幽霊なんか怖くない!
許せねえ!許せねえ!許せねえ!!
そう強く思いながら、ハルは階段をかけのぼる。
「ちょっと、ハ、ハル〜!待って待って!!」
そんなハルの後ろで、まいが大きな荷物を持った手をバタバタさせながら、叫んでいる。
「ねえ、ハル」
やっとハルに追いついたまいは、ハルに向かって質問をした。
「あの人、かっこよかったって言ってたよね?」
まいがさっきの男のことを口にした瞬間……
「撤回!!撤回!!顔だけだ、あんなもん!!
大体、人のスカートめくっておいてケチつけてんじゃねえよ!おまけにモテナイとか、体は女とか…!あんなの、イケメンの『イ』の字もない!!」
大声で怒鳴り散らすハルを見て、まいは、相当怒ってるなぁ〜と、感想をもらした。
「怒るだろあんなもん!ていうか、スカートめくられても怒らないまいがすげえんだよ!あーー!!思い出しただけで頭にきた!あいつ、かっこよかったから殴れなかったけど、次あった時はギッタギタのグッチョグチョにしてやる!!!」
まいは、ものすごい勢いで階段をのぼっていったハルを見つめながら
(楠木っていう人…死んじゃうかも……)
と、危機感を覚えた。
(くそくそくそ!顔だけだったら!!顔だけだったら最高なのに…!)
ハルは教室に入ってからも、楠木優のことを考えていた。
(でも…あいつ、私のことかわいいって言ってたよな…。それに、男っぽいからモテないって…)
もしかして、私が恋愛できないのは言葉使いとか、男の子みたいなしぐさのせいか…?
そんなふうに思い始めたハルは、頭の中でその考えをなんとか打ち消そうとした。
(いやいやいや!!あいつに言われたからって急に女らしくするなんて…絶対やだね!!私は私だ!!)
そうこうしているあいだにホームルームが始まり、ハルたち生徒は、朝の掃除を始めた。
「あ、そういえば、今日は一部の生徒には特別清掃区域に行ってもらうぞ。」
先生が思い出したように、ハルとまい、そしてクラスの男子2名を呼び出す。
「トクベツセイソウクイキ?なんですかそれ。どこに行けばいいんですか?」
ハルが聞くと、先生はあきれたようにメガネをいじり
「つまりだなぁ、廊下とか教室じゃなくて、美術室とか調理室とか音楽室とか…特別な教室を掃除するってことだ。」
なるほど、と心の中で返事をし、先生の次の言葉を待つと、先生が低い声で続けて言った。
「そのぉ、お前ら…特に片野は、度胸があるだろ?」
突然のその言葉にみんな驚きつつ、はい、と返事をする。
確かに、この男女4人のメンバーは、なかなか勇気がある人が多いような気がする。
「それでだなぁ。みんなが幽霊が出る、とか騒いでる、例の部屋…。そこなんだよ、お前達が掃除するのは。」
先生がヒソヒソと話すと、みんな声を合わせて
「ええ!?」
と叫んだ。
「例の部屋って、あの…元ランチルームですか!?」
まいが叫ぶと先生は、人差し指を口元にたて、シーッというポーズをとる。
そう例の部屋とは、ずっと昔にこの学校で、昼ごはんを食べる部屋として使われていた、ランチルームなのだ。
昔は使われていたが、今では誰も使わなくなり、ランチルームとしても教室としても使われない、オンボロの部屋で、さらにそこに幽霊が出る…という噂までたっている。
「先生、僕は大丈夫ですけど…。まいさんとか、その、女子をそこで掃除させるのはちょっと…。」
男子の1人、なよなよしてるもやしみたいに細い、おまけに背も低い人が、高い声でうったえる。
「大丈夫だ。朝っぱらから幽霊なんかでないだろ」
「えぇ…。先生、私怖いですよ。」
まいが怯えていると、先生は笑いながら
「大丈夫だって!幽霊なんかが出ても、片野が守ってくれるから!!」
ハルは、さっき楠木から言われたことを思い出して少しムスッとしたが、まいが隣でハル以上にムスッとしているのを見て、まいも怒るのか…と、感心していた。
❁
❁
❁
「あー!ったく、トクベツセイソウクイキかなんだか知らねえけどよー。面倒くさいこと山のごとしだ!」
全てをあきらめたハルと3人は例の部屋へと、進んでいた。
「ハル、怖くないの?」
まいが言うと
「うん!全然怖くねえよ!むしろ、幽霊かかってこいだ!」
と答えた。
……………が
ハルは内心、ちょうぜつビビっていた。
(やばいよ。これは非常にやばいよ。うぅー!!幽霊とか無理なのに…!!でもみんなの前で変なところ見せたくない…)
そんなことを思っているとは、誰も知らず…
「ついたよ」
気がつけばもう、目の前に例の部屋のドアがあった。
「入るよ…」
ハルがドアノブを回そうとした瞬間!!
ガチャっ!と勢いよくドアが開く。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
思わずハルは、女の子らしい悲鳴をあげてしまった。
「え、まじで?」
驚いたハルの耳に、もっと驚く声が聞こえる。
泣きそうになりながら顔を上げると、そこにはあの、最低男…
楠木優がいた。
「あ、そういえば言ってなかった。」
そのころ先生は、のんびり職員室でコーヒーを飲みながら、言い忘れに気づいていた。
「他のクラスの人も一緒に掃除するから、仲良くしろって言い忘れたなぁ」
またまた書いてしまいました。
読みづらいところなどあると思いますが、
暖かい目で見てやってくれたら嬉しいです!!