観世音菩薩とレスター・クレスト 何をすればいいかわからないから導く者が必要
読者は『西遊記』がどんな話かご存知だろうか。
「三蔵法師と孫悟空と豚と河童が天竺に行く話」
これだけわかっていれば、だいたいOKなのだが、もう少し詳しく書く。
「玄奘三蔵が孫悟空、猪悟能、沙悟浄(河童ではない)が、三蔵真経を求めて大唐帝国から西へ天竺目指して旅をして、罪を償い成仏(ただし悟能は使者、悟浄は羅漢)する話」である。
で、この旅は東から西へ阿呆みたいにぷらぷら歩いていればゴールに着くという生易しいものではない。
途中では妖怪が、天界の神々までもが試練と称してわざわざ堕天妖怪化してまで旅の邪魔をしてくるのである。
妖怪たちは様々な小細工……、もとい妖術や天界の神器で旅の進行を妨げる。喧嘩自慢の孫悟空でもどうにもならない。
そうなると孫悟空は天界に行って、道教の神仙や仏教の菩薩仏に助けを求めるのである。
最強の不老不死なのに、音速の移動手段の觔斗雲を使えるばかりにパシリをやらされる孫悟空。皮肉がきいてて私は好きだ。
孫悟空が助けを求めると、神仙たちは誰も嫌な顔はせず拒否も文句も言わず力を貸してくれる。
玄奘たちが乗り越えるべき試練であり意図的な妨害もしてくるのに無償で手助けしてくれるのである。
これは作中で特に説明があるわけでもなく筆者の勝手な解釈になるのだが、(……けど、研究家や学者が書いてると思う、多分)
取経の旅による三蔵たちの罪の償いは副次的なものである。この旅を計画した釈迦如来の目的は人心乱れる南贍部州と地獄の亡者の魂を救うことであった。
旅に協力、手助けすることは南贍部州と亡者を救うことにも協力したことになる。つまり仕事をしたことになるのだ。神として人間にご利益を与えたことになる。
旅を助ける神仙は数多いが、やはりその中でも存在感をはなっているのが観世音菩薩である。(本来、観世音菩薩には性別はないが『西遊記』では女神という扱いになっている)
なにせこの観世音菩薩がいないと『西遊記』の物語は始まらないのだ。以下に列挙。
・天界で暴れる孫悟空の制圧に、顕聖二郎真君を玉帝に推挙。
・取経の旅に出るメンバーに玄奘、悟空、悟能、悟浄を選出。
・玄奘の手に負えない悟空の頭に緊箍児(金の輪)をはめる。(他に二つあり、守山大神に禁箍児、善財童子に金箍児を使用)
・玄奘に破門された悟空に戻るように諭す。
・旅を邪魔する妖怪を仏門に帰依させる。黒風怪→守山大神、紅孩児→善財童子
他にも色々ありますが、やはり他の神仙と異なって目立つ活躍は妖怪を仏門に導く点でしょうか。(他の神仙が、堕天し妖怪化した天界の動物を連れ戻すことはある)
で、GTA5でならず者どもを導くの役割を持つのがレスター・クレストです。
GTA5の主人公たちは戦闘や運転など様々なスキルを持っているのだが作戦や計画は立てられない。どうしても場当たり的な衝動的犯行になってしまう。
そこでレスターの出番というわけである。
彼は身体こそ不自由で激しい戦闘には参加できないが頭のキレる男である。いわいるブレーンだ。
彼の作戦計画がなければ、いかに三人の主人公が凄腕でも成し遂げれられなかった強盗や殺人が数多くあっただろう。
強盗に必要な道具や暗殺のターゲットの居場所など、凄腕のハッカーでもあり情報収集に長けている。
人脈も豊富で作戦に必要なハッカー、ドライバー、ガンマンも手配してくれる。
金が無くて困ったマイケルは強盗計画のために一番に相談に来るし、
秘密兵器(秘密のせいで本当に何なのか不明)を盗み出したトレバーに元の場所に返すように激怒したり、(返さないと一生追われる身になるらしい)
トレバーやマイケルを殺さなければならなくなり死を覚悟(Cルート)したフランクリンに知恵を授けるなど、彼らに適切な助言を与えて窮地を救っている。
GTAオンラインでお世話になった人も多いことだろう。
ちなみに、レスターはSNSサービス『ライフインベンダー』社長を爆弾を仕掛けた携帯電話で爆殺している。(実行犯はマイケル)
その頭を吹っ飛ばされる様は、緊箍児に苦しめられる孫悟空のようでもある。(孫悟空は不死身だから頭がしめつけられても死なない)
……さすがに、こじつけが過ぎたか。