3:鉄の国へ
十二年間住み慣れた家を王都の一角ごと破壊し、さよならをしたレイとその姉たちは、王都から難なく脱出すると東へと向かった。この方角には鉄の国があるのだ。
「どうすんだよ、ミ姉、ヴ姉」
二人の姉の後を追い、初めて出る王都の外に興味を示しながらレイは尋ねる。
「レー君、何も心配しないで良いんだよ? お姉ちゃんに任せて」
「そうよレー、この先には鉄の国があるから私達もすぐ働けるはずよ。そうね、鍛冶屋とかいいかもね」
「ヴ、目の付け所がいいわね。そこで家族皆でゆっくり暮らしましょ。一応重力魔法で身軽にしてるけど、疲れたら言ってね?」
要するに何も考えずに生まれ故郷へ喧嘩を売ったのだ、この姉たちは。そして無計画に鉄の国へと向かっている事を悟る。
「はぁ、何でこんな目に……」
そんな会話をしていたら、突如前方から三人組の男が現れる。
「ちょっと良いかいお嬢さん達? ちょーっと俺達お金に困っててさー、少しでいいんで貸してくんないかなー?」
「何、貴方達? 邪魔だからどいて」
「兄貴、女子供だけなんですぜ? 問答無用でやっちまいましょうよ!」
三人の中で一番小柄で細身な男が物騒な事を言い出す。
「バカ野郎、女子供だからこそ丁重に扱えってんだよ! おっと、驚かして悪かったな、それで俺達困ってるからお金を貸せ?」
「ね、姉ちゃんどうしよう?」
不審者三人組を相手に、レイは腰が引けてしまう。戦闘訓練を受けていない一般市民のレイにとって、この事態に怯えてしまっていた。しかし、これを機に今後動じなくなるわけだが。
「大丈夫よレー君、指一本触れさせないわ」
「そうよレー、ここはミ姉さんに任せましょう」
「大丈夫なの? 怪我しないでよ?」
「ふふ、優しいのねレー君は。大丈夫よ、ありがとう」
ありがとう、の言葉に魔力を込め振り向きざまに男三人の足元が爆発する。瞬間、人が空を飛んで星の彼方へと飛んでいく光景を目の当たりにするのであった。
「ね? 大丈夫だったでしょ」
「う、うん……」
改めて、ミ姉の魔法は凄いと思うレイであった。同じような案件が道中続くも、その度に人が空の彼方へと飛んでいく光景をみつづけたレイは、こういうものなんだと思い込むようになった。




