第13話 学校での弟
一方、優太の方はと言うと。
時間を遡り、朝の小学校の教室。
「おはよ〜」
「「「おはよ〜」」」
優太が教室に入ると、すぐに挨拶をした。
すると、何人かの生徒が同じように挨拶を返す。
こうして、挨拶を済ませてから。
優太が自分の席に行き、そこに座ると。
「おい、優太」
「ん、なに〜」
「お前、また今日も、姉ちゃんに、チュッされてたんだろ〜」
優太を呼ぶ声がしたので。
声のする方を見たら、三人の男子が居た。
その男子達は。
見るからに、悪ガキと言った風体の子達である。
どうやら、校門前で恵にキスされた事を、言っている様だ。
その中で、リーダー格の太っていて、偉そうな。
まるで、ドラ○もんのジャ○アンみたいな子が。
ヘラヘラと嫌な笑いを浮かべて、優太の前にやって来た。
「ひょっとして、お前。
まだ、姉ちゃんのオッパイ吸っているんだろ〜」
その子がそう言うと。
残りの二人が、”ケタケタ”と優太を嘲笑し出した。
「ん、そんなに、お姉ちゃんのオッパイ吸いたいの〜?」
「はあ?」
「自分から言ったって事は。
自分が、そう思っているからじゃないの〜?」
「な、何だと〜!」
優太が、自分がバカにされている事に気付かず。
カナリ、鋭い内容の言葉を返したのである。
決して、相手を侮辱した覚えがないのだが。
天然の気がある優太が、思わずそう言ったのだ。
しかし、その子は、恵の大きな胸に興味があるので。
つい、そんな事を言って優太をバカにしたのだが。
それが逆に、仇になった。
図星を付かれた形になった子が、逆上した訳である。
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「ふざけるな、この野郎!」
「「「ちょっとアンタ達、止めなさいよ!」」」
逆上した子が、優太の胸ぐらを掴み、殴り掛かろうとした所で。
突然、何人かの声がした。
その声の方には、数人の女子の集団が居たのである。
そして集団の中から、一人の女の子が出てきた。
出てきた女の子は、小学生にしてはスラリとした体型を。
デニムのジャンバー、チェックのシャツ、黄色のショートパンツにボーダーのハイソックスで身を包み。
また、肩までの髪の両側を軽くまとめた、俗に言うツーサイドアップと言われる髪型で。
しかも、ややツリ目が特徴的な顔立ちの美少女であった。
「な、なんだよ・・・」
「なに、弱い者イジメしているの!」
その娘が威圧感を出しながら、優太を殴ろうとした子に詰め寄って行く。
その娘の背後からは、同様に女子の集団が前進して来る。
「チッ、覚えてろよ・・・」
優太を殴ろうとした子が、集団の迫力にタジタジになり。
お決まりの捨て台詞を残して、そそくさと退散する。
その腰巾着らしい子らも、同様に退散した。
「優太くん、大丈夫?」
「うん、美里ちゃん、ありがとう」
美里と呼ばれた娘は、このクラスの女子のリーダー格である。
実は優太は、美人である姉の恵を見ても分かる通り。
優太もカナリの美少年である上。
邪険に扱われても、姉を思っていた様に。
女性に対して優しいので、女子からモテていたのである。
しかし、背が低めで童顔であり。
また、素直な性格で天然の気がある優太は。
どちらかと言えば、同じ年なのに、”みんなの可愛い弟”と言ったポジションで。
クラスの愛玩動物と化していた。
そして、美里はクラスの女子のリーダー格になっている様に、面倒見が良い性格であり。
そんな面倒見が良い娘は、可愛い物好きな場合が有ったりするのだが。
美里がそのパターンに当てはまっていた。
そんな可愛い物好きな美里に、優太はモロ好みであったのだ。
と言う訳で、何かに付け美里は、優太の事を構っていたのである。
「(なでなでなで)」
「み、美里ちゃん、どうしたの・・・」
「あ、ごめんね、優太くん」
優太の事を見ていた美里が、我慢できなくなり。
思わず、優太の頭を撫で出していた。
優太に、言われてその事に気付くが。
それでも、美里が優太を撫でるのを止めない。
「あ〜、美里ずる〜い〜」
「私にも、撫でさせて〜」
美里が優太を撫でているのを見た、女子の集団が。
そう言って、各々(おのおの)、手を伸ばして優太を撫で出した。
「ちょっと、みんな〜」
女子の集団から撫でられて、優太が困惑する。
しかし、それでも女子達は、優太を撫でることを止めない。
こうして優太は、朝っぱらから、女子の集団にモフモフされたのであった。