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第9話 一緒に登校

 恵が優太に抱き付き、しばらくキスの雨を降らせた後。

満足した恵が、ようやく優太から離れる。




 「お姉ちゃ〜ん、もうダメだよ〜」


 「ごめんね〜、優ちゃん(ペロッ)」




 恵が離れた所で、キスで濡れた頬を拭きながら抗議する優太。


 しかし、恵は一応謝るが、舌をチロリと出して余り反省して無い様だ。


 そして恵が何気無く、壁に掛かった時計を見たら。

もうそろそろ、家を出ないといけない時間になっていた。




 「いけな〜い、もう時間だわ」


 「お姉ちゃん、早く〜」




 時間が無くなったので、二人とも急いで家を出る支度をする。



 ・・・



 それから、ようやく出発する準備が出来たので、

玄関で恵がカバンを持って、優太が来るのを待っていた。




 "スカートの感覚にも慣れたかな・・・"




 最近では恵の中の歩は、下半身がスースーする独特の感触にも。

余り、違和感を持たなくなっていた。




 「お姉ちゃ〜ん」


 「あ、優ちゃん、じゃあ行こうか」


 「うん♪」




 そんな事を思いながら待っていたら、優太がランドセルと背負(しょ)って来たの見えたので。

恵がそう言うと、その声を聞いて優太が嬉しそうな顔で返事をする。


 大好きな姉と、一緒に登校するのがとても嬉しいのだ。


 こうして仲良し姉弟が一緒に、玄関を出たのである。




 *********




 朝の通学路を、恵と優太が並んで歩いている。


 当然、手を繋いでである。




 「でね、今日は体育で、長距離走があるんだよ」


 「そうなの? じゃあ、頑張ってね優ちゃん♡」




 二人で、そんな会話をしながら歩いている。


 繋いでる優太の手は、男の子だけどまだ小さいので。

フニフニして、とても柔らかい。


 そして歩く早さも、恵は優太に合わせていた。


 話をしながら歩いているので。

時折、恵は隣の優太を見る。


 恵が、隣の優太を見ると、とても可愛い笑顔になっていた。


 優太の、その笑顔を見ていると、自然と恵の顔も緩んでくる。


 こうして二人、笑顔で手を繋ぎながら歩いていた。



 ・・・



 「優ちゃん、ハンカチ持った? ティシュ持った?」


 「もお〜、お姉ちゃん持っているよ〜」




 小学校に着いた所で、恵が校門の前でしゃがみ込み。

優太を見上げながら、そう言って持ち物を持っているか確認する。


 優太は、自分が準備して持たせたのにも関わらず。

そう言っている姉に、呆れたように答えた。




 「じゃあ、行ってくるよ」


 「あ、待って優ちゃん」


 「なぁに〜?」


 「(チュッ♡)」




 校舎に向かおうとした、優太と止めると。

恵はしゃがんだ状態から、立ち上がり。

そして、前かがみになりながら、優太の額にキスをした。




 「ほら、行かないと遅れるよ」


 「あ、うん、じゃあ、いってきま〜す〜」


 「いってらっしゃ〜い〜」




 ジッとしていたままの優太を(うなが)した後、笑顔で送った。




 *********




 後ろを何度も振り返り、優太が手を振る。


 立ち上がった恵が、小さく手を振りそれに答える。


 そして優太が校舎に入るまで、その行為が続いたのであった。



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