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第10話 姉と親友

 そして、優太が校舎に入り。

その姿が見えなくなった頃。




 ”やっぱり弟は良いなあ。

僕は、一人っ子だから兄弟が欲しかったんだよなあ〜”




 恵(歩)が、顔を緩ませながら。

心の中で、そう(つぶや)いていた所。




 「はあ〜、また今日も、優太くんのお見送りかあ〜」




 そんな声が聞こえたので、振り返ると。


 そこには一人の女の子が立っていた。


 その娘は、首筋までのセミロングの髪を。

切り揃えた、ボブカットの髪型をしており。


 顔は美人の範疇に入るのだが、目尻がツリ気味の。

見ためでも、ややキツそうな雰囲気を感じさせる娘であった。




 「あれ、真奈美おはよう〜」


 「恵、おはよう〜。

と言いたいけど、いい加減止めたらどう」


 「どうして?」


 「はあ、弟と登校自体は良いとして。

弟を送り出す前にキスするとか、どこの世界にそんな姉がいるのよ〜」


 「む〜、ここにいるじゃない」




 恵に忠告しているこの娘は、(もり) 真奈美(まなみ)と言う娘で。

恵の隣に住んでいる、ある意味、幼なじみである。


 それは、恵が中学に入って、素行が悪くなっても変わらなかったが。

恵の方は、口うるさく忠告する真奈美を煙たがっていた。


 その為、だんだん素行が悪くなり、だらしなくなる恵と。

生真面目で、性格がキツめの真奈美とは、ソリが合わなくなり。

次第に険悪な関係になっていった。


 そんな中で、あの事故が起こったのだ。




 「もう、いい加減、弟離れしないと。

アンタ、恋人が出来ないよ」


 「いいもん、恋人なんか。

私には、優ちゃんがいるから」




 事故後の、歩の意識が入り込んだ恵と真奈美の関係は。


 ノンビリして、天然の気がある恵(歩)と。

シッカリ者の真奈美とは、ある意味良いコンビになってしまい。


 それまでとは逆に、関係が深まって行き。

親友と言える間柄にまで、回復したのである。




 「今はこの程度で済んでいるけど。

優太くんが思春期になったら、アンタ達、一線を越えないか心配だわ・・・」


 「真奈美、一線って何?」


 「朝の往来で、そんな事を言わせないでよ!」




 朝ぱらから、ボケとツッコミをやる。

全く、良いコンビである(笑)。




 *********




 小学校前で、掛け合い漫才をした二人は。

その足で、自分たちの学校へと向かった。




 「ねえ、恵」


 「なに、真奈美?」


 「アンタ、ホントに恵なの?」


 「(ギク!)」




 歩きながら話をしていたら。

突然、真奈美から鋭い質問をされて、恵は驚く。

 



 「ど、ど、どうしてかな・・・?」


 「だって、あんなに素行が悪かったアンタが。

突然、改心して真面目になったからよ」


 「だ、だから、今までの行いを反省したからよ・・・」




 内心、冷や汗を掻きながら、恵(歩)は何とか答える。




 「前は忠告すると、まるで猛獣の様な目で食って掛かって来るくらい凶暴だったのに。

今は、まるで別人の様に穏やかで、優しくなってしまったし」





 ”ホントに、この娘は、どこまで凶暴だったんだよ・・・”と。

心の中で歩は、本来の恵に悪態を付いた。




 「第一、前は可愛そうな位邪険に扱ってきた、優太くんを。

今では、溺愛するまで可愛がっているからよ」


 「確かに、優ちゃんの事は可愛そうだと思っているの・・・」




 それを聞いた、恵が顔を(うつむ)かせる。


 別に、恵の中の歩がやった訳では無いが。

恵がやった言動が感情が、歩に流れ込んだ結果。

なぜか、歩自身がやったかの様な感覚に襲われたのだ。





 「それ、それ、前は呼び捨てで呼んでいたのに。

今は”ちゃん”付けで呼んでるし」




 そう言いながら、真奈美が恵の顔を覗き込む。




 「ま、まあ、事故後は性格が変わると言うじゃない」


 「それにしても、アンタは変わり過ぎなの」




 時折(ときおり)言われる事を言って、恵が誤魔化そうとしたが。

真奈美が、余りにも変わりすぎた恵に、思わず突っ込んだ。


 こうして歩きながら、真奈美が恵に変わった点を上げて、恵に尋ねると。

心の中で狼狽(うろた)えた恵が、何とか誤魔化そうとするが。

その事に対して突っ込む状況が、続いたのであった。



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