第12話 学校での姉(後)
それから時間が経ち、授業の合間の休み時間。
「うふふっ〜♡」
スマホの画面を見ながら、頬を綻ばせる恵。
そして、そのスマホの画面には。
笑顔で画面に向かって手を振る、優太の姿があった。
つまり、恵は弟の写真を待ち受けにしたスマホを見て。
顔を緩ませていたのである。
「何、待ち受け見ながら、ニヤニヤしているのよ〜」
「む〜、ニヤニヤなんかしてないから〜」
横の真奈美から、そう言われた恵が、思わず反論したが。
実際、弟の待ち受け画面を見ながら、笑顔になっていたので、事実である。
「確かに、優太くんは可愛いけど」
「でしょ、でしょお〜」
「でも、それは常識の範疇での事で。
アンタみたいに、異常に溺愛なんかしないよ」
一応、お隣さんであるから。
真奈美も、優太の事は知ってる所か、それなりに交流もあるので。
優太の事は、とても可愛いとは思っているのだが。
それは、常識の範疇でだと、真奈美は思っていた。
だから、真奈美も優太の事は可愛がるが。
頭を撫でたりとか程度であり、恵の様に所構わず、弟にキスをすると言うのは。
想像の範囲外だった。
「え〜、これが普通じゃないの〜?」
「そうよ、十分に異常なのよ!」
抗議の声を上げた恵に、真奈美がピシャリと言い放った。
*********
「何々、どうしたの?」
「いやね〜、また恵が弟の待ち受け見ながらニヤニヤしていのよ〜」
「ニヤニヤなんかしてないもん」
近くに、ある女子がやって来て、真奈美に尋ねると。
真奈美が、先ほどの事を話し。
それに対して、恵が頬を膨らませながら、根拠の無い反論をする。
「ああ、また恵のブラコンね〜」
「も〜、ブラコンじゃないもん」
どこからどう見ても、ブラコンにしか見えないのだが。
しかも、超が付くほどの。
「それよりも・・・」
「ん? なに?」
やって来た娘が、座っている恵の後ろに回り込み、そして。
「(モミモミモミ)」
「きゃっ!」
制服の下から手を入れ、恵の胸を揉み出した。
「あ・・・、いやっ、止めてよ〜」
「相変わらず、大きな胸ね〜」
恵が悶えながら、止めるように言うけど。
その娘は、そう言いながら、恵の胸を揉んでいた。
普通、女子の、この手の悪ふざけは。
体育の着替えの時とか、やるシチュエーションが限られるが。
しかし、恵に対するイタズラは、恵の反応が余りにも良いので。
それ以外でも、チョッカイを出す娘が多かったのである。
恵(歩)も、男時代とは違う、女性の体の気持ち良さに。
いつも、色っぽい声を上げて、悶えていた。
「あん・・・、やん・・・」
「ほれ、ほれ、気持ちええのんか」
「はあ〜」
恵の反応の良さに。
胸を揉んでいる娘が、ついにオヤジ化してしまった。
その娘を、呆れた様に真奈美が見ている。
*********
そうやって、色っぽい声を上げて悶えている恵を。
ガン見している集団があった。
クラスの男子連中である。
恵の様な清楚な美人が、女子から胸を揉まれ。
色っぽい声を上げながら、悶えているのだ。
そんな扇情的な光景を見て、何も思わない男は居ない。
「あん・・・、はん・・・」
悶えている恵を見て。
中には、前かがみになりながら、腰が後ろに引けている男子が何人か居た。
こうして、胸を揉まれて悶えている恵と、揉んでいる娘。
それを呆れたように見ている、真奈美。
そして、その光景をガン見している男子連中。
この様な、異様な光景がしばらく続いたのであった。