第32話 妹になった弟
今回の話は、弟が女装する内容です。
ある日の夜。
二人がTVを見ながら、居間でリラックスしていたら。
「ねえ、優ちゃん〜」
「なに〜?」
不意に、恵が優太に声を掛けてきた。
「ちょっと、お姉ちゃんの部屋に来てくれないかなあ?」
「うん、いいよ〜」
恵が、自分の部屋に来るよう優太に言うと。
優太が特に考えること無く、返事をした。
それから、優太が恵の後を付いて。
恵の部屋へと向かうのだが。
その優太の前を行く、恵の顔は。
何だか、良からぬ事を考えているかの様な。
不気味な笑みを見せていたのであった。
*********
恵と優太が、部屋に入ると。
すかさず、恵がクローゼットを開き、一着のワンピースを取り出した。
そのワンピースは、白地にフリルとレースで飾り付けられている。
ファンシー感満載の、代物であった。
いかにも、恵が好みそうな服ではあったが。
しかし、それにしては、サイズが小さ過ぎるのだ。
「ねえ、優ちゃん、これ着てくれないかな〜」
「え、ええ〜っ!」
恵が、そのワンピースを、優太に突き出しながら。
そう言った。
以前、店で優太に、女の子の服を着せようして失敗したが。
諦めきれない恵は、数日前に自分の趣味かつ、優太に似合いそうなワンピースを発見して。
すかさず、その場で購入していた。
ちなみに、いつも服を着せたり、洗濯をしていたので。
当然、優太の事を熟知している恵は、服のサイズに関しても、問題ない物を選んだのである
「何で、僕が女の子の服を着ないとイケナイの〜!」
「後で、優ちゃんがしたい事をして良いから、いいよね♡」
「・・・、しょうがないなあ〜」
恵が自分の胸を、両手で抱えながら持ち上げ、それを優太に見せつけると。
優太がそれを見て、渋々ながらも了承したのであった。
・・・
「さあ、出来たよ〜」
「・・・」
服を着せた恵が、そう言うが。
優太は、まだ複雑な表情を見せていた。
「ほらっ、見てごらんなさい」
恵が、優太を連れて姿見の前に連れて行く。
複雑な表情の優太が、姿見を見てみる。
「え! 誰なの?」
「ん? 優ちゃんじゃないの〜♪」
「そう・・・」
優太は最初。
鏡に写った自分を、認識する事が出来なかった。
姿見には、髪の長い、白くてフワフワした膝丈のワンピースを着た。
美少女が、写っていたのである。
頭には、ウイックを付けていたので。
髪が長くなっていたのだ。
優太自身が、自分であることが分からないほど、変わった事に。
恵が、満足した笑みを見せた。
こうやって優太が。
鏡に写った自分を、ボンヤリと眺めていたのだが。
”あ〜ん! 優ちゃん可愛いよお!”
そんな優太を見ていた恵が、無性に、”ムラムラ”し出した。
もう恵の中の歩は、心の方も相当女性化している様だ。
「ゆうちゃ〜ん!」
「(ガバッ!)」
「お、お姉ちゃ〜ん」
我慢できなくなった恵が、優太に抱き付く。
「(チュッ)」
優太に抱き付いた恵が、優太の頭を軽く頬ずりしたのち。
優太の唇にキスをする。
初めのうち、少し抵抗していた優太も。
恵からキスをされると、体から力が抜け。
抵抗するのを止めてしまった。
そして次第に、キスをされている優太の方も。
恵の背中に腕を廻して行く。
「・・・はぁ」
「はあ・・・、はあ・・・」
恵の唇が離れ、濃厚なキスが終わると。
恵は、満足そうな息を吐き。
優太は、荒い息を吐く。
「優ちゃん・・・」
「お姉ちゃん・・・」
二人は、お互いに焦点の合わない瞳で、しばらく見合った後。
どちらとも無く、再び抱き合った。
「もお・・・、優ちゃん・・・」
「ねえ、お姉ちゃん・・・、良いでしょ・・・」
「(すりすりすり)」
恵に抱かれた優太が、いつの間にか、恵の胸に顔を移動させると。
甘えるように頬ずりをし始める。
その摩擦により生まれた、微妙な感触に。
恵が反応した。
*********
こうして、女装した美少年が。
男の意識が入り込んだ、美人の姉と。
お互いに抱き合い、濃厚なキスをした後。
姉の胸に甘えながら、頬ずりをすると言う。
何重にも、倒錯的な光景が行われたのであった。