第29話 遊園地で遊ぶ(後)
ベンチでしばらく、休憩した恵は。
ようやく回復したので、優太と共に園内を、再び廻り出した。
「お姉ちゃん、良い景色だね〜」
「ホントだねえ」
今、二人は観覧車に乗っている。
さすがに、またキツい乗り物に乗る訳には行かないので。
とりあえず、観覧車に乗っているのである。
「ねえ〜、ウチは、あの方向かなあ〜」
「う〜ん、多分そうだと思うよ」
「あ、あれは、僕の小学校かな」
「えっ、ホントだ」
遠くに見える街並みを見て、優太が指差すのに合わせ。
恵が、そう答えた。
遊園地の周囲は、郊外の緑の多い風景であるが。
遠くには、恵たちがやってきた街が広がっている。
そうやって二人は、観覧車のが回っている間。
遠くに見える学校や、それに絡んだ話などをしていた。
*********
「ねえ、優ちゃん、おいしい?」
「うん、おいしいよ〜」
二人は、それから色々と回っていたら。
丁度、お昼になったので、食事をする事にした。
それで、近くにある。
オープンスタイルのレストランに向かったのである。
そこで、景色が良く見えるテーブルに座り。
優太はナポリタン、恵はカルボナーラを頼んだ。
しばらくして、頼んだ物が来た所で、二人は食べ始めるが。
恵は、フォークが止まった状態で、優太の食べる様子に見入っていた。
「あれ?
お姉ちゃん、食べないの?」
「あ、ごめんごめん。
優ちゃんが可愛かったから、ついね」
「・・・」
恵の言葉を受けて、優太の顔が赤くなる。
そんな優太を見て、恵がクスクス笑った。
・・・
「ごちそうさまでした」
「あ、ちょっと待って」
ナポリタンを食べ終わった優太に、恵が声を掛ける。
優太が止まってから、恵がナプキンで優太の口の廻りを拭く。
優太の口の回りが、ケチャップで汚れていたのだ。
「はい、綺麗になったよ」
「お姉ちゃん、ありがとう〜」
恵がそう言うと、優太がお礼を返した。
”ホント、優ちゃんは良い子だね〜”
「(なでなでなで)」
そんな、素直にお礼を言う優太が、可愛くなり。
恵が、ご褒美に頭を撫でてやった。
それから恵も食べ終えると、二人で、また園内へと出発したのである。
*********
「きゃ〜〜!」
「おねえちゃ〜ん〜」
暗い室内で二人は、叫んでいた。
今、二人は、お化け屋敷に入っていたのだ。
「ゆ、優ちゃん、だ、大丈夫・・・?」
「こわいよ〜、おねえちゃ〜ん!」
姉と言う体面から、優太に話しかけるが。
そう言う恵自体が、優太に抱き付いている。
そして、当の優太は、恵にしがみ付いていた。
「バ〜ア〜!」
「きゃ〜〜っ!」
「いや〜〜!」
イキナリ飛び出した、お化けに驚き。
二人が叫びなら、抱き合った。
恵に乗り移った歩が、極端な怖がりになっているのもそうだが。
実は、優太も特に、心霊関係で結構怖がりであるのだ。
なので、お化け屋敷で。
一緒になって、叫び声を上げている。
ある意味、歩が恵に乗り移った方が。
姉弟として、似ている二人であった。
・・・
「は〜、怖かった」
「ホントだね〜」
お化け屋敷を出た二人は。
近くのベンチに座り込んでいた。
「優ちゃん、怖くなかった?」
「怖かったけど。
お姉ちゃんと一緒だったから、大丈夫だったよ」
「優ちゃ〜ん〜」
隣に座る優太に、恵が自分の事を横に置き、尋ねるが。
優太の答えを聞いて恵が、感激して優太を抱き寄せる。
優太の方も、頭が恵の胸に収まると。
恵の胸に頭を乗せ、甘え出した。
こうして二人が、ベンチに座りながらイチャついて内に。
先ほどまでの怖い思いも、いつしか忘れてしまったのであった。