3話 紅蓮の神父
今日はマオにこの国を案内するために海軍基地がある港町ハルジオンに来ています。もちろんリソラは護衛のためについてきております。
「あれがこの国一番の漁港アマゾネス港。あれがレガヴィ教の教会」
マオは真剣に話を聞いている。見るのが初めてのものばかりで目を輝かせてるいるのが印象的だ。
「あそこにあるちっぽけな家みたいのが海軍お得意にしている病院」
「あそこの院長はすごく優秀な男で最年少20歳で医師免許をとったらしいですよ。」
たわいのない話をしながら歩いているから結構な時間がかかってるけどすごく充実した日だ。俺達はそう思っていた。でも、昨日の忠告を心に留めておけばなって思っている。あの後赤髪の男が現れるまでは.....
*
「やっと見つけだぜ。俺の運命のレール外のものを。やはりあいつが隠していたのか。」
どこからか声がする。遠くで姿は見えないけど赤い髪の男。くそ、今はリソラがいないのに。
「下がっていろ、マオ。あの人から危険な匂いがする」
「うん」と言ってマオは俺の後に下がった。これでいい。あの人から見える殺気が恐ろしい。こんな時にリソラがいれば.....そんな事考えても無駄だ。今はこの状況を打破するのが先決だ。
「何者だ?お前は」
赤髪の男はこちらにどんどん近づいてくる。そしてある程度の距離まで来て立ち止まり叫んだ。
「俺はだな、お前らの大佐が言っていた『紅蓮の神父』様だよ。俺はお前の後ろにいる女____運命のレールから外れた存在に用があるんだよ」
赤髪の男はさらに続ける。
「俺の引いた運命からそる事は許さない。運命には従わなければならないんだ。だからそこの女には消えてもらおう」
などと言って、襲いかかってきた。両手には小さな丸いたまを持っている。
「お前達に恨みがないがこの爆弾で消えてもらうぜ。」
やつが持っているのは爆弾だ。ここで爆発されたら俺達だけではなくほかの人にも被害が及ぶ。でも、今の俺にはあいつを相手に出来、マオ守り抜く力がない。どうすればあいつを退かせることが出来る?____ そう考えている間にもあいつはどんどんこちらに近づいてくる。絶体絶命のその時、俺達の前に何者かが立ちふさがる。立ちふさがった人物を見てあいつは驚愕の表情を浮かべた。
「全く、不殺生が教義の一つであるレガヴィ教の神父様が一般人を殺そうとするなど____頭のネジが抜けているんじゃないんですか、アカリ」
「チッ、なぜお前がそいつらを庇うんだよ。リソラ、お前は俺のことわかってくれるんじゃなかったのか」
俺達の前に立ったのはリソラだった。リソラはあの赤髪の男をアカリと言っていた。どうやら顔見知りらしい。
「わかっている。だから止めるんだよ。それに彼女がいたらこちらとしても特にしかならない。」
アカリと言われた男と話す時、リソラの口調は砕けていた。よほど仲がいいらしい。
「しかしだな、これでは俺の引いた運命のレールが.........」
「あえて外させるんだよ。そうしたらなりを潜めていた革命軍が動き出すかもしれない。そしたら陸軍大佐としては今日的と出会えて嬉しいでしょう」
赤髪の男は一息つくとそういうことならと言ってこちらに向かって、何かを決めた表情になる。
「さっきは突然襲いかかって悪かったな。俺はアカリ。さっきリソラが言っていたがレガヴィ教の神父であり同時に陸軍の大佐でもある。」
陸軍____リソラが言っていた。この国では海軍と陸軍。二つの国を守る軍があると。この人は本当に信じてもいいのか。さっきまで俺達に殺意を向けてきたやつだろ。そう考えていると今までずっと黙っていたマオが口を開いた。
「私はあなたを信じる。だからあなたも私を信じて」
「うん、いい子だ。リソラがそばに置いているのもわかる気がする。だから君のこと信じる。俺の誇りにかけて誓うよ。」
あの人は本当は優しいんだ。海軍と陸軍は仲が悪いって聞いたけど、あの人とリソラは仲がいい。こうして分かり合えることは重要なことだよ思うよ。
「そうだ、リソラ。俺、今日から海軍に滞在するわ」
突然あの男は思いついたようにそんなことを言った。当然俺達は驚く。
「は?なんで?」
リソラは呆れたように問いかける。当然だ。突然そんなことを言われたんだから。
「俺、親父や陸軍のおえらいさん達ともめてきたし。それに君たちといた方が楽しそうだからね。」
あの人もしかしてすごく楽観的な人なのか。こっち見てウインクしてきたし。
「それと俺の『運命』によれば俺とお前達は一緒に戦う運命だから。てな理由でこれから宜しく」
「「えええぇえええええええええええ」」
あたり一面に俺とリソラの声が響き渡った。俺達の平和な日々はあの赤髪の男____アカリによって狂わされた。でもまだ俺達は知らなかった。あいつらとの出会いで俺達の運命も狂わされることに。
To be continue