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イージーモード・ライフ  作者: てんやもの
プロローグ
3/4

プロローグその3

少し、修正しました。


「『イージーモード・ライフ』の能力は一度発動すれば強制力は働き続ける」でよろしくお願いします。



『能力:イージーモード・ライフ』



「能力…………イージーモード・ライフ?」


 俺は、単純にそのチート能力? が能力名だけでは見当がつかなかった。


 すると、いきなり女神のミザリーが大声で叫ぶ。


「す、すごいっ! これ、超超レアチート能力よっ!! 噂に聞いてたけど本当に出るなんて…………っ!!!」


 何やらミザリーが驚愕を通り越してアホ面になっている。


 ふむ……よっぽどのチート能力らしい。


「これ、どういう能力なんだ?」

「あ、あんた、知らないのっ! バカじゃないのっ!!」

「知るわけないだろっ! 今日、ここに来たばっかりなんだから!!」

「あ、そうだった。てへへ……」

「…………」


 あ~……バカなんだな~。


「じゃあ、説明してあげるわっ!」


 ミザリーは鼻息荒く、偉そうにこのチート能力の説明をしてくださった。


「『能力:イージーモード・ライフ』……これはね、簡単に言うと、自分の選択や行動、または降りかかる物事すべてが『自分に都合よく運ばれる能力』なの」

「『自分に都合よく運ばれる能力』……? 運が良くなるってことか?」

「いいえ、そんな生易しいものじゃないわ。運は限定的だし、しかも不確定要素が強すぎる…………でも、この『イージーモード・ライフ』という能力はね、『確実にハルオが望む理想の結果』を招いてくれるのっ!!」

「確実に?……俺が望む?……理想の結果?…………つまり、俺の願いは何でも叶うってこと?」

「う、う~ん……おしいっ! けど、ちょっと違うわ。確かに『ハルオの願いが叶う』っていうのは合っているけど……」


 いや、それ合ってるのかよっ!


 それだけでもすごいんだが……。


「ただ、『願ったらすぐに叶う』っていうわけじゃなくて…………あ、すぐに願いが叶うこともあるけど、でも、モノによっては時間がかかるというか…………えーと、例えば…………物事には順序があるでしょ?」

「順序?……ああ、『過程』のことか?」

「そうそうっ! でね、『イージーモード・ライフ』は、その結果を出すまでの過程において…………『すべての物事が強制的にうまくいく』ようになる能力なの」

「!! す、すべての物事が…………強制的にうまくいくっ?! お、おい、これって…………かなり、すごいチート能力じゃね?」

「だから言ったじゃないっ! 超超レアチート能力だってっ!!」


 俺はミザリーの説明をやっと理解できた。


『すべての物事が強制的にうまくいく力』…………これが本当なら凄すぎる力だ。


 ミザリーがアホ面になるのもよくわかる。


 もはや……『神』みたいなもんじゃねーか。


 んっ?


 神?


「……なー、ミザリー。この能力って異世界だけでしか通用しないの?」

「バカねー、あんた。そんなことも知らないのっ?! いい? この能力はねぇ~、一度、発動させてしまえば、人間だけじゃなくすべての生命体は勿論、神や悪魔でさえもその『イージーモード・ライフの強制力』は働くわ。だからこそ、超超レアチート能力なのよっ!」

「ほぅ…………ではミザリーや、その『イージーモード・ライフ』の能力はどうやって発動すればよいのじゃ?」

「あんた、本当バカねーっ! これだから『残念死人』は…………。まあ、いいわ、特別に教えてあげる。発動の仕方はこう……右手に握りこぶしを作って上に伸ばした状態で『能力名』とその後に『発動』と言えば力が発動するわよ」

「ほう……こうかね?」

「そうそう……あら? 何よ、意外と様になってるじゃない…………『残念死人』のくせに……くふ、くふくふ」


 ミザリーは相変わらず俺をあざけり笑う。


 なるほど…………どうやら、こいつはまるでわかっていないようだ。


 まあ、アホだからしょうがない。


 しかし、どうやら女神アホの上司である天上神てんじょうしんはミザリーが俺に喋った『事の重大さ』に気づいたようで……、


「ばっ……?! こ、コラッ! ミザリーっ!! お前、何てことを教えたんじゃっ!!!」


 突然、大画面モニターから天上神てんじょうしんが慌てた顔をアップにして叫んだ。


「あれ? 天上神てんじょうしん様? どうして、そんな顔面蒼白になってんですか? 死期が近いのですか? じゃあ、私がそのポストについてもいいですか?」

「そんなお前のアホに付き合っとる場合ではないっ!『イージーモード・ライフの強制力』のタブー……お前、それを教えるとは何という…………」

「えっ…………………!! あーーーーっ!!! ちょ、ちょっとタンマ、タンマっ!!! ハル……」


 俺はミザリーのめを当然聞くわけもなく、むしろ、食い気味に、右手の拳を天に掲げ、俺はこれまでの鬱憤うっぷんを晴らす勢いで能力名を叫んだ。



「イージーモード・ライフ、発動ぉぉぉーーーーーーーーーーっ!!!!!」



 その瞬間。


 俺の身体から神々しい光が部屋全体を覆い、その状態が一分ほど続き、光が消えるとまたさっきと同じ白いただっ広い空間の光景が広がる。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 さて。


 では、早速試してやることにしよう。


 見せてもらおうか、神や悪魔さえも強制力が働くという、『イージーモード・ライフ』の実力とやらを!


「おい、天上神てんじょうしん。俺は『残念死人』という名前ではない。鈴木ハルオという名前がちゃんとついている。お前はいくら神とは言え、初対面であるこの俺に『残念死人』とはよくもまあ言えたもんだな…………謝れ」


 すると、天上神てんじょうしんの身体が一瞬、ピクッ! と震えた。そして……、


「ぬ、ぬぅう……確かに貴様の言うとおりじゃな。少々、言い過ぎだった……。誠に申し訳ない」


 さっきとは打って変わって、天上神てんじょうしんの態度が一変。


 俺の『謝れ』という不躾ぶしつけな要求もすんなり受け入れ……いや、むしろ、納得した様子でゆっくりと頭を下げた。


「おい、天上神てんじょうしん。それがお前の誠意なのか? 土下座もできないほど、お前は偉いのか?」

「た、確かに……っ!? ふ……まったく、お前の言うとおり、ワシは天狗になっとったようだのう……初心を思い出させてありがとう、鈴木ハルオよ……」


 そう言うと、天上神てんじょうしんは俺に更なる感謝の言葉を述べ、土下座を行った。


「うむ。それでこそ天上神てんじょうしんだ。精進しろ……」

「さすがだな、鈴木ハルオ……お前には何でもお見通し、というわけか」


 天上神てんじょうしんは一人で勝手に達観し、俺に対して怒るどころか、リスペクトされてしまった。


「むむむ……何という能力だ、『イージーモード・ライフ』。素晴らしい……」


 さっきまで『残念死人』とのたまっていたあの天上神てんじょうしんがここまで態度を変え、俺を評価するとは。


 この能力、『イージーモード・ライフ』…………最高評価を下さざるを得ないな。


 そして、俺は一番仕返ししたい愛しいあの子……女神ミザリーに顔を向けた。


「……もごもご」


 ん?


 ミザリーが妙にもごもごしている。


「あ、あの……」


 と、思っているやいなや、ミザリーのほうから声をかけてきた。そして……、



「今更だけどごめんなさいっ!! ハルオさんの予想通り、あなたの残念な死に様をRECし動画を天界に拡散したのは私です。本当にごめんなさい」


 やはり、こいつだったか!


 というか、ミザリーが最初と比べて、みょう~~~に素直になっている。


 ふむ、どうやらミザリーにも『イージーモード・ライフの強制力』はちゃんと働いているようだ。


「ふむ……お前は自分の行った行為を大いに恥じるがいい」

「……そうね。私、とんでもないことをしてしまいました。もう死んで詫びるレベルですよね……というわけで死にます」

「いや、ミザリー、死ぬことはない。なぜなら、お前を許すからだ」

「!! ほ、本当っ?! な、なんて心が広いの、ハルオさんっ!!…………あんな、人としてどうかと思うほどの自慰行為にふけ、あろうことか、それで『服上死』するほどの情けない死に様をさらに私によってRECされ、天界にその動画を拡散されたというのに……そんな私を許してくれるなんてっ!!」

「う、うむ……私は寛大だからな。お前のその所業…………ゆ、許す」

「あ、ありがとう……ハルオさんっ!!」


 こ、こいつ、本当に『イージーモード・ライフの強制力』働いてんだよな?


 なんか、感謝しているようで若干ディスられているのは何だろう……。


 でも、確かに今のミザリーの言葉にウソ、偽りは感じられず、素直に感謝をしていることは間違いないだろう。


 となると……、


 おそらく、女神こいつが相手をイラッとさせる言葉を発しているのは、ただの『天然』なのだろう。


 たぶん、ちょっとバカだから深く考えずに素直に感情を言葉にしているんだろうな。


 う~む、これはしょうがないか……。


 ということで、俺はとりあえずミザリーの悪行を許すことにしたが、これは誰かがミザリーの『天然』を直したほうがいいだろうと考える。


 ちょうど、一人適任者がいるしな。


 何を隠そう…………俺だっ!


「おっ、そうだ! 良いことを思いついたぞ。おい、ミザリー、お前も私と一緒に異世界に付き合え」

「ええっ?! わ、わたしがっ! そ、そんな……ハルオさんと一緒に異世界に行くだなんて…………できれば行きたいのはやまやまだけど、上司の……天上神てんじょうしん様が許してくれ…………」

「ミザリーよ……」

「!! て、天上神てんじょうしん様……っ!」

「かのハルオがそう言ってくれるのだ。その言葉に甘えなさい……」

「!!……い、いいのですか!? わたくしがハルオさんと一緒に異世界に行っても…………」

「良い。いろいろと学ぶことが多いじゃろう……大いに励んできなさい」

「ありがとうございますっ! 天上神てんじょうしん様っ!! ありがとうございます!!」


 ミザリーは心の底から俺と異世界に行くことが嬉しいようだった。


 それにしても何という変化だ。


 さっきまでの『女神の皮をかぶったクソ女』のミザリーとはまるで別人だ。


 これもこの能力……『イージーモード・ライフ』の為せる業ということか。


『イージーモードのライフ(人生)』…………か、なるほど、その名どおりの力だな。


「では、行ってくるがよい、ハルオ。ミザリーをよろしく頼むぞ」

「うむ、わかった。ミザリーのことは俺がしっかり教育してやろう」

「ありがとう、ありがとう……ハルオさんっ!」


 さすがに、ここまで俺への態度が変わりすぎるのを見ると逆に怖さを感じるが、まあ、悪い気はしないので慣れるよう頑張ろう。


 そうして、俺と女神ミザリーは異世界へと転移した。


 プロローグ 完



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