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第十六章 橋の夜

 蒼環鉄路の橋で警鐘が鳴った。作業ラインに相当する信号が乱れ、エラーが画面を赤く染める。わたしたちは現場へ駆け、入口の床に小さな円を描いた。「ここで三分会議。静かに、見る・聞く・書く」


 提出順を一時的に逆転させる〈一手戻し〉を赤字で掲示し、窓口を「相談優先」に切り替える。アジェルは右耳に手を当て、帯域を聴く。「高音が強い。詰まりが前だ。段取りを手前で切ろう」


 三分、もう三分。エラーは一分あたり三十七から十二へ落ちた。中断の山は崩れ、再作業は現場内で閉じた。工房主が背後で記録を取り、「明日から掲示を常設。色札も併設」と指示する。アジェルが短く笑う。「……仕方ねーな。君のやり方、夜でも効く」


 橋の風は冷たかったが、恐れは薄い霧のようだった。わたしは白黒リボンをほどき、〈時の布〉を押して戻りの速さに呼吸を合わせる。三分で戻り、次の三分で進む。その繰り返しで、都市の夜も越えられる。

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