表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
122/339

1年生3月:進級テスト(3)

魔法学園はもちろん魔法を学ぶ場所だけど、各学園それぞれに方針がある。

ダリアの校訓は『対魔』、すなわち『魔物に対抗できる魔術師の育成』を柱としているため、攻撃魔法の講座、講師陣が手厚い。

2年生からはダンジョン実習が組まれるので、それに見合う実力があるか推し測ることが学年末テストの目的だ。


2日間の実技テストは、初日は個人技、2日目はチーム力の試験だ。

初日の結果を元に、最大で4人のチームを組んで召喚魔物の討伐戦をする、と聞いていたのだけど。


「‥名前、無いし。」


朝からアリーナに集合して、貼り出されたチーム表にわたしの名前が無い。

一応、A組からE組まで見たけどどこにもない。


「アリスは誰と一緒?」

わたしはイマリに首をふるふるしてみせる。

「名前が見つからないの。」

「アリス、ここにあるわよー。」

リリカの指したところを見ると、配置図の中に『本部救護班 アリス・エアル・マーカー』と書かれていた。


「あ~、マーカーくん見つけた~!」

ハンス先生がわたしを指差しながら走ってきた。

「早くこっち来て!」

尋ねる隙もなくハンス先生に引っ張られて、アリーナ中央の本部テントに連れていかれた。


アリーナには4つのステージが組まれていて、対抗戦を思い出させるレイアウトだ。

その真ん中の本部テントで、わたしは白衣の養護教諭と並んで座らされる。

「あの、わたしの試験は?」

「マーカーくんが入っちゃうとテストにならないんだよね~。」

は?

「ほら、『聖域サンクチュアリ』とかもう無敵だし、生徒の実力関係無く討伐できちゃうじゃん?」

ハンス先生の説明は、まあそうかもしれないど。

「一番最後にマーカーくんの個人戦を予定しているから、それのまで救護班の手伝いをしてて。」


「‥はい、わかりました。」

なんだか仲間外れにされたみたいで面白くないような。


そうしてE組から試験が始まった。

召喚された魔獣1体にチームで攻撃をしかける。

チームの標準は、前衛アタッカー1人、後衛バックアタッカー1人、防衛ディフェンダー1人、補助サポーター1人の4人構成。

ダリアではアタッカーの割合が多いので、アタッカー3人+ディフェンダー1人、となることが多い。


「『魔力上昇マジック・ライズ』!」

「『炎槍フレア・ランス』!」

今回の攻略対象は大型の熊型魔獣『グリズリー』。

厚い毛皮が攻撃を吸収する、獰猛で防御力が高い魔物だ。

制限時間3分のうちに倒そうと、どのチームも積極的に攻撃を展開していた。

時間内に倒しきれないとタイムアップになってしまうが、難易度レベルCの魔物を時間内に倒せるのはB組くらいからだった。

というか、B組の気合いが凄い。


「今年は確実に1人、A組に上がるからね~。」

ハンス先生は手元の資料にチェックを付けている。

「ああ、今の子がB組トップかぁ。まあ悪くはないかな。」

途中でキャサリンが退学になっているから、A組は1人分空きがある。

「A組からB組に落ちることってあるんですか?」

ハンス先生はわたしに振り向くと、笑顔で宣言する。


「実力次第だからね、当然あるでしょ。」


A組になると、全チームがほぼ一撃でグリズリーを退治していく。

ベリアルのチームは息を合わせたアタッカー3人の同時攻撃で、グリズリーが跡形もなく消滅した。

ちなみにアタッカーの攻撃直前に、サポーターがグリズリーの動きを停める魔法をかけている。


「うん、試験の趣旨をよくわかってくれて助かるよ。」

ハンス先生の資料が気になるけど、さすがに覗きこむわけにいかない。

ほとんど怪我人が出なくて、わたしはテントから眺めているだけで、A組まで全チームの試験が終わってしまった。


「よし、じゃあマーカーくんの試験を始めようか。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ