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イージーモード・ライフ  作者: てんやもの
プロローグ
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プロローグその1

おひさですっ!


何とかアイデアやシナリオをまとめることができたので、予告どおり、新作を投下いたします。

ちなみにコメディー要素メインのお話です。


こちらもどうぞ、よろしくお願いします。



「目覚めなさい、鈴木ハルオ。その残念な死に方……ぷぷ……コホン。尊き死を迎えた鈴木ハルオよ……目覚めなさい…………ぷぷぷ、くはっ!」


 俺は、まるでこの世のものではないような透明感を放つ瑞々しい声に、何やら凄くさげすまれ感を漂わせる言葉を掛けられ…………目が覚めた。


「……ん……こ、ここは?」


 目を開けるとそこは真っ白なだだっ広い部屋で、目の前には淡く透き通るような青の長い髪の女性が立っていた。


 その女性は何やら目が…………涙目だった。


「……私は、女神のミザリーと申します」

「女神?……てことはここは天国?」

「いいえ……ここは天国ではなく、その天国に行くか、地獄に行くかを審査する『神判の部屋』です。あなたは今しがた、今……しがた……くふ……自分の部屋で……ぷぷ……お亡くなりに……」

「部屋で? 亡くなった?」


 俺はボーッとしている頭をシャキっ! とさせ、自分が死んだ時のことをよ~く思い出してみた。


「た、確か……俺は部屋でアニメを見てて、その後眠くなったので寝る前にいつもの……いつもの………………あーーーーーっ!!!」

「!!……ま、まさか、ハルオさんっ! あなた……自分の死を…………」

「思い……出したーーーーーっ!!!!」

「キャーーーー! ハルオさんが、思い……出したーーー!!!」


 なぜかテンションが上がる女神ミザリーと、自分の死を思い出した途端、そのまま両手で顔を覆い隠すハルオ。


「くく……ど、どうした、の?……ハ、ルオさん?」

「あ、あの……もしかして…………知ってるんですか? 僕の…………死因?」

「知ってるもなにもっ! それ、動画でRECされて天界中に拡散されてますよーーーーーっ!」

「いやぁあぁあぁぁああああぁぁ~~~~っ!!!!」


 俺は……俺の死因は…………『服上死』だった。


 ちなみに『服上死』とは主に男性が女性と性交中に『過度に励んだ結果として婦女の上で消耗し死ぬこと』とウィキに記されている。


 しかし、俺の場合は性交中ではなく『自慰中』に…………起こった。


 しかも、その直接的な死因は『瞬間接着剤の使用』によるもの……だった。


 そして、その天界の何者かが俺の死に様をRECし、しかもその動画を拡散させ、それが天界中で目下、話題になっているとのこと。


「すごいっ! すごいよ、ハルオさんっ!!『鈴木ハルオ』と『瞬間接着剤』が物凄い勢いで『天界ツレッター』の上位トレンド入りを果たしているわよっ!!!」

「…………」


 なるほど。


 俺が『何者か』ということと『瞬間接着剤を使った自分慰め』がいかに天界の皆さまの興味を引いたかがわかるな。


 それよりも。


 この『女神』や『天界の様子』を見聞きする限り、ここは…………、


 ろくでもねぇ~~~~~~場所。


 ということだけは理解した。


 おかげで、さっきまで『恥ずか死ぬ』ほどのはずかしめを受け絶望していた俺だったが、ここまで人をコケにし、バカにし、人の『恥ずかしい死に様』をRECし、その動画を本人の許可なく拡散しておいて何とも思わないこの世界に腹が立った………………がっ! さすがに女神や天界を相手にケンカを売るほどバカではない。


 逆に、そのおかげで冷静さを取り戻した俺は、とりあえず、『神判の部屋ここ』で天国行きにしてもらえるよう怒りを収め『賢者モード』へと移行した。


 それにしても『日本サブカル文化』浸透し過ぎだな、天界ここ……。


「……死んでまでそんな辱めを受けるって……そんな動画をRECして拡散する天界って…………俺っていう存在は死して尚、こんな辱めを…………」


 俺は、女神が大爆笑している横で「この世にも、あの世にも、救いなんてないんだ~~~……」などと絶望した『演技』を見せ、女神このクソおんなが「あんたかわいそうだから天国に行っていいわよ」と判断してもらえることを期待した。


「ご、ごめん、ごめん……ぷぷ。そ、そんなに落ち込むこと…………あるか。あははは……」


 この野郎。


 それにしても女神のくせに本当にヒドイ奴だな。


 こんな奴が女神をやってる天界ここってどうなの?


 もはや、『天国』さえもちょっと怖くなってきたわ。


 い、いや、いかん、いかんっ!? とは言っても、地獄に行くよりはきっとマシなはずだっ!


 ここで判断を見誤ってはいけないっ!!


 俺はかたくなな決意を胸に、まさにガチの『天国行きのチケット』をゲットワイルドするため、気合いを入れて女神(クソビッ〇女)を『全力ヨイショ』していく。


「あ~笑った、笑った……。でも、あんたすごいわね、オナ……こほん。自分を慰めるのに『瞬間接着剤』をあんな使い方するなんて……ある意味天才よっ!」

「もうっ! ほっといてくださいっ!!!」


 俺は涙目で訴えて見せる。


 そういえば、こいつ……この女神、最初、涙目だったのは俺が死んだことに対しての憐れみの涙じゃなく………………爆笑した後の涙だったんだな。


 ふぅ~…………………『男女平等パンチ』を全力でお見舞い差し上げたいっ!!


「そうそう、そういえば、ハルオさ~……」


 女神こいつ、いよいよ、呼び捨てにしやがった。


「とりあえず、伝えることがいくつかあるからさっさと説明するわね。まず、ハルオはあんな『残念な死に方』をしたので……」

「おいっ!『残念な死に方』って言うなっ!」


 女神を俺のツッコミをスルーして話を続ける。


「……その動画を見た私の上司である天上神てんじょうしん様が同情したみたいでね、ハルオにせめてもう少し、楽しい人生を送らせてあげたい、と言ってきたの」


 動画の拡散力ぅ~、ですかね~……。


「それでね、ハルオには二つの選択肢があります」

「選択肢? 二つ?」

「まず一つは地球に戻って人生をもう一度やり直すこと。ちなみに、これを選ぶと『鈴木ハルオ』としての人生ではなく、イケメンで、お金持ちで、将来ずっと成功者として終わる人生が送れるわ」

「えっ? マジ? それいいじゃんっ!!」


 そんな人生なら『自慰で服上死』や『瞬間接着剤が死因』なんて人生にはならないだろう。


 しかも『顔がイケメンで、お金持ちで、将来は成功者』って、いったい何拍子揃ってんだっ! て、くらいの完璧超人じゃないかっ!


 これはもう、決定でいいんじゃないかな?


「……あと、もうひとつは、今、絶賛流行中の地球とは異なる世界……異世界へ鈴木ハルオのままで特殊能力……所謂いわゆる、チート能力を身につけて転移し幸せな人生を送る、というものよ」

「異世界っ! チート能力っ!!」


 なるほど!


 異世界か!


 しかも、チート能力付きっ!!


 う~む、これは迷うな……。


 ちなみに、俺はこれまでの人生……二十八でこの世を去ったが、その人生ではアニメやラノベといった作品を愛する人間だった。


 そんな人間なら誰もが願う『異世界転移』…………しかも『チート能力付き』という、まさにテンプレ要素ふんだんの構成に俺は心トキメカせていた。


「フッ、こんなの迷うまでもないな……」

「フッ……そうよね。この後の展開を考えれば、誰だって選ぶのは…………」

「俺は……………………元の世界でイケメンに生まれ変わる!!!」

「えええええ~~~~~!!!!」



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