07 帰ってきたクーデリア
翌朝、ちょっ雨が降っていたがいつも通りジョギングして筋トレしてラジオ体操をしてから朝食をとり、昨夜のうちに用意した学校で使うもの一式に弁当と水筒を突っ込んで登校。
予想通りというかなんというか、祐のやつは欠席した。ここから数日来ないんじゃないかな?
学校生活もいつも通りだ。授業は真面目に受け、休み時間は友達とだべり、体育の授業ではチート扱いされる。『お前反則!』とかいうやつ意味がわからない。頭大丈夫か?それで仕方なく手を抜いてやると何故か通知表の体育の評価が下がる。……まぁ、俺学歴関係ない生き方するから別にいいんだけどね。
授業が終れば、掃除をして部活にいく。今日から最後まで居られる旨をキャプテンに伝える。
「え?もういいのか?よし。がんばれよ!」
今日は夕飯分の弁当も片して部活を終え、一応クーデリアの様子を見に行く。……いや、別に祐のことが信用できないとかじゃないよ?
社家に到着。執事ロボさんに暖かく出迎えられた。リビングでは祐とクーデリアが熱心に何か話していた。
「あっハルヤ様。」
「やぁ、ハル。様子を見に来たのかい?相変わらず心配性だね。」
「あぁ。その様子だと大丈夫そうだな。進展の方はどんなもんなんだ?」
「順調だよ。というか俺的にはこの世界でも普通に魔法が使えることに驚きだよ。魔術師とか実はこの世界にもいたりするのかな?」
そういう祐の掌は淡い光を放っていた。
俺にもできたりすんなか?
「そうか。それで、どんくらいかかりそうなんだ?」
「ん〜どうなのかな先生?」
「……この調子だとあと二週間もあれば終わると思いうのです。」
小さい声で『私の10年は一体……』と呟いたのが聞こえた。不憫だ……。
それから一周とちょっとは何事もなく過ぎていき、予想通りクーデリアの予想よりも早く祐はクーデリアの知識を奪い切った。クーデリアがさらに凹んでいた。
「それじゃ、クーから得た知識と自分の知識で召喚魔法を再現できないかやってみるよ。あ、並行して武器集めもやりたいから幾つか外国に行くことにすることにするね。あとクーデはもう用済みだから連れて行っていいよ。」
「よ、用済みですか…。」
「気にするなクーデリア。こいつには往々にしてよくあることだ。それにしても武器って……今の社会で集められるものなのか?」
「ちょっとだけリスキーだけど紛争国とか行けばお零れがあるかもしれないだろ?他にも普通に軍関係の人と交渉して融通してもらってもいい。あと、クーと話しててちょっとした密輸方法を思いついたから」
「……まぁ、祐ならなんとでもするんだろうな。」
「ああ。それじゃ、用意できたらハル達も呼ぶからそのつもりでね。」
「なるべく安全なところに読んでくれよ?」
「検討しておこう。」
そういうわけで帰ってきたクーデリアを歓迎するべく急遽『クーちゃんおかえりなさい会』が催された。……微妙に歓迎できていないのが1人いたのはご愛嬌だ。
因みに政略結婚については俺には別に忌避感とかはない。俺は異性として好きっていう感覚がよくわからないためにまともな恋愛をしたことがない。告白とかされたことはあるけど誠実に向き合う自信がなかったので断ってきたし、俺の被害者が減らせるかもしれない、とシスコン疑惑は放置した。結果冬華が加速した気がするのは気のせいだと思いたい。まだ10歳だしきっと大丈夫だ。冬華には普通に恋愛してもらいたいとおもう。……彼氏の最終試練にはなってやるつもりではいるが。
そういうある意味異常者な俺としては愛なき結婚というのは相手もそれでいいのであれば寧ろ望むところだ。……でもクーデリア恋愛したそうなんだよなぁ。
「それじゃ、ケーキ配るわよ!」
そうこうしているうちにパーティはつつがなく進行する。スパイス魔法はケーキにも普通に有効だった。香辛料っぽい味が出されたわけでもなく、ケーキがそのままお値段が一桁上がったような美味しさになった。それをしたクーデリアが1番感動している。目尻が光っているように見えるのは錯覚じゃないと思う。
最終的に雰囲気に酔っ払った冬華とクーデリアが仲良く踊っていた。