6 何かと便利な【リビング・アーマー】を貰った。
【ボス部屋】が有ったのだが・・「あんた!何をボス被りしとんねん!ワシがアツーミダンジョンのレイドボス【リビング・アーマー】様やで!いてもうたろかい。」
と言いながら、3メートル位の鎧が話し掛けて来たのだった・・が<ガツン!>とパンチ一発でバラバラになり・・
「兄さん!超強いでんな~ほな!サイナラ。」と言うリビング・アーマーだが・・
「あれ?ワシ消えて行かへんど!どないだ・・」
<ピコン!ダンジョンボス同士の【決闘】勝者は、敗者を眷属化できます。>と言うアナウンスが流れた。
俺はリビング・アーマーに対して「ドロップして消えた方が良いよね。」と言って、ダイアログボックスを爪で押下しようとした時・・
「兄さん!チョット待ってや。あんたは【地上】から来たんでっか?ワシも連れていって下さい!」と懇願されたので・・
<パアッ> <リビング・アーマーを眷属化しました。能力は【変身】【硬化】【俊敏】【重力操作】などです。>と、仲間が増えた俺であった。
<カツン カツン> 「本当に【人間サイズ】になるんだね!これで地上に出ても魔物扱いされる事は無いだろう~助かったよ。」と、上層に戻りながら俺はリビング・アーマーに礼を言う。
鎧は・・「何なに!礼を言いたいのはワシでっせ。こんなジメジメしたところに押し込まれて・・弱い冒険者をやっつけて・・人生(鎧だが)何が楽しいものか!」と憤慨していた。
俺達が4階まで戻った時だった・・<早く逃げろ!俺に構うな> <そんな!兄ちゃん>と言う子供らの叫びが聞こえたのだった。
俺は声のする方に行くと・・【コボルト】数匹に囲まれた【4名の若者】が倒れており・・1人だけ仲間を引きずって逃げようとしていたのだった。
「兄さん。4階の【階層ボス】でっせ。」と、鎧に教えてもらい~「手を貸すぞ!」と言いながらコボルトの前に立ちふさがった。
「リビング・アーマー!武器は何処だ?」と小声で言うと・・「ワシは鎧でっせ!武器なんぞ持っておりませんがな!」と答える・・すると・・<ピコン!レイドボス【ミノタウロス】の武器は【亜空間庫】に保管されています。取り出しますか?>と聞かれたので「頼む!」と答えると・・
禍々しい赤と黒の~巨大な【戦斧】が現れたのだった。
「よーし!これで・・うん?持てない!」
「ワシを着ている間は、姿形も体力も【普通の人間】に変化するんでっせ!早うにげなはれや!」と言うので・・
「じゃあ脱げば凄い!所をみせてやろうじゃないか!」と言って俺は【鎧】を脱いだ・・
<ヒイ!さっきのミノタウロス!人間に化けていたのか・・>
俺は若者には構わずに【魔物】の姿になり・・<ズシン> <グシャ> <ズドン> <ザシュ>
一振りでコボルトを粉砕したのだった。
雄一郎が若者らを振り返ると・・<ヒイ!もうお終いだ> <お前だけでも逃げろ>等と言うのを後目に・・
<ヨイショ> <コラショ>と言いながらリビング・アーマーを再び身に付けて・・
「君たち!大丈夫か。」と、素知らぬ顔で若者に声を掛ける俺であった。