1:現在
水の都、ゼイウォスから少し離れた場所にある農村地帯。そこで一人の男性と二人の女性が大声で会話をしている。
少年は小柄で、筋肉もこれからついていくといった段階なのか柔らかそうなタマゴ肌がみてとれる。少し伸びた髪は、赤色のヘアバンドでオールバックに整えられている。
対して女性は、二人とも少年より長身で白い下着に白いシャツのみといった、ラフな姿で鍬を振りかぶっていた。一人はゆっくりと、丁寧に畑を耕し、もう一人は手慣れているのか物凄いスピードで鍬を振り続けていた。そして少年は、畑の近くにある井戸にロープで体を固定されていた。
「だからミ姉ちゃんは土魔法だけで良いんだって! ああ、ヴ姉ももう良いから!」
少年の必死の声に対し、ミ姉、ヴ姉と呼ばれた女性達は少年に向かい叫ぶ。
「レー君は何もしなくて良いのよ? ミお姉ちゃんに任せて」
「ミ姉、カッコいいところ魅せようったってダメよ? 肉体労働は私の専売特許なんだから」
「ヴ、私は別にカッコいいところを魅せようとしてるわけじゃないのよ? ただ、レー君の手を汚させたくないだけ」
「ふ、二人とも俺の仕事とらないでくれー!」
このラフな姿の女性達は、何を隠そう少年の姉である。
「レー君、私だって魔法だけじゃないんだからね?」
「何よミ姉、そんな疲れた顔しちゃって? もう休んでて良いのよ?」
レー君と呼ばれた少年は、ギ家のレイという。魔法剣士をやっている。長女のミ姉は4大元素である火・水・土・風を得意とするまさにザ・魔法使いである。
ミは、178cmと女性としては長身で、女っぽくないと言われるのを嫌い可愛い服装を好む傾向がある。黒色の長髪は今、頭元まで折り返して簡単にゴムでくくっており、肌は少し日に焼けて褐色がかっている。少しふっくらした体系だが、締まるところは締まり、出るところはしっかり出ると、非常に可愛らしい女性である。
そんなミに対し、次女のヴ姉は剣技の達人である。ミ姉の影響で魔法の練習もしたらしいが、魔法を斬れるようになった頃から剣技の道へと走ったそうだ。後は剣と会話する剣話を習得したと言っていたが、剣と話し合う姿はちょっと怖かったりする。身長はミよりも低く170㎝と、女性の中ではやはり少し背が高めである。しかし姉のミをみて育っている為、身長に対してはコンプレックスを抱いてはいない。体はスリムで、ボサッとした長髪は手入れされておらず、特にいじられる事ないままである。姉の影響で、長髪にしているものの本人は特にこだわりは無いそうだ。服装は動きやすい姿を好み、下着を履かない暴挙を今も続けている。そんなヴは、太陽の光を全身で浴びているにも関わらず、焼けることなく綺麗な肌色をしている。やや色白気味であるが、本人は色が付かない体質に少し不満をもっているようである。
こんな二人の姉が、愛情たっぷりに可愛がっている少年レイは、二人の影響から魔法剣士と呼ばれる存在になっていた。
さて、話しを戻そう。何故そんな姉二人と俺がこんな農村地帯で畑を耕しているのか。話せばとても長くなるが、やっと落ち着いたのである。ここで思い返してみる事にする。




