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 おまけ② 【 メンドクせ― 】

     おまけ② 【 メンドクせ― 】





















  夜な夜な現れる謎のサーカス団の団長、ジャック。

  特徴的な緑色の耳を隠すサラサラの髪の毛に、紫色の瞳は不気味な組み合わせだ。

  一通り、なんでもサーカスは出来て、いざとなればジョーカーの役目でもあるピエロでさえもやってのける、天才肌というか、天才だ。

  寿命勘定をする仕事を請け負っており、また、他のプライベートな相談にも、たまに、極稀に、時々、乗ってくれる。

  サーカスの事は厳しく、心が幾つあっても足りないくらいに折れる言葉を浴びせるが、意外とそれ以外のことに関しては適当でもある。




  ―CASE1 相談者アイーダ

  「でね、アヌースってとっても男らしくて、でも母性本能をくすぐるところもあって、私、どうしたらいいのか分からないの!!!どうしたらいいのかしら!?アヌースの存在は、私を狂わせるのよ!!!愛してやまないの!ああ、アヌース!」

  弟に愛を捧げる姉に対し、面倒臭そうに一言。

  「詩人にでもなれ」


  ―CASE2 相談者アヌース

  「異常なんだよ。俺にとって脅威なんだ。いつもいつもストーカーされて、気が狂いそうなんだ。この前も、風呂入ってるときに視線を感じたら、天井から覗いてたんだ。大体、実の弟の裸なんか見て、何が楽しいんだ?得なんか無いだろ?小さいときも、あいつがあんなんだから、女の子から声をかけられても、邪魔されるし。もういっそのこと、縁を切ったほうがいいのかって思うけど、それを機に、逆に“折角他人になったんだから”とか、なんとか言いながらまた襲って来そうで」

  すでに人間でいうところの“うつ状態”なのでは、と思う弟に一言。

  「二人して漫才でもしてろ」


  ―CASE3 相談者ジョーカー

  「でさ、なんていっても、ピエロの魅力って悲しいのに笑ってることでしょ?あ、話は変わるんだけど、小さい頃、ピエロって怖い存在じゃなかった?ドナルドさんだっけ?彼とか、テレビに出てくるだけで恐怖を感じたね。もう、この世の終わりかと思ったくらいに。実際に自分がピエロになるなんて思って無かったけど。誰かさんの意向でなっちゃっただけだけど。で、何の話だっけ?あ、そうそう。この前のマジックの最中、もっと大掛かりなマジックもやってみたいなーって思ったわけ。だから、助手が欲しいんだ。誰が良いと思う?器用なのは、キ―ラとかルージュかな?やっぱり女の人が助手っていうのが良いのかな?観客としてはどうだと思う?」

  久々に徹夜をしたジャックに対し、長々とどうでもいい話をしたジョーカーに対し、鼻で笑いながら一言。

  「あー、そう」




  寿命を取った客が帰ると、ジャックはすぐに勘定をする。

  ここで時間がとられるのは、いたしかたないことなのだ。

  基本寿命として五年、これは決まっていることなのだが、需要なのはここから幾年分の寿命を取るのが最良か、というところだ。

  あまり取り過ぎてもいけないし、足りなければ自分達が生きていけない。

  客が幸せだと思っていた分、実際幸せだった分、不幸だと思っていた分、実際不幸だった分に加え、不幸からどれくらいプラスとして幸せだと感じたのかを調べるのだ。

  単純に、それだけを計算できる機械など無いため、客のこれまでの人生を調査し、さらに、ここからどのくらい生きる予定があるのかなども、査定しなければいけない。

  そのため、サーカスに関してはとてもシビアになっている。

  それが分かった上で、ジャックに暇つぶしで相談してくる者もいる。




  ―CASE4 相談者エリア

  「この前買った化粧品なんだけど、肌に合わなかったみたいで、見てよここ。すっごく荒れちゃったー。それに、これからの季節、乾燥するでしょ?保湿クリームとか加湿器とか欲しいわけ。でも、私達ってそういう普通のお金ってなかなか手に入らないでしょ?でも、どうしても欲しいのよ。何千年歳になっても、女性は美しくありたいものなのよ」

  ジャックの部屋には鏡がないからか、自分の部屋にある大きい鏡を持参し、肌や髪の毛を眺めながら話すエリアに一言。

  「地下水でも掘って水分補給してろ」


  ―CASE5 相談者マトン

  「・・・・・・」

  「・・・・・・」

  部屋に来ても滅多に話をしないマトンには、特に文句を言う事も出来ない。

  だが、逆に気が散るというか、部屋に来るなら来るで何か話して欲しいものなのかもしれない。

  ちらっとマトンを見ても、マトンはぼーっと明後日の方向を見ているだけ。

  「何しに来たんだ」

  「・・・・・・部屋が暑いから」

  どこの部屋にもエアコンなどというものはついていないため、ジャックの部屋に来ても暑さや涼しさは何も変わらないはずだ。

  だが、マトンは一向に出て行こうとしない。

  「俺の部屋にいても涼しくはならないぞ」

  「・・・・・・うん。でも、ジャックが近くにいるっているだけで、なんとなく寒気がくると思って。けど暑かった」

  「どう言う意味だ」

  「帰る」

  「おい待て」

  あまりにマイペースなマトンに、ジャックはため息も出なかった。


  ―CASE6 相談者ケント

  「真面目な話なんだけど」

  「なんだ」

  部屋に入ってきて、いつものにこやかなケントではなかったため、ジャックも真剣に話を聞こうと思っていた。

  「俺、最近目立っていない気がするんだ」

  「・・・・・・それだけか」

  「重要なことだよ。俺はみんなよりも一足も二足も先にこのサーカス団でやってるっていうのに、ジョーカーとか双子とかの方が目立つってどうなのかな?ジャックの一言でどうにかなることなんだから、もっと俺の出番を増やしてよ」

  「無理だ」

  「俺のファンが泣いちゃうよ」

  「安心しろ。お前にファンはいない」




  そんな日々の中、ジャックにはささやかな楽しみがあった。

  あまり出ることのないテントの外に出て、少し歩いた場所にある木陰でのんびり昼寝をすることだ。

  ごろん、と横になると、身体全体を包み込む風が程良く気持ちいい。

  普段は机の上で資料と睨めっこを繰り返しているだけだからか、こうして自然と触れ合うことがない。

  どんどんと消えて行く自然は、警告とばかりに人間に被害をもたらす。

  コンクリートで埋められようとも、力強く下から芽を出して、太陽へ太陽へと伸びて育っていく。

  目を瞑れば、感じる木々の鼓動。

  時間の感覚などとうの昔に忘れてしまったが、なんとなく一時間くらい経ったころ、ジャックは目を開けて身体を起こす。

  肺一杯に新鮮な空気を取り込むと、ゆっくりと立ち上がってテントに戻る。

  「ジャックー、どこに行ってたんだよ!!!探したんだぞ!」

  「聞いてよ!またルージュとエリアが喧嘩して」

  「こ、この前の、お、お話で」

  「これ見てよ、似合うと思わない?」

  「いい加減、俺はアイーダから解放されたい」

  「駄目よ―!!!絶対だめーーーーー!!!」

  帰った途端に一気にきた仕事に、ジャックは思わずため息を吐く。

  だが、その表情には穏やかさがあった。

  「まったく。世話の焼ける奴らだ」

  頭をかきながら自室へと向かい、みなに向かって一言。

  「これ以上、仕事増やすんじゃねーぞ」




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