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帰り道にて…


 てなわけで、僕とあきらちゃんは揃って下校した。超恥ずかしい…。

「トモくん、保体委員ってどんな事をやるの?」

「あ、えっと…保体委員は、年に10回会議があって、あとは保健室で怪我人や病人の手当てをしたり、グラウンドを整備したり、鉄棒やバカみたいにデカいジャングルを簡単に整備したり、危険が無いかを確認したりするんだ。少々大変だけど、仕事してみると面白いよ。」

「そうなんだ。私、まだ若干男の子、成人男性もそうなんだけど、まだ怖いのよね。で、でも、私決めたんだ。今年は、何とかして男性恐怖症を治すって。だ、だから、トモくん、ヤキモチ焼かないでね。」

「う…うん…。」

 や、ヤバイ…。今すぐにでも笑出しそう。た、耐えなきゃ。だ、大丈夫だろう。何かあったら、僕が必死に守ってやるんだから。

「本当は、断るつもりだったんだけどね…」

 んっ?何か言ったか?

「私、やっぱりこのままじゃ、大人になった時、男の人が苦手だからと言って逃げてばかりじゃまともな人になれないって思ったの。何と言っても、私には夢があるから。」

「えっ、夢?あきらちゃんは何になるの?」

「…公務員。」

「えっ?公務員?何でそれなの?」

「私のマm…お母さんが結婚する前、川崎市役所で働いてたの。それが、浩一さんと結婚した時、無理矢理退職させられちゃったのよ。公務員になるのって大変な事なのに。」

「てことは、あきらちゃんはお母さんの後を継ぐ為にも公務員になりたいと?」

「うん。トモくんも見たでしょ?私のお母さん。でもね、私思ったんだ。お母さんがもし今も働いてたら、もっとイキイキしてると思うの。そう思うと、お母さんが可哀想に思えて…。」

 あっ、もしかすると、あきらちゃん、泣くかも。周りに人いないよな?



 私、どうしたら良いんだろう…。ママが浩一さんと結婚しちゃったせいなのかな?でも、何だか私にも要因がある様に思えて仕方が無いわ。もし、今、浩一さんと別れたら…


スッ


 えっ!?と、トモくん!?トモくんが、私の肩を、抱き寄せてる!?だって、下校するまで、顔真っ赤にして恥ずかしがってたのに、急にどうしたの?

「あきらちゃんも辛いよね。僕、あきらちゃんの事、何でも分かる自信は無いけど、何かあったら助けてあげたいし、守りたいんだ。力量不足で役に立たない時もあるかもしれないけど。」

 あっ、優しい事、言ってくれるんだ。そうか、私には、トモくんがいるんだ。何かあったら、トモくんに頼ってもいいのかも。そう…

「あっ!あきらちゃん、何か一人で思ってるところ悪いんだけど、あきらちゃんの家過ぎちゃったよ。」

 あっ!確かに、で、でも、今日は浩一さんが一日中家にいるのよね…。どうしよう…。帰りが遅いと、怒られるのよ…。構わないって言っておきながら、以前と変わらなくなってる…。

「あ、あの…ありがとう…。私、ママに言って、トモくんのお家に翌朝まで居れるように言ってくる。」

 私とトモくんこの話の続き、じっくりたっぷり語りたいもん。私を優しく抱擁してくれる、たった一人の男の子と一緒に、ずっと居たい!


ダッダッダッ…


「ママ!今日は友達のお家に泊まる!」

「分かったわ。行ってらっしゃ…きゃっ!あなた!」

「あきら!そうはさせんぞ!」

 あーっ!浩一さんが来る!

「あきら!早く逃げて!そしてその友達の家に…」

「お前は黙ってろ!待て!今日はパパと一緒に寝ろ!」

 誰が浩一さんと寝るものですか!とにかく、今はママが言ってたように、逃げなきゃ!



 あっ!あきらちゃんが走ってくる!その後ろに…げっ!あきらちゃんの親父が迫ってる!!こ、これ、今すぐに警官がいてくれたら、誤認逮捕になるかもしれないけど、誘拐未遂か何かでしょっ引けるんじゃないかな?ど、どうする?今にもあきらちゃんが捕まりそうだ…。


「誰か助けてー!男の人に追いかけられてますー!」

「そんな事言うと、俺が誘拐犯に聞こえるだろ!」

 これは、僕の身元が割れるのを覚悟で、やるしかないな…。

「ふんっ!」

 あきらちゃんの親父の足めがけて、僕の右足を差し出してつまずかせた。


ドスンッ!


 鈍い音が周りに響いた。僕はあきらちゃんの親父が倒れてる間に、すぐに近くの十字路を右に曲がった。するとすぐに、あきらちゃんと合流した。そしてすぐ近くの物陰に身を潜めた。

「おい!どこだ!あきら!」

 うわっ!すごい剣幕だ。と言うよりも、あれは、自分の娘を溺愛あまり、その方向性を見誤ってるとしか思えん。確かさっき「一緒に寝ろ!」とか言ってなかったっけ?あの親父。


 さて、浩一さんて人はどこかをさまよってるとこだろうな。今のうちに…

「走るぞ。」

「分かった。」

 あきらちゃんの手を引っ張り、一目散に僕の家を目指した。とにかく、あきらちゃんをあんなダメ親父から離してやりたかった。



「よしっ、着いた!先入ってて!」

「うん!」

 いつもなら今の一幕で2回は「あきらちゃん」と呼ぶところだったが、何せ相手は浩一さんなので、僕としてもとにかく厄介でしかない。むやみに名前を呼ぶと、どこかにいる浩一さんに場所を知らせてしまう。


 よしっ、あきらちゃんを我が家に送らせた。玄関で出たとこにある扉を閉めなきゃ。

 あれっ?ヤバイ!浩一さんが来た!!

「はぁ…はぁ…あの…阪本あきらの親ですけど…娘見ませんでしたか?」

 やっぱり僕に聞いてきた!!何とかごまかせないか?

「いや、僕は見てないです。今帰ってきたばかりなので。」

おっ!落ち着いて答えられてる。今帰ってきたのは本当の事だ。だから嘘じゃないぞ。

「そ…そうですか。」

 この人、かなり息切らせてるな。何か、タバコを多量に吸ってるのか、臭いぞ。

「見つけましたら連絡下さい。」

 そう言いながら一枚の紙切れを取り出した。紙切れと言うより、これは名刺か…えっ!?あきらちゃんの親父、税理士なの!?そもそも税理士って何だ?そう思いながら前を見ると、浩一さんはもう自宅へと去って行った。何か、安堵に近い感情とかが混み合って、喜べば良いのかよくわからないでいた。


「ふぅ…やっと…んっ?どうした?あきらちゃん。」

「と…トモくん…この家に…男の子がもう一人いるみたい…。」

 あ"っ!姐さん!そして、あいつか!

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