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第7話 ほら、起きなさい

 それから、一ヶ月後のある日の朝。




 「優ちゃん」


 「うう〜ん」


 「ほら優ちゃん、朝だよ起きなさい」


 「うう〜ん」




 恵が、優太を起こしていた。


 だがここは優太の部屋ではない。

ここは、恵の部屋であった。


 一人で寝るのが寂しい優太が、恵の部屋に来て一緒に寝たのである。


 母親は、泊まり込みで、服の買い付けに出かけており。

家には居なかった。


 恵の部屋はファンシーな雰囲気の、如何(いか)にも女の子らしい部屋であるが。

本来の恵の好みとは、異なっていた。


 本来の恵は、どちらかと言ったら。

甘くない、クールな物を好んでいたのだが。




 ”折角、女の子になったのだから。

可愛い物に囲まれたいなあ〜”




 可愛い物好きの歩が、部屋を模様替えしたのである。




 「ほら〜、起きなさい〜」


 「(ゆさゆさゆさ)」


 「うう〜ん、お願いお姉ちゃん、もう少し寝かせて〜」




 既にセーラー服に着替えている恵が、優太を揺すって起こすが。

優太が、甘えたような声を出して、まだ寝かせる様にねだる。


 最初の内は、そんな優太が可愛く思えて。

優しく、揺すりながら起こしていたのだが。


 しかし、なかなか起きない優太に、業を煮やした恵が。

布団の中に手を入れ、優太をくすぐり出す。




 「(なで〜り〜、なで〜り〜)」


 「きゃっきゃっきゃっ!」




 恵は、くすぐると言うより。

どちらかと言えば、優太の体を撫で回している。


 体を滑る、柔らかい手の感触を受けて。

優太が、体を(よじ)らせていた。




 「さあ、早く起きないと、まだくすぐるよ〜」


 「止めて、止めてよ〜、おねえちゃ〜ん」




 恵がくすぐりながら。

優太の子供らしい、キメが細かい肌の感触を堪能(たんのう)していた。


 一方の優太は、必死に止めるように懇願(こんがん)する。


 必死で懇願する、優太が可愛そうになり。

恵が、やっと止める事にした。




 「もお〜、ひどいよ、お姉ちゃん〜」


 「くすくすくす。

早く起きない、優ちゃんが悪いんだぞ〜」




 のろのろと起きだし、文句の言う優太に。

恵はそう言って、優太の額を人差し指でツンと突く。


 しかし恵は。

内心では、触り心地が良い優太の肌を、もう少し撫でたかったのである。


 そうやって、内心の未練を隠しながら。

恵は、ベッドから起きた優太を連れて、部屋を出て行った。




 *********




 それから二人は、そのまま優太の部屋に入った。




 「はい、優ちゃん、パジャマを脱いで」


 「は〜い」




 部屋に入ると。

恵がそう言って、優太のパジャマを脱がせる。


 それから、傍らにある優太の着替えを持ち、優太に着せた。



 ・・・



 最近では、恵が優太の世話をしているのである。


 姉弟二人きりで、しかも弟が幼い場合。

姉が世話をするのが普通であるが。


 今まで、恵は家の事は(ほとんど)ど何もせず。

当然、優太の事も放置で。

必要最低限の事を、まだ小学二年生の優太が行っていた。


 当然、手入れが行き届かないところもあり。

家の中が汚れている部分もあったのだが。

歩が、恵の中に乗り移った後。

打って変わって、家の事も、優太の世話もするようになった。


 そうなると、今までと違い家の中が見違える様に綺麗に変わった。


 元々歩は、炊事洗濯などが好きな、余り男らしくない所があり。

それもあって、男の時は、生き辛さを感じていたのである。


 そういう部分があった上。

可愛い優太の世話をするのが、楽しくて仕方がなかった。


 また優太の方も、今まで自分を邪険に扱ってきた姉が。

急に優しくなり、自分の世話を甲斐甲斐(かいがい)しく、見てくれる事が嬉しかったのだ。




 「はい、男前男前」


 「お姉ちゃん、ありがとう〜」




 服を着せ終わった恵が。

優太の頭を撫でながらそう言った。


 優太も機嫌良く、恵にお礼を言う。




 「じゃあ、ご飯を食べようか」


 「うん、お姉ちゃん」




 二人は、こうして一階へと、朝食を食べに降りたのであった。




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