魔鋼の量が多くなっちゃってうまく合成できないねー。」


「‥ハンス先生、さすがに説明しなさすぎではありませんか?」


エリオスからの突っ込みにもハンス先生はへらへらっと手を振る。

「ちょっと調べればわかることでしょー。今日は僕が付き添うから大丈夫だけど、どんな魔物が出るとか、有効な魔法とか、前もって調べとかないと死ぬよー。」

パーティーの戦力とかね、と。

「着くまであともうちょっとかかるから、お互い協力したら?」


年長者から、とまずエリオスから話すことになった。

「改めて、エリオス・J・ウォール、レベルは30。土属性がレベル7、水属性がレベル4まで。メイン魔装具は、」

腰の革のホルダーから出てきたのは黒いリボルバー式の銃だった。

「貫通力が高く、また魔法弾を打ち込むこともできます。」

王子様だから華麗に剣を振るうとこを想像してたんだけど、まさかのヒットマンスタイル?


「ウォール先輩は結界が得意ですよね。」

「ランスくんとは話したことないと思うけど?」

エリオスとベリアルの雰囲気が悪いようなのは気のせいかな?

「まあ結界というか、魔法で盾や壁を作っての銃撃戦がメインスタイルです。」


地味でしょう、とわたしに自嘲するので力一杯首を横に振る。

「そんなことないです、レベル30なんて凄いです!」


そう、攻略キャラのレベルは重要だ。

魔王を倒すためには最低50は必要、できれば60ほしい。

「ありがとう、貴女に誉められると照れてしまいますね。」

真正面から笑顔を向けられてわたしの頬がぽっと赤く染まる。


「俺はベリアル・イド・ランス、レベル23、火系魔法オンリーで属性レベルは6、魔装具はこれから作るところ、炎を剣にするか打撃にのせる近接スタイル、はい次アリスね。」

ベリアルが早口で一気に言ってわたしに振る。

なんだか機嫌悪い?


「アリス・エアル・マーカー、レベルはまだ10です。治癒魔法のレベル10で」

「「レベル10!?」」

2人の驚きの声がハモった。


「え、何か‥?」

きょとんとしてしまったわたし。

「魔法の属性レベルは10が上限と言われてるんだよねー。だーかーらーさぁマーカーくん、それは秘密って言ったよねー。」

ハンス先生から面倒そうに突っ込みが入る。


「そこからわかってなかったかー。ほんと君、常識足りないよねー。」

すみませんっ、なにかいろいろ知らなくてすみません!


「まあマーカーくんは治癒魔法しか使えないから、男子2人でちゃんとサポートしてねー。ほら、もう着くよー。」


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