入店3回目 1 ~こ、これが私ですか!?~
純さんに美容院に連れていっていただくのは、三回目にお店に行く日に決まりました。
美容院の場所を教えていただいて、15時に予約してくださったとのことなので、直接お店に向かいます。
もちろん純さんも一緒に付き添ってくださいました。
純さんが紹介してくださった美容院はやっぱり新宿にあります。
来店されるのは夜のお仕事の方たちが多いようですが、もちろん私のような一般人(?)も受け持ってくださいます。
新宿某所の、表通りからは一本裏に入った静かな道沿い。
都内にはよくある小さめの雑居ビルの一階。
お店自体はあまり大きくなく小ぢんまりとしていますが、いわゆるシンプル&スタイリッシュモダンな店構え。
私から見ると完全に意識高い系に見えます。
「こんにちはー。よろしくお願いしまーす」
純さんは勝手知ったる感じでそう声をかけながらお店の中へ入っていかれました。
私はその後ろから完全に純さんの影に隠れて入店。
「いらっしゃい」
出迎えてくださったのは、茶髪の気さくそうな男性。
二十代後半くらいかな?
「そっちの子?」
「そう。愛香ちゃん、こっちはいつも俺のへアメを担当してくれてるヒロさん」
「ヒロです。よろしくねー」
「あ、あの、よ、よろしくお願いします・・・」
ホストクラブの皆さまで少しは慣れたとはいえ、やっぱり初対面の方とお話するのは苦手です。
そのせいで語尾も尻窄み。
でも、さすが接客業のヒロさんは私の対応には意にも介していらっしゃいません。
「純さんが女の子連れてくるなんて珍しいですよねー。初めてじゃない?」
「そー・・・かな? 愛香ちゃん行きつけの美容院ないっていうし、ヒロさん腕いいから紹介したくて」
「おー、そう言っていただけると張り切っちゃうな。じゃあ愛香ちゃん、こっち座って」
ヒロさんも既に私をちゃん呼びです。
手で示された椅子に私はおずおずと座りました。
すかさずふわりとカットケープがかけられます。
「で、今日はどのようにいたしましょうか」
ヒロさんはちょっとふざけた感じでそう問いかけました。
私に言ってるのかと思ったのですが、答えたのは純さん。
「そーだなー。まず明るめの茶色にして・・・軽く巻いてふんわりさせて・・・前髪も七三な感じで分けてもらって・・・」
「あー、すごいイメージ伝わってきます。ていうか、それ純さんの好みでしょ」
ヒロさんの最後の質問には純さんは答えませんでした。
二人とも私の後ろでお話してらっしゃるので表情が見えません。
本来なら私の目の前に鏡があるはずなのですが、何故か布で覆われてしまっています。
「今日は最後に驚いてほしいから、鏡は隠してます」
私の心を読んだみたいに、ヒロさんがそうおっしゃいました。
「純さんからはフルメイクもしてほしいっていわれてるから、ちょっと長丁場になるよ」
純さんいつの間に!
ヒロさんの言葉に、私はコクコクと頷きます。




