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私がとるべき行動は


 二度目の人生を送ることになってから約一年後。


 小鞠は、十六歳になった。

 人がほとんど来ることのない、うっそうと茂った森の中。小鞠は自分の家から少し離れた場所で家庭菜園をしていた。


 「うん!上出来!」

 ミニ神様からもらった冷蔵庫は種や苗も出せることに気づき、五か月前ぐらいに始めた家庭菜園。育て始めたらはまってしまい、トマト、大根、ピーマン以外にも育てようか検討している。


 「よっ・・・と!」

 さっき採れたトマトやピーマンをかごに入れ、肩にかける。

 ガサガサと音をたて、森の中から狸の茶太郎が川魚を口にくわえて持ってきてくれた。

 「ありがとう、茶太郎」

 川魚に今日取れたトマトとピーマン。あと昨日のあまりのパン・・・お昼ご飯どうしようかな。


 「行こっか」

 茶太郎を見てそう言うと、尻尾をふっていつものように背中に乗せてくれようとしゃがんでくれた。


 茶太郎は一年たつうちにみるみる大きくなった。

 それはもう急激に大きくなった。成長期だとしても、ライオン並みにでかくなったのは普通なの?狸なのに?

 と最初は思っていたが、山の中では私が思っていた普通とは三倍ぐらいにでかくなった熊、ウサギなどがうじゃうじゃいたためそのことを考えるのは放棄した。

 


 普通?なにそれ知らなーい。・・・そう思わないとやっていけない。

 

 茶太郎の背中に乗りマイホームへと帰る。


 「お帰りなさい!」

 ミニ神様が玄関で待っていてくれた。

 一年たった今も、ミニ神様はあまり変わらない。どんどん大きくなった茶太郎と同じように、ミニ神様も大きくなっちゃったらどうしよう、と悩んでいたので、変わらない儚い美しさを持つミニ神様を見ると、少し安心する。

 

 「ただいまー」

 靴を脱ぎ、玄関に置いてあるタオルで茶太郎をふく。

 とはいっても、器用に自分で足をふいてくれるので、背中を軽くふくだけだ。


 キラキラした目でミニ神様が私の背負っているかごを見る。

 「今日の収穫はなんですか?」

 「トマトとピーマンだよ。あと、茶太郎が三匹魚を取ってきてくれた!」

 「それなら、今日は魚のトマト煮とピザトーストにしましょう!僕作りますよ」

 「いいよいいよ!ミニ神様は座ってて!」

 「そういうわけにも・・・ではピザトーストを作ってくれますか?」

 「分かった。ありがとう!」

 

 ミニ神様は、結構な頻度で料理を作ってくれる。

 本人が言うには、料理をするのは楽しいし喜んでくれるのがうれしい、だそうだ。

 なんていい子なの!?お姉さん感激!とふざけて言うと、ミニ神様がちょっと照れながら怒る様子も可愛らしく、たまについつい言ってしまう。

 

 ミニ神様の作る料理はものすごくおいしく絶品だが、私の消えてなくなりそうな年上のプライドを守るために、一品は何か作るようにしている。

 ・・・たまにお言葉に甘えてしまう時もある。

 世の中には臨機応変という便利な四字熟語があるじゃないか!うん、その場に合わせることも大事なのだ。



 手を洗い、ピーマンを包丁で半分に切って種を取る。一口サイズに適当に切ったら、食パンにパラパラと散らす。ピーマン、四個ぐらい使っちゃおう!


 ケチャップは、この前使ったもののあまりを冷蔵庫から取り出してかける。

 せっかくだしチーズもかけようかな!


 鼻歌交じりに冷蔵庫の前に行った。

 そして、チーズと言いながら想像すると、あら不思議。チーズが出てきました!

 最初にやったときは面白くて何回もやって、ミニ神様に怒られた。

 それからは、必要な分だけしか出さないという約束の元使うことになったんだよなぁ。

 

 なつかしさに浸りながら、三枚の食パンにチーズをかけてオーブンに入れる。

 一年前からあった食器などを三枚分並べて置き、焼けた後すぐに置けるように準備をする。

 目をはなして焦げるのはいやなので、ちょくちょく確認する。

 

 

 

 ちょうどいい焦げ具合に、香ばしい匂い。そろそろいいかな?

 取り出して、素早くお皿にのせた。

 「いい焼き加減かも!」

 我ながらうまくいった気がする。

 匂いにつられたのか、茶太郎がやってきた。

 「おなか減ったの?」

 ご飯、ご飯!というように両前足をくっつけた。

 いわゆるお願いのポーズだ。

 

 ぐっ。この姿を見ると、ついあげたく・・・。

 「だめですよ」

 「はーい・・・」

 ミニ神様が銀髪を揺らしながら振り返り、こちらを軽くにらんだ。エプロン姿も、様になっていますね。

 「茶太郎。ピザトースト持って行ってくれる?私はフォークとお箸準備してくるから」

 茶太郎が、わかった!とうなずいた。

 後ろ足を使って立ち、もふもふの頭と前足を使って机に持って行ってくれる。

 毛が入ってしまわないように気を付けてくれるので、安心して任せられる。

 一家に一台ならぬ、一家に一茶太郎だよ。ほんと。

 

  

 ミニ神様のトマト煮も完成してリビングのテーブルに並べ終わり、いただきますと言おうとした。その時、茶太郎が玄関のドアに向かってうなり始めた。

 

 「どうしたの?」

 「だれか来るみたいですね」

 茶太郎の様子とは正反対に、ミニ神様はのんびりお茶を飲んでいる。

 ミニ神様が焦っていないってことは、危険ではないのだろう。

 

 と思っていたのに、束の間の安心だった。

 

 突如、バキィッ!と鈍い音が響かせ、ドアから足がにょきっと生えてきた。


 「おい!二人とも!ここなら安全そう・・・」


 ドアに足で穴をあけた人が明るい声で後ろからドアのほうへ向きながら言う。

 その人と、驚いて動けない私の目が合った。

 驚愕で口や目が限界まで開いていた、なんとも間抜けな顔を見て私もやっと我に返った。

 


 ふむ。この状況で、私がとるべき行動――



 「このドア、どうしてくれるんですか?お兄さん。弁償しますよね?」

 

 逃げ出していかないように、ドアを突き破り入ってきた男に笑顔で詰め寄っていくことだった。

 

 

 

 



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