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第48話 Double Date

 次の日、火曜日。

 彩との待ち合わせ場所に、俺は行けなかった。

 もう彩には近付かない方がいいんだ……。

 一人で学校に行くと、やっぱり彩は居ない。

 家を出る前に電話しておけば良かったかも知れない。

 今更だけど…。


 朝のチャイムが鳴る直前に、彩が走って入ってきた。

 息が切れてる。可哀相な事をしてしまった。

 だけど近付いちゃいけない! 俺が近付かなきゃいい話なんだ。

 1時限目が終わると、彩がこっちに来た。

「…晴樹くん。おはよう…。今日、どうしたの?」

「別に。一人で行きたかった。…もうこれから一人で行って」

「…え? だって……あの、どうしたの? 私、何か出来ることあれば」

「いいから! もう近寄るなよ!」

 言い過ぎた、とハッとしたけど、もう遅かった。

 彩は震える声で、やっとのことでゴメンと言うと、小走りで自分の席に戻った。

 ごめん、彩。


 そんな日が続いて、5日目くらいの時だった。

 クボから遊びのお誘いがきた。

 その日は日曜で、家でぼーっとしてて暇だったから行った。

「はよ。どーしたんだよ」

 公園に来てくれって言われたから行ってみたら、クボがヘラヘラして待っていた。

「どーしたって? 暇な時に誘っちゃダメなのか?」

「いや別にそういうわけじゃないけどさ……」

 すると、向こうの方から奈美さんがやってきた。

「やっほー!」

 その後ろに居るのは――彩だった。

 思わず顔ごとそらしてしまった。

「…お、おはよう……」

「おはよー彩乃ちゃん!」

「……ぉはよ」

 隣でヘラヘラして彩に挨拶するクボが、無性にムカついた。

 腕を引っ張って後ろを向かせる。

「なんなんだよ! 俺聞いてないぞ!?」

「だって言ってないもん」

「クボーッ!! お前覚えてろよ!」

 俺がそう言っても、クボは何にも関係ないって顔をしてた。

「大体さぁ、彩乃ちゃんと何があったんだよ? なーんかおかしいぞ?」

 痛いところを付かれて、うっとなった。

「別に……クボには関係ないだろ!?」

「だったら俺が彩乃ちゃん呼ぼうが呼ばまいが関係ないだろ?」

 何も言えなかった。そっかって思ったから。

「……なぁ榎本。お前って悩み事極限まで自分の中に溜め込むだろ? 俺心配なんだって。いつか爆発するぞ?」

 ――クボ……。なんだよお前。そんな風に心配してくれてたのか。

 だったらそう言えっての。

「なぁんてな! 実は一部始終知りたいだけだったりして!」

 まぁ、な。

 そんな奴だろうとは思ってたからさ、今更ショックもくそもないけどさ。

「剛史! どーすんのよこれから。呼んだからには何か考えてんでしょ?」

「いや、何も!」

 クボがそう自信満々に言うと、奈美さんはキッと睨んだ。

 目で殺すってこういうことなのか?

「分かった。大丈夫。任せてよ! 今考えついた!」

 クボは焦って言った。

 その後行った場所はというと。

 動物園だった。そう、前に来た……彩と二人で来た動物園だ。

「ね、ね、ダブルデートっぽいっしょ?」

 いや、動物園ってダブルデートで行くとこか?

 まあ俺はいいんだけどさ。

「ほらほら! 榎本も彩乃ちゃんもカッポーらしく手ぇ繋いで」

「ちょっ……何すんだよクボ!」

「いいからいいから!」

 ってなって、俺らは無理矢理手を繋がされた。

 彩も気まずそうだ。

 とりあえず、手を放した。彩が一瞬こっちを見たけど、そっぽ向いて知らん顔してしまった。

 ここで前の俺に戻ったら、きっとまた彩は傷付く。

 俺と一緒にいるせいで。多分、中村は彩がフリーになればいいんだ。

 俺には彩をふるなんてこと出来ない…。

 だから、彩から離れていくのを待つしかないんだ。


 気まずいばっかりの俺達を置いて、クボはまた無理矢理に奈美さんと手を繋いで歩いてった。

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