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第十五章 査問

 時間庁の白い部屋。官吏が質問票を読み上げ、帳簿係が印を構える。最後に立ったのは、あのシェルドだった。灰帽の縁を整え、腰の笛を二度、指で叩く。


「第十七条。無為の五分は原則禁止。君らの“三分会議”は何だ?」

「計測です」雪巴は板を示す。「中断/再作業/提出前相談の三指標で効果を確認します」

「なら、先日の“誤配の一日”は?」

「敗因は“札の不在”と“会議一回の過信”。再発防止を手引きへ追記しました」


 シェルドは鼻で笑い、しかし目は笑わない。「規格、規格。数字は一週間分。対照は?」

「外縁工房と同規模の二班を設定。四週で比較します」アジェルが淡々と重ねる。

「色砂は相変わらず違反だ」

「使っていません。呼吸で三分、布で戻りを整えます」


 沈黙ののち、シェルドは笛を離し、小さく肩を落とした。「……規格に合わないものは嫌いだ。だが、君らの“敗北の書式化”は嫌いじゃない。継続を許す。更新は二週ごと」


 印が落ちる音が、金属の軽い反響を連れて戻る。廊下で工房主が笑う。「紙に勝つ日は少ない。でも今日は“同点”くらい……ね」

 雪巴は胸の奥で、黒い夜のざわめきが一音、静まるのを感じた。敵の顔ははっきりした。次は、数字で抜く。

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