第3話 ごめんね、悪いお姉ちゃんで
今回から、弟が出て来ます。
しばらくの間、歩は、恵の両親に謝り続けたのだが。
そんな歩に、両親は困惑していたのだった。
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それから、歩がようやく落ち着いた後。
二人は一旦、部屋を出て行った。
”どうしたんだろうか、僕は・・・”
ベッドから身を起こしたままで。
歩が、これ程まで感情を爆発させていた自分に、驚いていた。
多分、女の子の体に乗り移ったために。
感情が、それに引き摺られたのだろう。
「(コンコン)」
「どうぞ〜」
そうやって、自分の心を見詰めていた歩が。
ドアをノックする音に気付くと、入る様に言った。
「(シャーッ)」
スライドドアが開き、一人が入って来た。
「お姉ちゃん、大丈夫・・・?」
入ってきたのは、小学校低学年位の男の子だった。
良く見ると、恵とソックリの美少年であり。
“お姉ちゃん”と言っているので、弟だと思われる。
歩がそう認識した途端、またも恵の記憶が流れ込んできた。
・・・
「お姉ちゃん・・・」
「もお、あんたはウザいから、近づくな!」
記憶の中にあの男の子が居て。
恵が、その子を罵倒する。
その子は、名前を優太と言い、小学二年生である。
名前通り、姉思いの優しい子であるが。
恵は、そんな優太を邪険に扱っていた。
優太が、荒れた生活の恵の事を思い、近寄ってくるが。
そんな優太の態度が、気に入らないのである。
恵は、乱暴な性格なので、優太の態度がハッキリしない様に見えて。
イライラしていたのだ。
しかし優太は、恵からそんな風に扱われても。
姉の事が、心配で仕方がなかった。
急激に流れ込む記憶を、眺めている内に。
歩は、恵にとても腹を立てる。
”こんな可愛いくて良い子に、何て事を!”
歩は元々から、可愛い物好きであったが。
女性の体に乗り移った所為で、よりその傾向が加速した上。
姉思いのいじらしい性格の優太に、感情移入してしまった。
「ねえ、お姉ちゃん・・・」
おずおずとだが、それでも姉を心配する優太。
そんな優太が、とても可愛くなり、歩は優太に話しかける。
「優太」
「(ビクッ!)」
歩が話し掛けると、今まで怒鳴られた所為か。
優太が、身を震わせた。
「ねえ、こっちに来てよ」
「(おそる、おそる・・・)」
歩が、自分の側に来る様に、手招きすると。
恐る恐る、歩の側に近づく。
そして、歩が寝ていたベッドの側に来たら。
「(ぎゅう)」
「えっ?」
歩が、優太をイキナリ抱き締めた。
そんな突然の行為に、優太が驚きの声を上げる。
「優太、今までごめんね、悪いお姉ちゃんで」
「お姉ちゃん・・・」
「そして、ありがとう、心配してくれて」
歩が、そう言って恵の代わりに、優太に辛く当たっていた事を謝ると。
抱き締めながら、優太の頭を撫でていた。
雄太も歩の胸に顔を埋めつつ、背中に手を廻してしがみ付く。
「優太、優太・・・」
「おねえちゃん、おねえちゃん・・・」
二人はお互いに抱き合いながら、泣いていた。
こうして、恵と優太は、ある意味初めて心を通わせたのであった。
スイマセン、予約投稿を間違えて、明日の話を今日投稿してしまいました・・・。