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玄奘三蔵とプレイヤー 無力で非力な決断者

さて、ここまでお付き合い頂いた方。そろそろ、こんな気持ちになっていると思います。

「トレバーが孫悟空、マイケルが猪悟能、フランクリンが沙悟浄のポジションということはわかった。じゃあ玄奘三蔵は誰になるんだ?」

それはコントローラーを握っているあなた。ゲームのプレイヤーである。



玄奘三蔵は歴史上の実在する人物。言うまでもなく、ここで話題にするのは『西遊記』に登場したフィクションの玄奘三蔵。


天竺に仏典を求めて(とう)を旅立つ玄奘三蔵。彼は妖怪を倒す術も無く妖怪の幻術を見破ることもできない。ごくごく普通の人間なのである。

あなたはGTA5の主人公たちのように殺人をしたことはあるだろうか? 宝石店や銀行強盗は? カーチェイスで警察から逃げ切る自信は?

無理である。つうかあったら困る。きっと人を殺す前に捕まるだろう。絶対に犯罪なんかするんじゃないぞ。STOP!反社会的行動

私たちにできることといったら家に引きこもってゲームのコントローラーを握りしめることだけである。



昔のゲームはカセットテープだったという。ロードは巻き戻しや早送りでしなければならなかった。ゲーム専用のゲーム機なんてものも無かった。

もはやゲーム内容よりも環境との戦いである。よくそんな状況で遊ぶ気になったものである。尊敬する。

それから時代が進み数々の名ゲーム機が作られた。あくなき探究心はシステム・グラフィックを向上発展させた。名作あり駄作あり、今では個人がゲームを作って配信している。

バトルに、パズルに、育成に、ジャンルも様々多種多様。オンライン、手軽なソシャゲーも大人気だ。課金の準備はできているか?

人間は一生のうちに、この世に存在する全ての本を読破することは無理だそうだが、ゲームだって同様である。私たちは取りこぼした名作を遊ぶことはできないのだ悲しい。


なぜゲームやるのだろうか。話題作だから 人気シリーズだから 友達がやっている 面白そうだから 衝動買い なんとなく気になって。

理由は様々あるだろうが、そこに共通するものは「自分の意思で、そのゲームを手に入れプレイするということである」

当たり前のことだが、プレイする意思が産まれ店に足を運んだりダウンロードしなくてはゲームで遊ぶことはできない。

テレビゲームは娯楽だ。義務ではない。近年じゃゲームプレイで生活費を稼ぐ人もいるが、そんな人は一握り。

ゲームが義務になった途端、圧倒的多数の人間がコントローラーを投げ捨てるだろう。ゲームは娯楽だから楽しいのだ。


あなたは今まで遊んだコンピューターゲームの数を覚えているだろうか。私は覚えてない。色々やったのだが。

そのうち、ちゃんと途中で投げ出さず最後までクリアできたゲームはどれくらいあるだろうか。

難しくして先に進めない。途中で飽きてしまった。そんな理由でゲームを投げ出した人は多いだろう。


嫌になったらやめていいのもゲームの良いところだ。

しかし、一度夢中になれば、クリアすることに意地になれば、握ったコントローラーは放さない。


玄奘三蔵の旅もそれと同じだ。いや、彼の旅がゲームだったという意味ではない。

嫌ならやめてもいいのである。現に玄奘は旅の途中で女王や妖怪に結婚を迫られている。

途中で投げ出す決定権は孫悟空たちにもトレバーたちにも無い。

玄奘三蔵が「出発するぞ!」と言えば孫悟空たちはお供をしなければならないし、あなたがコントローラーを握ってGTA5を起動すればトレバーたちは犯罪に手を染めていくのである。



前回書いたが、フランクリンに迫られた究極の選択。

A:トレバーを殺す

B:マイケルを殺す

C:死を覚悟する


三つの選択肢である。どれかを選ばなければゲームは進行しない。

キチガイトレバーの狂気についていけなくてAを選んだ人

クズマイケルが生き残るのが許せなくてBを選んだ人

仲間は殺せない、Cを選んだ人

とくに何も考えず選んだ人

プレイヤーそれぞれで、出した答えは違うだろう。


どうしたらいいんだ!?とフランクリンは自分のことのように悩んでいるが、彼は何も決めていない。

決めたのはプレイヤーだ。プレイヤーが「あいつは死ぬべき、こいつは生かそう」と好みで決めたことなのだ。


『西遊記』とGTA5の話をしているのに「外から生身の人間を持ちだしてくるなんて卑怯」と思う人もいるかもしれない。

だがゲームは誰かがプレィしなければ何の変化はない。物語だって進まない。棚で埃をかぶるだけである。

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