見つけてみせる!黄金の桜!
システム案内人:プレイヤーキャラ[ニーナ]こちらでよろしいですか?
→YES NO
システム案内人:それでは、アナザーワールドへ入国を許可します。
―†―
「さてと、向かうは薬草の森!最深部の隠し穴…っと」
ニーナは右手を横に移動させ、メニュー画面を出現させる。
前回は隠し穴までの道程をマッピングした所で、拠点であるこの家に帰還スクロールで戻ってきた。
ちなみにこの家は、ニーナがプレイし始めて8ヶ月、とあるスキルがMAXになった記念に購入した。
1階は広いリビングダイニングに対面キッチンがあり、広めの浴室にトイレがある。
このアナザーワールド内でも普通にお腹は減るし、汗をかくからお風呂にも入りたいし、食べるからこそ出るものもある。
ただ、現実世界の体には反映されないため、食べても食べてもお腹はいっぱいにならないし、清潔な体が保てるわけではない。
つまり、プレイ終了後には空腹で倒れる…なんて人も少なからずいる。
「よし、しっかりマッピングされてるから…転移石はっと、ストレージ内にないかぁ」
マップ画面から、アイテムを収納しているストレージ画面に切り替える。
お目当てのアイテムがないことに気付いたニーナは、小さく溜め息をつき、リビング内にある階段を昇る。
2階は、部屋が3部屋にアイテム収納兼調合実験室が1部屋の計4部屋がある。
ニーナはアイテム収納部屋…ニーナは倉庫と呼んでいる部屋に入り、棚から紫色の石を5つストレージ内に収納する。
更に今使うように1つ手に取ると、階段を降りキッチンへ向かう。
「さて、向かう前にバフをかけていないとね」
石をテーブルに置き、キッチン内にある地下階段を降りる。
ここは食糧庫だ。
「本当、スキル[シェフ]は便利よね…一番始めに[料理]スキルをMAXにして正解」
アナザーワールドには3つのスキル柱がある。
まずは、スキル柱(魔法)。
火、水、風、土、雷、光、闇の8つの属性魔法に、それら属性の複合させるための複合魔法、ゴーレム生成などの錬金術。
次に(戦闘)スキルはかなり細かく別れており、ただ剣スキルと言っても(大剣、剣、細剣、双剣、ナイフ)と細分化されていてすべてスキルをMAXにしないと剣スキルをマスターしたとは言えない。
剣の他には槍、弓(弓、ボウガン、アーチェリー)、斧、刀、銃(銃、ライフル、火縄銃)、格闘(空手、柔道、プロレス、合気道、テコンドー)となっている。
続いて(生活)スキル。
比較的会得は簡単ではあるが、極めるとなるとかなり面倒とされていて、種類としては料理、調合、和裁、洋裁、採取、採鉱、木工、製錬、鍛冶、薬学、収集、調教、鑑定となっている。
そしてスキルMAXまで上げ、特定条件をクリアすることで会得することが出来る(レアスキル)。
運営の公式発表されている(レアスキル)は2つのみで、戦闘スキル全てで[勇者]、魔法スキル全てで[賢者]というもの。
他にもあるらしいが発表はされていないが、発表されていないだけで、発見はされている。
ニーナの持つ[シェフ]もその1つであり、料理スキルをMAXにすることで会得出来る。
[シェフ]のスキルの中に、食材を新鮮に保つことが出来る、状態保存のスキルがあり、食糧庫全体にスキルを使えば、食材が新鮮なまま保存出来るというのだ。
「ま、MAXにするにはかなり料理したけどね」
ニーナは、スキルを上げていた頃を思い出し、苦笑を浮かべる。
各スキルレベルは1000まで上がり、並大抵の努力ではなかなか上がらない。
1つのスキルをMAXにするには、運営曰く現実時間で5年くらいはかかると言われており、その中でアナザーワールド内の時間は、ゲーム時間1日=現実時間10分程度の経過になっている。
つまり、ゲーム内で6日間滞在しても、現実世界ではたったの1時間しか経過していないことになる。
その計算で現実時間5年となると、10分で1日、1ヶ月で4320日つまり11年8ヶ月、更に1年だと51840日つまり142年。
この計算で行くと、5年はゲーム時間710年になる。
しかし、これは普通にプレイしたらの話であり、運営のスキルアップキャンペーンや修練2倍アイテムなどを駆使することで短縮することは出来る。
途方もない作業があるため、[MattalyLifeOnline]という名前のくせにまったり出来ないや、このゲームをする人はドマゾだと言われるのだった。
「幸運アップには…グリフォンの肉とアップルグレープ…グリル焼きにして、アップルグレープはソースが定番かな」
ニーナは、手際良く調理を始めてあっという間に作り上げる。
スキル[シェフ]は、料理時短のスキルもあり、もともと現実世界でも料理を行っているニーナにかかれば、一瞬で作り上げてしまう。
「いただきまーす」
ナイフとフォークで、グリフォンの肉を1口大に切ると、ソースをしっかりと絡ませて口へと運ぶ。
肉汁が溢れ、ジューシーに焼き上がっており、ソースが甘酸っぱくて後味はさっぱり。
油のしつこさを感じさせない、最高の出来になった。
「これで、幸運値は上がったし…あとは向かうだけね」
食器と調理道具をささっと洗い、テーブルに置いておいた転移石を手に取る。
「…黄金の桜さえ見つかれば、収集図鑑は全部埋まって、調合も出来るからそっちのスキルと薬学も埋まる。今日こそ、見つけてみせるっ!“転移石、テレポート”!」
なかなか事件もスキルも出てきません…(泣)
もう少しかかるかもです。