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オハヨウトオル2

「ねぇさん、今日は静かっすね。いや、調子悪いんすかっ?」


デートした翌日、私はイケメンチキン先輩に心配されるほど可笑しいみたいだ。それとも、普段うるさいって言われただけ?

現在、本を棚に戻しているのは一学年上で故意にハーレムをつくってしまう、残念な先輩である。ちなみに私の桜についた悪い虫の兄でもある。まぁ、現在は弱みつかんで委員会の手伝いをしてもらっていますが。


「イケメンチキン先輩、今度から下見先輩って呼ぶね。それと、もう手伝いに来なくていいから」


私が顔をうつ伏せたまま、適当に答える。ちなみにスマホに残ってる下見先輩が大勢の女子生徒に追いかけられているムービーは消さない。これはお宝映像になること間違いなしなのだ。……てのは置いといて、なんかやたら周りが静かになった。どうしたのかと思って顔を上げたら下見先輩が私の足元で土下座していた。怖い。


「何してるの下見先輩」


声をかけるとぱっと私の手を掴んでなにやら力説してきた。


「ねぇさん。俺はもう必要無いんですか。俺に先輩なんてつけねぇんでいいっす。どんどんパシってくらて構わないっす。俺を捨てねぇでくださいっす。ねぇさんにしてもらった恩は一生忘れらんねぇんです。……もしかして、神無月さんとヒロが付き合い始めたからっすか。ねぇさん――」


下見先輩の力説に呆気にとられている私の手をつかむ先輩に誰かの手が重なった。そして、然り気無く私の手から先輩の手を外した。


「下見先輩、図書室では静かにですよ」


しぃっと人差し指を立てていう、徹。今日は少し委員会に行くの遅れるっていってたけどタイミングよすぎ。いつもとなんらかわらない徹と視線が合うと彼は花が咲いたようにぱっと笑う。私は火がついた様に真っ赤になった。元々、下見先輩を力説させたのは私だが、私をそんなふうにさせたのは勿論徹だ。理由? それは昨日のデ、デートに遡ることになる。


「アニキからも何とかいってくださいっす」


今度は徹の足元で土下座して頼み込んだ下見先輩を――


「下見先輩、そろそろ脱残念イケメンした方が言いと思いますよ?」


――徹が軽くあしらっていたのを勿論私は知らない。 

 


(昨日)


デートと言うのはお姫様みたいな女の子と王子様みたいな男の子がするものだと今も思っている。だから自分が体験することに今だ慣れない。可愛い系やカッコイイ系の服をベットに並べて一つ一つ鏡の前で合わせてみる。


「スカートは外せないし、カッコイイよりは可愛い方がいいのかな?

徹は可愛い方が好きそうだけど、セクシー系のほうが……」


頭が混乱してきた。徹ごときにこんなに悩むなんて。異性とのお出掛けは中学ぶりで緊張する。あの時はこんなに悩まなかったな。



こんなに悩む理由はやっぱり相手が徹だから。



べた惚れなの絶対内緒。絶対調子乗るもん。時計を見ると持ち合わせまで後三十分。そろそろ決めないと確実に遅刻だ。自室の散らかった惨状を見て見ぬふりして桜と買ったワンピースを着る。後はメイクをして、髪をセットして。


結局待ち合わせの十分前に家をでて、駆け足で待ち合わせ場所に向かった。



「走ったの? 顔真っ赤だよ文乃」


「と、徹の癖に私より先に来るなんてずるい」


「なにそれ。彼氏なんだから彼女より先に来るのは当たり前だよ」


そんなさらっと彼女と明言されるとなんか胸にくる。さらっと右手を繋ぐ。なんかこう、行動に無駄がない。


「……手馴れてる」


ぼそっと呟いた私の呟きに彼は繋いだ私の右手を引っ張り耳元で囁く。


「残念ながら文乃が初彼女です」


顔を真っ赤にして黙った私を彼は満足そうにエスコートする。まだ、デートは始まったばかりなのにすでに胸焼けしそうだ。







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