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太平洋の突風  作者: 鶴岡
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一式戦艇・マーリン

 1942年2月末のマレー作戦大勝利に沸き立つ中、一式戦艇に思わぬ役割が舞い込んできた。

 マレー半島の制圧により、大量に鹵獲したロールス・ロイス製マーリンXXエンジンと高オクタン価航空ガソリンの実機性能試験である。


 なぜ一式戦艇なのか?

 それには幾つか理由が有り、

 まずマーリンエンジンの形状に適合する機体であること。要は水冷V型エンジン搭載の機体であること。これだけで日本陸海軍航空機の9割が除外された。

 そしてマーリンエンジンが発揮する1000馬力超に耐えうる機体であること。この2つ目の条件をも満たす機体が一式戦艇だけだったのである。

 そういった経緯で東京飛行機にマーリンエンジンが送られ、マーリンエンジンに換装された一式戦艇が隅田川に浮かぶ運びとなったのだ。


 そして性能試験の結果、最高速力640km/hという超高速を発揮し関係者の度肝を抜いた。

 急降下速度に至っては800km/hに迫って機体が異常振動を起こし、急造のエンジンカウルが風圧で吹き飛ばされながらもなんとか減速と機体の引き起こしに成功するという肝を冷やすような事案まで起こしたのだ。

 これら試験の結果、陸海軍はイギリス空軍がこのような高出力エンジンや高オクタン価ガソリンをハリケーンのような木材や帆布を多用した旧式機にまで搭載していることに驚愕した。

 そして今後来襲するであろうイギリス最新鋭戦闘機への対抗策として、航空エンジンメーカーにはマーリンエンジンの高出力化技術、主に過給機のリバースエンジニアリングを促し、石油化学業界には燃料添加剤の研究を促すこととなった。


 また試験に用いられた一式戦艇に関しても、来るべき新型エンジン換装に備えるべく高速飛行時の異常振動に対して東京飛行機に改修が指示された。

 これを受けて、東京飛行機は即座に機体強度を改良した一式戦艇二一型を完成させ、また試験以外に使い道の無かった大量の鹵獲マーリンエンジンを搭載した一式戦艇二二型も少数ばかり生産する事となった。


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