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「早く来い、ボクはずっとここで待っている」
「だれだ、お前は、どこで待っている?」
「ボクは……で……待っている――」
「おはよう、お兄ちゃん。めずらしく一人で起きられたんだね……て、なんか疲れた顔してるけど……大丈夫? 遅くまでゲームしてたんじゃない? ダメだよ、学校のある日は、遅くまで起きてちゃ」
めっ、とリリに釘を刺される。
可愛いなぁ、相変わらず。
これ、俺の妹。羨ましいだろ?
こんな可愛らしい妹や、その他の可愛いオニャノコちゃんたちを守ろうと、俺は前回、ワンピースの少女の姿を探し求めたのだが。
あれ以降、二度と少女に会うことはなく、そして八周目。
何度も空振りして思ったのは、あの少女に会うのは、恐らくは、運が必要、ということ。
条件さえ満たせばいつでも出てくる例の黒いもやもやの化け物とはちがい、ワンピースの少女に会うには、たぶん、相当な運が必要だ。
これがゲームならセーブ&ロードで無理やり出現させるところだけど、現実はそうはいかない。
地道に休日のたびに一人で出かけるしかないのだ。
それは、酷く辛く地味な作業だけれど――
それでヒロインたちを救えるかもしれないなら、安い苦労だ。
八周目。
十月中ごろ。
半年たって、ようやく俺は、くだんの少女に、二度目の再会を果たした。
前回と同様、スーパーダッシュ&凝視。
彼女の目の色は………………金だ。
これですべてのパーツが揃った。
髪形、髪の色、服装、そして、目の色。
瞬間、俺の脳が、スパークする。
「あっ…………」
思い……出した!
夢か幻のように消えゆく彼女を見ながら、俺は、その正体に気付いていた。
白鳥麗華。
主人公とは別の学校で、休日、一人でデートスポットを訪れることで、極々稀に会うことの出来る、スーパーウルトラミラクルレアキャラ。
深窓の令嬢で、幼稚園のころから女の花園で育ち、まともに男性と会話したことのないという超お嬢様キャラ。
俺は確かに彼女を知っていた。
そして確かに、俺は彼女を見たことがなかった。
この相反する事実が示す、たった一つのこと。
没キャラ。
そう、作中にはいっさい出てこない、没キャラだ。
俺はこのキャラのことを、開発者のインタビューで読んだのだ。
実際に見たことはなかったからすぐにはピンとこなかった。
けれど、彼女のルックスに関する描写はインタビューで語られていたから、どこかで彼女を見たような気がしていたんだろう。
没キャラが、なぜか、この世界に、現れた。
なぜ――?
考えなければならない、その意味を。
俺は。
考えなきゃいけないんだ。




