第20話 休みの日の姉弟(前)
ある日曜日の朝。
「本当に良いの?」
「うん、掃除に洗濯は、昨日して置いたから。
お母さんは、今日は一日、家でノンビリすると良いよ」
恵とその母が会話をしている。
今日は、母親は休みの様だが。
恵は、それを気遣い、ノンビリする様に言う。
以前とは、性格が180度逆転したかの様な恵に。
不思議そうな思いを、抱いていた母であったが。
前と違い、家の事も優太の世話も積極的にしている。
親孝行な恵には、感謝をしていた。
「あ、お昼は外で取るから。
その分、ユックリして良いからね」
「・・・本当に悪いわね」
母親にそう言った後。
恵は、自分の部屋へと向かった。
・・・
「(ガチャ)」
恵が自分の部屋に入る。
中にあるベッドでは、いつもの様に、優太がまだ寝ていた。
寝ている優太に、恵はユックリと近づき。
「優ちゃん、起きて〜」
「うんん・・・、お姉ちゃん、今日は日曜日でしょ。
お願い・・、まだ寝かせてよ・・・」
「(チュッ)」
「(ビクン)」
優太を起こすが、まだ寝かせる様に、甘える優太を見た恵が。
寝ている優太の首筋に、キスをすると、優太が反応した。
「(チュッ、チュッ、チュッ)」
「(ピクピクピク)」
そうやって、起きようとしない優太の首筋に、キスをして行くと。
それに反応して、優太が体をビクつかせる。
「ちょっ、ちょっと、お姉ちゃん。
起きる、起きるから止めて〜」
「じゃあ、早く起きてちょうだい」
余りのくすぐったさに、我慢が出来なくなり。
優太が、のろのろとベッドから起き上がった。
「もお〜、お姉ちゃん。
今日は、日曜日なんだよ〜」
「だから今日、一緒に出かける約束してたでしょう」
「あ、そうだった」
無理やり起こされた優太が、恵に文句を言うが。
恵がそう言うと、寝ぼけた頭を回転させて、ようやく思い出した様だ。
「着替えるから、おいで」
「うん」
恵がそう言って優太を誘うと、二人は部屋を出たのであった。
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「それじゃあ、いってきま〜す〜」
「お母さん、いってきま〜す〜」
「いってらっしゃ〜い」
恵と優太は、母親に見送られて玄関を出た。
二人は、朝食を済ませた後、外へを出たのである。
・・・
「今日は天気が良くてよかったね」
「そうだね、お姉ちゃん」
二人が、仲良く手を繋いで歩いている。
恵は、白い丸襟オーバーに、淡いグリーンのカーディガンを羽織り。
紺色のミニスカートと、白のレース付きソックスを穿いていて。
足には、淡いピンクのシューズを履いた、キュートな格好であり。
一方、優太の方は。
白のプリントシャツに、デニムのショートパンツと言う。
シンプルな格好であった。
「〜♪」
恵と手を繋いでいる、優太が上機嫌で歩いている。
「優ちゃん、何だか嬉しそうだね」
「うん、そうだよ。
お姉ちゃんは、どお?」
「お姉ちゃんも嬉しいよ♪」
恵と優太は、お互いの顔を見ながら、ニコニコと笑っていた。
そんな二人が、手を握り合いながら、繁華街へと向かったのだった。