第27話 遊園地で遊ぶ(前)
駅で電車に乗り、電車に揺られて一時間程で。
目的の駅へと着いた。
そこから目的の遊園地は、歩いて10分程の至近距離にある。
「もうすぐだからね」
「うん〜♪」
大好きな姉と、楽しい遊園地に行く優太は。
ウキウキ気分になっていた。
”もお〜、そんなに嬉しいんだ〜♪”
そんな優太を微笑ましく見ていた、恵の足元の方も。
心なしか、軽やかに見える。
*********
「わあ〜〜!」
入場口のゲートを潜り、中に入ると。
中の会場を見て、優太が声を上げる。
今日は日曜日だけあって、家族連れやカップルで賑わっていた。
「ほら、行こう」
「うん、お姉ちゃん」
テンションが、マックスになっている優太を見て。
恵の顔が、さらに緩んだ。
それから、廻りをキョロキョロ見ている優太に。
恵が先を行こうと、促す。
「ねえ、優ちゃん、最初にあれに乗ろう〜」
一緒になって、遊園地の中を進むと。
ある乗り物を発見した恵が、それを指差した。
*********
二人がある設備に入り、乗り物に乗る。
その設備は、カラフルで全体的にメルヘンチックな装飾がされていた。
そして二人が乗った乗り物は、強化プラスチックで出来た。
馬や馬車の形をしている。
つまり、二人はメリーゴーランドに乗ったのである。
恵が木馬に跨り、その前に優太も跨った。
恵の体に乗り移った歩は、元々可愛いもの好きな所に。
女の子の体の影響で、乙女チックな趣味を持ってしまっていた。
その為、メリーゴーランドを見つけた恵は。
小学生低学年の、優太を連れていたのもあり。
何の遠慮もする事も無く、乗る事が出来ると思った途端。
そのままメリーゴーランドに向かったのだ。
「ひょっとして、優ちゃん嫌だったかな・・・」
「ううん、そんな事無いよ〜」
しかし、よく考えれば。
幼いとは言え、もう小学生の男の子に。
メリーゴーランドはどうかと言う事に気付く。
「僕、お姉ちゃんと一緒なら、どこでも良いよ」
だが、優しい優太は。
姉が、可愛い物を好きなの知っていたので、望むようにさせたかったし。
何より、恵と一緒に居る事自体が楽しいので、それでも良かったのである。
・・・
「(〜♪〜〜♪♪〜♪〜〜♪♪)」
スピーカーから、オルガンの曲が流れる。
その曲に乗って、メリーゴーランドが回って行く。
「「「きゃっきゃっ」」」
回転する、メリーゴーランドのあちらこちらから、幼い歓声が聞こえてきた。
「優ちゃ〜ん、楽しい?」
「うん、楽しいよ〜」
そんな歓声の中に、二人の声もあった。
思ったよりも、楽しんでいる優太に。
恵が、安堵する。
「お姉ちゃんも、楽しいよ〜」
そう言って、恵は。
優太に廻していた腕に、力を入れながら抱き締め。
頬を、優太の頭に乗せた。
恵自身も、自分が好きな、メルヘンチックな雰囲気の乗り物に。
大好きな弟と二人で乗っているので、楽しくてしょうが無かったのだ。
こうして二人は、時間が来るまで。
メリーゴーランドを楽しんでいた。
*********
「楽しかったね♡」
「うん〜♪」
満足そうな顔をして、二人は木馬から降りてきた。
降りてきた恵と優太の足取りが、乗る前より軽いのを見ても。
二人が、満足しているのが分かる。
そうしてメリーゴーランドから出て来ると、再び手を繋ぎ出した。
手を繋いで二人は、軽い足取りのまま。
次の乗り物へと、向かったのであった。