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001「初めての異世界は……パートナーがダメダメでした」



「さて、これからどうしたものか……」



 俺と女神のミザリーは異世界へと転移した。


 ちなみに転移した場所は、草原が広がる大地でちょっと奥に目をやると森も見えた。


「ここから…………ここから俺の、文字通り『第二の人生』が始まるのか……よし、頑張るぞっ!」


 死んだ後、いろいろあったが俺は気持ちを新たにこの異世界で楽しく過ごせるよう頑張ろう、と気合いを入れた。


 そんな新しい人生の第一歩を気持ちよく踏み出そうとする俺に女神ミザリーが声をかける。


「ハルオさんっ! 新しい人生がいよいよ始まるわね。私が全力であなたのことをサポートするわっ!」

「うむ、そうだぞ、ミザリー。俺はその為にお前を一緒に連れてきたんだ」

「まかせてっ! 私、頑張るっ!!」


 初めて会ったときの失礼極まりない女神ミザリーが、俺の能力『イージーモード・ライフ』により、俺にとって都合の良い性格に変わった。


 今では、ミザリーは俺のことを尊敬の眼差しで見つめ、俺のために動いてくれるようなことを言ってくれる。


 ちなみに……この異世界に転移し、これから新しい人生を歩む、ということに対して俺は考えた。


『俺のために動いてくれる奴がいると、ひじょ~~~~~に助かるな……』


 というわけで、『天然』を治す教育と兼ねて、ミザリーには俺の小間使い……『パシリ』として精進していただこう。


 そうして俺たちはとりあえず町か村を探すことに決め、どちらに向かえばいいかわかるかミザリーに聞いてみた。


「まかせて。それじゃあ、私の魔法で確認するわね…………探索サーチングっ!」


 ミザリーは、両手を胸の前に掲げ「探索サーチング」と告げる。すると魔法が発動したようで、ミザリーの眼前に淡い緑色のマップが表れる。


「私たちがいるのがここだから~……」


 と、ミザリーが『☆マーク』に指を合わせる。どうやら『☆マーク』は俺たちのいるここ……『現在地』を示しているようだ。


「あっ! ハルオさん、あったわ。ここから北に二キロほど歩けば町があるみたいですっ!!」


 マップを見ると、ミザリーが指差したマークは『ゲームでよく見かける町のアイコン』が表示されていた。


「ところでミザリー……、お前は魔法をいくつか使えるのか?」

「はい! 私が使える魔法は今見せた『探索サーチング』みたいな生活魔法と、あと、攻撃魔法は全属性をある程度は使えます。あと、防御魔法とか治癒魔法も基本的なものなら使えます」

「ぜ、全属性使える? それってすごいことじゃ……」

「そうですっ! すごいんですっ! えっへんっ!!」


 透明感のある薄青のローブを着るミザリーが無い胸を張る。


「そうか。じゃあ、いろいろと敵が来たら守ってくれよ」

「まかせてっ!」


 ミザリーは俺に『すごい』と褒められたのが嬉しかったようでルンルンしながら先を進んで行った。


「私が先導するからハルオさんは付いてきてくださーいっ!!」


 うーむ……、


 こうやって、素直で活発なミザリーは結構…………かわいいな。


 最初会ったときのキャラが最悪だっただけに、その反動か、今のミザリーは良い感じでかわいい。


 そんなことを思いながら俺はミザリーの後を付いて行った。



――一時間後。


 ミザリーが言ってた二キロは優に超えていたが、歩けど、歩けど町は見えてこなかった。


「あれ~? おかしいな~?」

「お、おい、ミザリー……ひょっとしてお前、方向間違っているんじゃないか?!」

「そ、そんなこと無いですっ! ちゃんとマップどおりに歩いてるもんっ! ハルオさん、ちょっとは私のこと信用してくださいっ!!」

「す、すまん……」


 ミザリーが少しショックを受けた顔で少し強い口調で俺に信用するよう告げる。


 俺は、ミザリーに「疑ってすまなかった」と謝ろうとしたその時、ちょうど向かいから旅人のような人間が三人歩いてきたので、ミザリーに謝る前にとりあえず町の場所を聞いてみた。


「すみません……俺たち今、町を探しているんですけど、この先あとどれくらい進めば町に着きますかね?」

「は? 何言ってんだ、あんた。町は逆だよ逆っ!」

「えっ?」

「えっ?」


 俺は旅人に向かって、ミザリーは俺に向かって、唖然とした顔と言葉を吐いた。


「逆……ですか?」


 俺が改めて旅人に聞く。


「ああ、逆だよ。なんだ、あんたらも町に行くのか? だったら、俺たちもちょうど町に戻るところだから一緒についてくかい?」

「ぜひっ! いやー助かりました。道に迷ってたものでして……」

「そうかい。じゃあ、町まで一緒に行こうっ!」

「はい! ありがとうございます!!」


 俺は旅人に礼をし、一人そのまま付いて行こうとする。


「あれ? あの美人の女の子は連れじゃないのか?」


 女の子が、なかまになりたそうにこちらをみている。


「え? 美人の女の子? あー、違います。あれは女装した男です」

「え? あれ、女装なの?! 女にしか見えないっ!」


 女装した子が、なかまになりたそうにこちらをみている。


「ですよね? 俺も最初、あの美貌に騙されて……危うく、食われるところでした。助けてくれてありがとうございます」

「ちょ、ちょっとーーっ! ハルオさーーんっ!!!」

「お、おい、すごい涙ボロボロ流しながらダッシュでこっちに向かってきたぞっ!!」

「まずいです。捕まったら食われます。全力で逃げましょう」

「バル゛オ゛ざ~~~~~ん~~~~!!!!」


 そうして、俺とミザリーは旅人と一緒に(?)、この世界で初めての町に着いた。



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