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孫悟空とトレバー・フィリップス 権威への挑戦

『西遊記』を読めば一目瞭然なのだが孫悟空は強い。流行り言葉で表すなら俺TUEEEのチートキャラである。



彼の権力への挑戦は神聖なる竜をカツアゲするところから始まる。

『封神演義』と中国の民間信仰でおなじみの哪吒太子(なたたいし)の背中を殴り、太上老君(たいじょうろうくん)を蹴り飛ばし、天界を恐怖と混乱におとしいれたのだ。



これは民族性による違いもあると思うのだが、権威や血筋に弱い日本人には書けない展開であろう。

有名所では『ONE PIECE』のルフィーや『NARUTO -ナルト-』のうずまきナルトは立派な血筋の主人公である。

近年では後付設定であるとはいえ『ドラゴンボール』のほうの孫悟空も父親バーダックが超サイヤ人に覚醒したおかげで、立派な血族家系キャラとなったのだ。

彼らが作中で汚点を晒す展開は考え難い。(敗北しても絶対リベンジするし名誉挽回できるしね。ビルスにもリベンジできそうだし)


いわいる血統キャラの台頭は単なる流行というよりは、現存する最古の王朝がある日本ならではの感性ではないだろうか。天皇陛下(エンペラー)が侮辱されたら本気で怒れる。

政治家のトップもだいたい血筋だしね。日本は一応民主主義だから……、血筋や血統が嫌いな人はニートやパフォーマーの候補者に票を入れてもいいんだよ。

それが日本のためになるかどうかは知らないが、少なくとも血統からは解放される。



『西遊記』の孫悟空は中国のキャラクターなので、そういった日本人の感性では語れない。

ぽっと出の猿の妖怪が天界を引っ掻き回し、民間信仰のある神々をぶちのめす。

日本ではそんな作品なかなかお目にかかれない。最強の妖怪と言われるゲゲゲの鬼太郎だって、日本古来の神には気を遣っていたりする。

王朝が栄えては滅び、王族を皆殺しにする民族性にはすんなり受け入れられるのだろう。『西遊記』の根底には道教を従える仏教という構図があるのだ。

もっとも旧支配体制の関係者を皆殺しにしないのは日本くらいだろうか。(もちろん日本だって皆殺しにするときはするが)ドイツ人はヒットラーを叩きまくるが、日本人が東條英機を叩きまくる話はあまり聞かない。




ここで、ようやくGTA5の主人公の一人トレバー・フィリップスの話に入る。


さて、このトレバーは出だしからとんでもないことをやらかす。

GTAは長く続く人気シリーズである。その作品の一つに『Grand Theft Auto IV: The Lost and Damned』(以下GTA4:TLAD)がある。

トレバーはあろうことか、このGTA4:TLADの主人公だったジョナサン・クレビッツを殺してしまうのだ。

とくに熱い展開があるわけでもない、壮絶なアクションシーンがあるわけでもない、いともアッサリ簡単にである。


私はGTA4:TLADは未プレイだったため、当初ジョナサンは単なるモブキャラだと思っていました。そりゃそうだろうアッサリ死にすぎる。俺は悪くねえ。


やはりこれはGTA4:TLADをプレイ済みの方からすれば納得し難い酷い展開だったようである。

感情移入し思い入れのあるキャラクターまして主人公が、ぽっと出のキチガイキャラに瞬殺されるのだ。受け入れる方が難しい。

怪獣王ゴジラがミサイル一発で殺られてしまうようなもんである。



そして、トレバーの暴挙はこれで終わらない。

敵対するギャング組織を次から次へと壊滅させてしまうのである。その組織の中には、もちろんジョナサンとその仲間たちの主人公チームも含まれる。


「敵をやっつけるのは暴力ゲーなら当たり前でしょ?」と思うなかれ、これはまだ物語序盤である。

GTA5には三人の主人公がいる。この時点でトレバーはまだ他の二人の主人公と合流していないのである。

ギャング組織壊滅でゲーム一本作れるのに、そんなんじゃ終わらない。始まってすらいない。


これまさに『西遊記』の序盤、天界軍十万を相手に大立ち回りを見せた孫悟空そのものである。

このときだって玄奘三蔵を始め猪悟能や沙悟浄だって物語には登場していないのだ。もちろん天竺へ行く旅だって始まっていない。



それにしてもトレバーには毎度ヒヤヒヤさせられる。他の二人の主人公マイケルとフランクリンもギャング抗争や強盗をやらかすが、もっと落ち着いていて論理的である。

しかし、トレバーは「なんで難易度を上げることをするんだ!」と叫ぶ私にはおかまいなし。その場のノリで怒り狂って敵に戦いを挑みに行く。こっちの気持ちがついてけない。

山賊を返り討ちにして殺す孫悟空とよく似た直情型である。


そんな彼の特殊スキルは攻撃力倍化、被ダメ半減という戦闘特化型である。これによってそうそう簡単に死んでゲームオーバーということはない。

刀で斬っても炎で焼いても死なない孫悟空のような不死身スキルといえる。

ちなみにトレバーはパイロットである。よって飛行機やヘリコプターの操縦も出来る。その雄姿は空を翔ける觔斗雲(きんとうん)そのものである。




さて、いかがだったでしょうか。

え、「たまたま似ているだけ」「物語なんてパターン化されてるんだから取り立てて騒ぐほどのことじゃない」「こじつけんなよ」だって?


そりゃあもちろん、トレバー一人を指してGTA5は西遊記みたいだなんて言うつもりはありません。

そんなわけで、筆者のこじつけ妄想はまだ続きます。

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