1年生6月:魔装具(3)
翌日からクラスメイト達は次々と魔装具を製作していった。
魔力が染み込んだ魔石は取り込んだときより二回りくらい大きくなり、色も変化していた。
右手に魔石、左手に魔鋼を握って魔法陣の中に立ち、闘う自分をイメージすると自分に一番ふさわしい魔装具が合成される。
できた魔装具は校舎地下の練習場で試すことができるので、わたしはイマリにくっついて地下練習場にいる。
イマリの魔装具は細いレイピアだった。
レイピアの刃に風の魔法をまとわせ、かまいたちのように打ち出すことができる。
攻撃力を高めたかったイマリが、魔物を切り裂くイメージで合成した結果だ。
スラッと背の高いイマリがレイピアを振る姿はとてもカッコいい。
「『風刃』!」
イマリの放った風の斬撃が木の的をすっぱり斜めに切り裂く。
「これならオークの皮膚も切り裂けるかな?」
わたしはうんうんと頷きながら、魔石の出てこない右手を握ったり開いたり。
3日過ぎても、わたしの魔石は出てこなかった。
今日は魔石を取りこんでから4日目、クラスでまだ魔石が出てこないのはわたしとベリアルだけになってしまった。
魔装具授業はもう製作から実地練習に進んでしまっていて、わたしは昨日からずっと地下練習場でみんなの練習を眺めている。
「ナイスシュート!」
キャサリンが的の中央を射抜くとそこから発生した氷が木の的を氷漬けにし、それにリリカが拍手をしている。
キャサリンの武器は蒼い魔石が煌めく半月状の弓だ。
「これいいわー、すっごく軽い!」
バトンのようにキャサリンが弓をくるくる回して喜んでいる。
「みんないいなぁ…。」
わたしも武器がほしいなぁ。
スカッと華麗に魔物をやっつける自分を想像する。
こうスパッと正拳突きからの回し蹴りをー。
「アリスー。」
回し蹴りの真似ごとの右足がベリアルの顔を掠めた。
「白。」
白?
「ハンス先生が俺たち呼んでるから、上戻って。」
そう言うと私の手首をつかんで歩き出す。
「わ、ちょっとお待ちを、」
「すぐ連れてこいって言われたから。」
「ええっ、イマリ、一度失礼しますねー。」
1年A組に行くのかと思ったら、美術準備室に連れていかれた。
中で落ち着いた雰囲気の美人女性が待っていて、誰かと思ったらジョーイ先生だった。
すぐにハンス先生も入ってくる。
「あれ~、ジョーイ先生マジモードですねー。」
「おだまり。」
あのジョーイ先生、キャラ変わってますけど。
「マーカー、右手を出して。」
言われたとおりに差し出すと、ジョーイ先生が両手でわたしの手のひらを包み、
「『分離』」
びりっと体を魔力が通り抜ける。
「さ、これで出てきたから。」
ジョーイ先生が握り拳くらいの大きさの桜色の魔石をわたしの手のひらにのせた。
なかなかの重量で、天然石の原石みたいな感じだ。
同じようにベリアルも魔石と強制分離させられた。
「手のひらより大きいと自動分離できないみたい。」
ジョーイ先生がわたしたちの魔石をぺたぺたさわりながら調べている。
わたしの魔石は綺麗なピンク色、ベリアルの魔石は深い赤色だった。
「このレベルに合わせられる魔鋼は学園で使っているのじゃ無理よ。ハンス先生なんとかして。」
「はいはい、だから僕も呼んだんでしょー。」
ハンス先生はプリントをわたしとベリアルに渡した。
「質の高い魔鋼は、聖都近くのダンジョンで入手するしかないんだよねー。」
『入坑申請書』
『わたしは自己の意志でダンジョンに入坑し、中での被害(人的・物的)については一切の責任を負担し、ダンジョン管理者に何ひとつ請求しないことを誓います。』
こういう文書、前世でもあったな。
バンジージャンプとか危険なことするときに書かされていた。
それぐらいダンジョンって危ないってこと?
「明日はちょうど土曜日だし、2人でパッと行ってパッと魔鋼をとってこようねー。」
…ん? 2人で?
ベリアルと2人で遠出するってこと?!




