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ミステロ  作者: 來洦
1/3

第一話

何もない普通のI日だった。


ようやく馴染んできた制服に身を包み、返事が帰ってこないリビングに「いってきます」と声をかける


学校へ行くと友達、親友そして好きな人が居て


いつものように授業を受けて、放課後は友達とファミレスでお喋りをし家に帰る


帰ると両親に満面の笑みで高得点のテストを見せる妹、橘 波瑠が居て


そんな波瑠のことしか見ていない私の両親


高校にあがってから成績が右肩下がりの私、橘 世那の4人で会話の少ない家族団欒をしてベットに入る




特にいつもと変わりはなかった。






しかしその次の日、何かがおかしかった












「おはよう」


そう言ってリビングへ行くと、いつもの通り返事をしない母親が無言で私の横をすり抜けたかと思うと


「定期テストはどうせ悪かったんでしょ?」久しぶりに話した言葉は私をハナから否定する言葉だった


「平均点はとれたよ」


そう言うと、平均点なんて凡人のとる数字だとか私たちの子供なんだから平均以上は当たり前だとか。しまいには父親まで来て波瑠の話をし始めた。


「波瑠はな、お前が中学の頃よりも高い成績を収めて生徒会にまで入ってるんだぞ。


 しかもお前が落ちたあのトップ校なんて既にA判定だ。


 違いが分かるか?」


お前らは波瑠の事しか興味ないんだろ


成績優秀、陸上部部長で生徒会副会長。そんなのと私を比べないでよ


ごめんね、こんな娘で


「ほんとに橘家の子なのかしら」


「お前は橘家の落ちこぼれだな」


そう言われた時私の中で何かが弾けた


「私だって好きでここの家に産まれた訳じゃないよ!


 もっと普通の家に産まれたかった


 お前らは波瑠の事しか興味ねえんだろ」


心の中でずっと思ってた事が口に出た瞬間、無意識に私は母親の頬を叩いていた


「おい世那、母さんに何をするんだ!」

父親は怒鳴ると共に私の頬を叩いた


「こうでもしないと私の事見てくれないんでしょ!?


 こうでもしないと私の事名前で呼んでくれないんでしょ!?」


そう叫ぶ私を両親は軽蔑の目で見ている


「貴方なんか、産まなきゃ良かった」


母親がボソッと呟いた




私の心の中に強い殺意が芽生えた




死ね




いつの間にかその呪いの2文字が口からでていた。


「は?」


聞こえなかったのか父親が再度聞き返す


「だから死ねって言ってんだよ!」


一度言ってしまったことは取り消せない。それがどんなに綺麗な言葉でも、どんなに汚い言葉でも






「だから死ねって言ってんだよ!」


まずい、言ってしまった。殴られる


そう思って目を瞑って来るであろう衝撃に耐えようとしていた


しかし衝撃、痛みはおろか話し声すらも聞こえない


恐る恐る目を開けると包丁を手にしていた両親がいる


いよいよ刺すほど娘のことが嫌いなのか


そう思っていた矢先、両親はおもむろに自身の首を斬りつけ下腹部を刺した


何が起こっているのか分からないまま両親は更に深くまで包丁を刺し、叫び声をあげながら死んでいった。






死んだ?




なんで?




自殺なのか?




いきなり?






思考を巡らせながら血塗れになった両親を見る




「だから死ねって言ってんだよ」




私が最期に彼らに言った言葉




死ね、私がそう言ったから?




でもなんで?普通娘に言われたからって死にはしない。




でも普通じゃなかったら?




私が口にしたから死んだとしたら?


私は人殺し??




「お姉ちゃん、凄い声聞こえたけど大丈夫、、、って何!?


 ママ!パパ!?死んでる!?」


2階の自室から降りてきた波瑠が走り寄ってくる


「ねえ、お姉ちゃん!どういうこと!?


 まさか殺したの!?」






ころした




私が?




「違う、私は殺してなんか、、」




「じゃあなに?2人が自殺したとでも言うの!?」


波瑠は母親の腕を掴みなき叫びながら言う




「いや、ちが、、分かんない。分かんないだよ!」


殺した。死ねと思ってしまった。


「でも、」


波瑠は私が両親のことを殺したと思っている


殺してなんかない。


きっと、


泣きながら両親に縋る妹の姿を見て、なんだか嫌気がさしてきた


「うるさい!お前だって私の事が嫌いなんだろ?


 いつも見下したような目で見てきて


 お前なんか、」




死ね




そう思ったら殺してしまうかもしれない。




だめだめだめ




そう強く思っても心のモヤモヤはどんどん増えていく。


波瑠を見てみると虚な目をして自分自身の首を絞めていた


今は見下されてるかもしれないけれど、以前は仲良くしていた妹だ。


そんな妹が死のうとしている所をみると、殺意などは飛んでいった




「ねえ、波瑠!


 死んじゃダメ!ダメだけど、私のことは全て忘れて」




そう言うと波瑠は自身の首を絞めていた力を緩め気絶した






今のでわかった


心の中で思ったことが相手に伝わっている。




死ね




そう思うと目の前にいる相手は死んでしまう


と言うことは『私は両親を殺した』直接自分の手を染めずに。

その言葉が頭に浮かび吐き気がしてきた




私は人殺し。犯罪者。


これがバレたら捕まる。




ここから逃げなければ






スマホの電源を消し、手袋をはめ両親の財布からお金を抜き取る


私が写っている家族写真も全て燃やし部屋にあった私物は波瑠の部屋に移した


波瑠の私服をとり血のついた制服をゴミ袋に詰める




やれることは全てやった




もう帰ってこないであろう家の玄関で新品の靴を履き


返事の返って来ないリビングに「バイバイ、さようなら」と声をかけ行く当てもなく家を飛び出した。


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