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第13話 学校での弟

 一方、優太の方はと言うと。


 時間を(さかのぼ)り、朝の小学校の教室。




 「おはよ〜」


 「「「おはよ〜」」」




 優太が教室に入ると、すぐに挨拶をした。

すると、何人かの生徒が同じように挨拶を返す。


 こうして、挨拶を済ませてから。

優太が自分の席に行き、そこに座ると。




 「おい、優太」


 「ん、なに〜」


 「お前、また今日も、姉ちゃんに、チュッされてたんだろ〜」




 優太を呼ぶ声がしたので。

声のする方を見たら、三人の男子が居た。


 その男子達は。

見るからに、悪ガキと言った風体(ふうてい)の子達である。


 どうやら、校門前で恵にキスされた事を、言っている様だ。


 その中で、リーダー格の太っていて、偉そうな。

まるで、ドラ○もんのジャ○アンみたいな子が。

ヘラヘラと嫌な笑いを浮かべて、優太の前にやって来た。




 「ひょっとして、お前。

まだ、姉ちゃんのオッパイ吸っているんだろ〜」




 その子がそう言うと。

残りの二人が、”ケタケタ”と優太を嘲笑(ちょうしょう)し出した。




 「ん、そんなに、お姉ちゃんのオッパイ吸いたいの〜?」


 「はあ?」


 「自分から言ったって事は。

自分が、そう思っているからじゃないの〜?」


 「な、何だと〜!」




 優太が、自分がバカにされている事に気付かず。

カナリ、鋭い内容の言葉を返したのである。


 決して、相手を侮辱した覚えがないのだが。

天然の気がある優太が、思わずそう言ったのだ。


 しかし、その子は、恵の大きな胸に興味があるので。

つい、そんな事を言って優太をバカにしたのだが。

それが逆に、(あだ)になった。


 図星を付かれた形になった子が、逆上した訳である。




 *********




 「ふざけるな、この野郎!」


 「「「ちょっとアンタ達、止めなさいよ!」」」




 逆上した子が、優太の胸ぐらを掴み、殴り掛かろうとした所で。

突然、何人かの声がした。


 その声の方には、数人の女子の集団が居たのである。


 そして集団の中から、一人の女の子が出てきた。


 出てきた女の子は、小学生にしてはスラリとした体型を。

デニムのジャンバー、チェックのシャツ、黄色のショートパンツにボーダーのハイソックスで身を包み。


 また、肩までの髪の両側を軽くまとめた、俗に言うツーサイドアップと言われる髪型で。

しかも、ややツリ目が特徴的な顔立ちの美少女であった。




 「な、なんだよ・・・」


 「なに、弱い者イジメしているの!」




 その娘が威圧感を出しながら、優太を殴ろうとした子に詰め寄って行く。


 その娘の背後からは、同様に女子の集団が前進して来る。




 「チッ、覚えてろよ・・・」




 優太を殴ろうとした子が、集団の迫力にタジタジになり。

お決まりの捨て台詞を残して、そそくさと退散する。


 その腰巾着(こしぎんちゃく)らしい子らも、同様に退散した。




 「優太くん、大丈夫?」


 「うん、美里(みり)ちゃん、ありがとう」




 美里と呼ばれた娘は、このクラスの女子のリーダー格である。


 実は優太は、美人である姉の恵を見ても分かる通り。

優太もカナリの美少年である上。

邪険に扱われても、姉を思っていた様に。

女性に対して優しいので、女子からモテていたのである。


 しかし、背が低めで童顔であり。

また、素直な性格で天然の気がある優太は。

どちらかと言えば、同じ年なのに、”みんなの可愛い弟”と言ったポジションで。

クラスの愛玩動物(かわいがるいきもの)と化していた。


 そして、美里はクラスの女子のリーダー格になっている様に、面倒見が良い性格であり。

そんな面倒見が良い娘は、可愛い物好きな場合が有ったりするのだが。

美里がそのパターンに当てはまっていた。


 そんな可愛い物好きな美里に、優太はモロ好みであったのだ。


 と言う訳で、何かに付け美里は、優太の事を構っていたのである。




 「(なでなでなで)」


 「み、美里ちゃん、どうしたの・・・」


 「あ、ごめんね、優太くん」


 



 優太の事を見ていた美里が、我慢できなくなり。

思わず、優太の頭を撫で出していた。


 優太に、言われてその事に気付くが。

それでも、美里が優太を撫でるのを止めない。




 「あ〜、美里ずる〜い〜」


 「私にも、撫でさせて〜」




 美里が優太を撫でているのを見た、女子の集団が。

そう言って、各々(おのおの)、手を伸ばして優太を撫で出した。




 「ちょっと、みんな〜」




 女子の集団から撫でられて、優太が困惑する。


 しかし、それでも女子達は、優太を撫でることを止めない。


 こうして優太は、朝っぱらから、女子の集団にモフモフされたのであった。



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