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Le Pape 前編

今回も短いですがよろしくお願いします、また至らぬ点も多々ありますが誤字脱字、ご批評等をいただけると非常に嬉しいです

 ロマネンコ中隊が壊滅したのは戦闘が始まってからきっかり三時間後、損害も死傷者を合わせて100人行くかどうかの軽微な数字だった。

「どうだロマネンコ中尉、自分の部下を全て失い、一人生き残った気分は」

ビティア・ロマネンコは戦闘の終盤、森の中でひっそりと死のうとしていた所を鹵獲された。

現在彼は肉に深く食い込む程、腕と足を縛られ露出している皮膚には戦闘以外の傷があちらこちらに生々しく残っている。

「私は君の同僚のミーシャ・シクロフスキー中尉とも戦った、彼は勇敢に戦ったぞ」

彼には少々手こずったがな、そう言ってエイブラハムが嘲笑する、自殺防止用に噛まされた猿轡の奥で敗軍の中尉が呻く。

「貴君がアレン少佐やカザコフスキーの在り処を、嘘偽りなく教えるというのなら、貴君の身柄は保証しよう、後でロシアにも送ってやるぞ」

ロマネンコの眼底に殺意が宿る、エイブラハムはやれやれと首を振ると部下に命じてロマネンコを護送車に運ばせた。

「どう思いますか中佐、奴は吐くと思いますか?」

先程まで森の中で陣頭指揮を執っていたらしく泥に塗れたトルブスキー少佐が問い掛ける

「あそこまで頑固だと喋らんだろう、しかしロマネンコがあそこまで頑強に口を噤んでいるという事は彼らの予定ではまだアレンは脱出していないと云う事だろう」

奴らはまだこのイラクの広大な大地を彷徨っているという事ですね、そう言ってトルブスキーが頷く。

実際トルブスキーも三時間だけであるとはいえ不慣れな山岳戦の指揮を執り少し憔悴しているのであろう

「まあ、貴官はしっかり休め、後の事は私とゴア少佐が片付ける」

トルブスキーは礼を言うとその場を去った

「あれだけの犠牲を払ったのだ・・・みすみす逃してたまるか・・・」

そう呟くとエイブラハムは先程までロマネンコが座っていた場所を呆けたように見つめていた。

 太陽の光が生けとし生けるものに活力を与えるのなら、月はそれを吸い取る魔性の光である、もしそうだとしたら満月の夜には誰も夜道を歩けないであろう。

十九連隊の面々が集められたのはそんな月が輝く夜だった。

「諸君らを集めたのは他でも無い、リン少尉読み上げろ!」

リンどころかエイブラハムが興奮した面持ちである事が幕舎の中に更に異様な空気を齎している。

「はい!本日午後13時09分、東部ホラーサンーン野戦軍本隊にロシア軍小隊250人が攻撃を仕掛けました」

恐らくこの世界という物は時折、常識という物を徹底的に排除した大逆転劇(ジャイアントキリング)を敗北寸前の者に与える。

「野戦軍指揮官、リヨンズ少将は二個歩兵師団と」

リンの声が興奮した声から恐怖を帯びた声に変わる

「一個混成旅団、一個砲兵大隊で迎撃」

この天地の狭間には、人々の思索にも及ばぬ理が、塵芥の如く存在する、デンマーク王の亡霊はそう語った。

「これにより野戦軍は壊滅」

ならばこの世は舞台、男も女も赤子も老人も皆役者に過ぎない。

「野戦軍の本体である二個歩兵師団と三個混成旅団、四個砲兵大隊はほぼ全滅!イラン全域に展開している三個歩兵師団及び二個工兵旅団はアフガニスタン方面に撤退を開始しています」

ただ神からあたえられる滑稽な悲喜劇を演じているのみ。

「リヨンズ陸軍少将は戦死!及びヘイズマン参謀長も生死不明、各師団長、旅団長も全員死亡した模様です」

‘消えろ、消えろ、束の間の蝋燭(いのち)。人生は歩く影に過ぎず、持ち時間だけ舞台を気取って歩き、喚き、やがて噂にもされなくなる、つまらない役者に過ぎない。’

マクベス‘第五幕 五場’マクベス より

だんだん文体が迷走しています。

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