第6話 『南』 昼休み Gチュー部 部室 増岡 均(ますおか ひとし)
「押忍!マスオ!」
ラギの突然の一言に全員が戸惑った。
「・・・どうしたの?」
「あ、ごめん。回文を紹介するコーナーは別の番組だった。無視して続けて、確かオージ君が何をしてたか?だったよね?」
ラギは真っ赤な顔で照れながら続けた。
「確か・・・そこのパソコンでうちの動画を何個か見ていった気がするけど・・・」
マスオカはそう言いながら、パソコンで動画の再生履歴をチェックし始めた。
「ん?なんだ?これ?」
「どうしたの?」
マスオカは何かおかしなものを見つけたみたいだ。
「・・・うちのチャンネルに見たことない動画が追加されているんだ。誰がこんなものを作ったんだ?」
マスオカは部員が作った動画は全てチェックしている。知らない動画が部のチャンネルにあがっていることなど、ありえないことだ。
「とりあえず、再生してみようよ」
ユリはその動画に謎解きの続きがあるような気がした。
動画: https://youtu.be/JVghlGlfSXs
pe2@z2@
・・・何これ? 何かはわからないが、また新しい謎解きであることは間違いない。さっぱりわからないが、ここまで来たことは正解だったようだ。
「全く、誰だこんな意味不明な動画を無断で投稿した奴は・・・。こんなつまらないものを投稿したらチャンネル登録者数に影響してしまうじゃないか!」
マスオカはちょっと怒り気味でそう言うと、この動画を削除しようとした。
「あ、ちょっと待って!昨日オージ君が見に来た動画は間違いなくこれだよ!オージ君は多分この謎を解いて次のどこかへ向かったんだと思うけど、何か聞いてない?」
ユリはマスオカに質問したが。
「ん~~~。オージがいた時間ってほんのちょっとだけですぐ出ていったからなぁ。どこへ行くとかは聞いてないな。」
残念だ。謎が解けなくてもどこへ行ったか分かればと思ったんだけど。
「わかった、ありがとう。とりあえずこの動画の文字列はメモさせて」
ラギはスマホのメモ帳を開いて文字列を入力しようとした。
「これが謎解きだとしたら、わざわざ動画にしたことが謎を解くカギになっていると思うよ。文字列だけで解けるならわざわざ動画にするなんて手間のかかることはしない気がするんだよ。まぁいいか、メモならこのパソコンで作って印刷してあげるよ。」
マスオカはキーボードで文字列を入力し始めた。
「えぇと・・・p・・・e・・・2・・・」
ユリはマスオカのキーボードをぼ~っとみていた。普段パソコンをあまり使わないユリにとってキーボードで文字を打つのはなんとなく新鮮だった。キーボードって一つのボタンに英語と日本語の両方が書いてあるんだなぁ・・・。あっ!