テーマパークの話
ほんのちょっと書き足しました。
ゲーセンで遊んだ次の日、今日は普通に部活のある日だ。
今日の朝食はクーデリアが作ったらしい目玉焼きと豆腐とわかめの味噌汁に白米だった。普通に美味しかった。
部活に行く頃には洗濯物を干していた。多分母さんより家事やってるんじゃないだろうか。
「モトヤ!こっちだ!」
「頼んだ晴哉!」
マークを振り切りフリーな状態になってモトキからパスをもらう。
「行かせるか!」
戻りの早いディフェンスに行くてを阻まれるが御構い無しに突っ込み、抜き去る。
「カバー!」
さすがうちのチーム。抜くためのタイムロスでディフェンスが戻ってきて突破された穴をふさいでいる。
俺はそれを強引に突破し、キーパーと一対一になる。
ここまでくればちゃんと練習している奴ならほぼ決める。当然おれのシュートもネットに突き刺さる。
「はぁー。今日も神がかってるな晴哉。」
「どうやったら止まるんだよお前……。」
以前体育の授業でチート扱いされると言ったが、それは別に体育の授業に限った話ではないのだった。大概のやつは俺にスポーツで勝つことを諦めている。
「てめー次こそ止めてやるからな!」
そんな俺にまともな対抗心を燃やしてくれるのがディフェンスの一年レギュラーの駒場真也。是非友達になってほしい。
「モトヤ!晴哉より木原のほうがフリーだったぞ!わかっていた上での判断ならいいがちゃんと見てたのか?」
「は、はい!初めは木原さんにパス出そうと思ってたんですけど得点力のある晴哉がフリーになったので、そっちに出しました。」
木原さんが悔しそうにしている。うちの選手はみんな気概にあるれていて本当助かる。前のチームは俺のせいで辞めちゃう人が結構いたので申し訳なくてちょっと居心地悪かったからな。
そんな感じで夕方まで続いた部活を終えて家に帰る。
「ただいまー」
「あ、お兄ちゃんおかえり〜」
「おかえりなさいです。」
「おかえり〜」
家に帰ると冬華とクーデリアがカルタで遊んでいた。言語学習も兼ねているようだ。母さんは読み手をやっている。
「いぬもあるけばぼうにあたる。」
「はいっ」
冬華がとった。さすがにこれは冬華が有利すぎるだろうと思ったがクーデリアも結構な枚数とっているようだ。この娘本当に学習能力高いな。
「どれくらいわかるようになったんだ?」
「もうクーちゃんひらがなは完璧だよ。」
「まだ書くのはちょっと難しいです。」
これって相当早いのか?未知の言語と文字をこの短期間で読み書きできるようになるなんて……。そう遠くないうちに翻訳機能無しでも会話できるようになるのではないだろうか。まぁ、そもそもこの学習スピードが既に魔法の補助効果なのかもしれないが。
「とらぬたぬきのかわざんよう。」
「はいです。」
今度はクーデリアがとった。冬華が悔しそうだ。
冬華達は昼間、近くのテーマパークに行っていたそうだ。
「お化け屋敷怖かったよね!」
「はい。お化けはともかく突然出てくるのでびっくりしました。」
特訓でゴーストやアンデットと散々戦わされたらしくお化け自体は全然平気のようだ。
「そうそう、クーちゃんびっくりしすぎてお化けの人殴っちゃってたよね!」
「不意打ちにはそう対処するように言われたんのです……。」
もう体に叩き込まれているらしい。
「あと、ジェットコースター全然平気なのは凄いと思った。」
「飛龍よりはマシですから……。」
そんなもん乗らなきゃいけない想定なのか俺……。
というかそもそもさすがに危険じゃないか?いくらなんでも一応王女様だよな……?
「コーヒーカップは楽しかったです。」
「……私は気持ち悪かったよ。クーちゃん回しすぎ。」
三半規管が強いんだな。これも訓練の成果だろうか?
「じゃあバンジーとかも怖くないのか?」
「あ、テレビでやってましたねそれ。楽しそうだと思いました。強いかどうかはやってみないとわからないです。多分大丈夫だと思うのですが。」
「私はお兄ちゃんと一緒ならやってもいい。」
まぁバンジーは俺もあんまり怖いとは思わないけどな。あ、なるほど。今わかった。クーデリアは俺についてこれるように矯正されてるんだ。多分先代勇者も俺みたいな運動神経チートで無茶苦茶やったんだろうな。つまりクーデリアがスパルタされたのは俺のせいだというわけだ。黙っておこう。あれ、まてよ。
「なんで王女が勇者についていくんだ?騎士団とかの人がついてこればいいんじゃないのか?」
「勇者召喚を行った王女にも特典能力がつくのです。それがとても強力なのでそういうことになっているらしいです。私は失敗したせいかまだ使えないのですが。」