表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/50

第43話 プラス

 次の日の金曜日、彩から電話がきた。

 ニヤニヤしながら受話器を渡す姉貴にムカつきながら、電話に出た。

「彩? どうした?」

【あ…あのね…あの…。お願いがあって……】

「ん、何?」

【あの……晴樹くんには迷惑かもしれないんだけどね、学校に一緒に行ってもらえないかなって……】

 これは……お誘いか!

 お誘いだ! お誘いキター!

「いいよ! 全然オッケー! どこ行けばいい? 彩の家迎に行こうか?」

【お…お願いしてもいいかなぁ】

「もちろん! 任しとけって!」

【ありがとう……】


 受話器を置いて、俺はスピード着替えした。

 早く彩乃姫をお迎えにあがらねば。


 5分後、家を出た。走って彩の家に向かう。

 彩はもう家から出ていた。門の前で待ってる。

「彩!」

 俺がそう呼ぶと、彩はを勢いよく振り向いた。

「おはよ!」

「おはよう! あの…ごめんね?」

「大丈夫! 気にすんなって」

 俺は笑いながらガッツポーズを決めてみた。

 彩もそれを見て少し笑ったけど、すぐに笑顔が消えた。

「……どうした?」

「あの……怖くて…。またどこか連れていかれちゃうんじゃないかって…。は、晴樹くんを巻き込もうとかそういうんじゃないんだけど……」

「うん」

「…上手く、言えないんだけどね……?」

「うん、いいよ。ゆっくりでいいから」

 彩は深呼吸してから口を開いた。

「私…あの時、一人じゃ絶対逃げ出せなかった。…と、思う。一緒に晴樹くんが居てくれたから……だから私も此処に居られるの……多分。…ううん、絶対」

「……うん」

「だから……私、学校行くのも晴樹くんが一緒ならって……。ごめんね、ほんとに私のわがままばっかりでごめんなさい」

 嬉しかった。謝る必要なんてない。

 彩が俺を必要としてくれてたって事だけで、プラマイゼロなんてもんじゃない。

 プラスプラスプラスだ。

「彩」

「…はい…?」

 声が震えてた。目にも涙が溜まってる。

「話してくれてありがと」

 俺の言葉で、彩の目から涙がドバッと溢れ出した。

 ……どうしよう、こんな時。目が! 視線が! 突き刺さるー!

 普通に見たら俺が泣かせてる図だし。

 他の男達はこんな時どうしてるんだ!?

 俺が迷ってる間にも彩は泣いてる。

 ええいこうなったら!

 道端ではちょっとハズイけど!


 俺が彩を抱きしめようとした時、急に彩が顔を上げた。

 途中まで出てた手を慌てて引っ込めた。

「……ごめんね、私泣いてばっか……もっと強くなんなきゃ…」

「あー。あ、あぁ。そう、だよねぇー! はははっ!」

 焦ってる事気付かれたかな。

 うーんでも……彩は今のままがいいなぁ。でなきゃ男の出る幕なくなっちゃう。

 くそー! あともう少しだったのに!!

「ごめんね、時間取らせちゃって……学校、行こっか」

 彩は涙を拭って笑顔を見せた。


 惜しかったけど、まぁいいや。

 彩は笑顔になって、俺も嬉しくなったんだし。

 結果オーライだ!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ