秋雨のカステラ
こんばんは
(or おはようございます or こんにちは)
ソーダ茶です
こちら現在2026年 1月22日の深夜 1時43分ごろよりお送りしています
今回は「お菓子短編」の3本目となる『秋雨のカステラ』をお届けします
拙いですが、楽しんでいただけたらと思います
サラサラと、雨の音がする
秋だから少し寒い
前を歩く先輩の黒髪がちらちらと見え隠れしている
なぜだか凛々しくて、すごく目を惹くものがある
こういうのが「映える」、というのだろうか
「ここ」
先輩がこちらに告げる
「先輩、今日親御さんは?」
「いつも、大体いない」
「そうなんですね」
なるほど、ふたりきり…なのか
「お邪魔します」
「どうぞ。傘立ては、そこ」
「ありがとうございます」
丁寧に案内される
「お茶、淹れるけど…」
「あぁ、はい。待ってます、ゆっくり」
「…紅茶と緑茶、…あと麦茶だけど。…何か飲めるものある?…他なら、何かジュース…とか」
「お茶、それなら好き嫌いはないですよ」
「…どれか、決めてほしい」
「んー、じゃあ紅茶。お願いします」
「…ん、わかった」
「慌てなくて大丈夫なんで、お構いなく」
「わかった…待ってて」
「はい、いってらっしゃい」
静かに先輩が捌ける
思ったより、部屋が広い
先輩と下校、初めてだ
先輩の家も、言わずもがなだけど
メッセージのチェックでもしようかな
スマホのロックを解除して弄んで過ごした
「…お待たせ」
先輩がお盆にお茶と、カステラ…?
「ありがとうございます」
…?
「先輩は、緑茶にしたんですね…」
「?…うん」
「全然、同じで良かったのに」
「うん。でも、そうしたかった…から」
「いえ、嬉しいですよ。ありがとうございます」
「…良かった」
こちらのティーカップにはベルガモットのいい香りが漂っている
アールグレイ、かな?
先輩の湯呑みには緑茶が入っている
「…っもし、紅茶が…カステラに合わなかったら、交換こ、できる…でしょ?」
「え、そのため…ですか。気遣いの鬼みたいですね」
「それほどではないと、…思う。麦茶のほうが、良かったら…ちょっと、困る」
「いや、紅茶で!紅茶がいいです」
「…フフ、…うん」
先輩が笑っている
こちらを向いて、だ
きれいに笑う人…だな
「…カステラは、苦手じゃ…ない?」
また、おずおずとした様子に戻ってしまった
「あぁ、全然。甘いもの好きですし」
「そう…」
やっと安心できたのか、目に見えてほっとしている表情になる
「でも、なんで家にある中からカステラだったんです?個人的には珍しいと思いましたけど…」
「貰い物で、…なんとなく。君と…カステラが食べたいなって、…そういう、気分だった」
「そうだったんですね」
「嫌、だった?」
「そんなわけ、ないです。先輩が、一緒に食べたいなって選んでくれたんでしょ?」
「…うん」
「嬉しいに決まってるじゃないですか」
「ほんとうに?」
「ほんとですよ。ほんとに!」
「なら、…いい」
「はい、ありがとうございます」
くすくす笑う声が聞こえる
ふわふわした心地がする
先輩も、こんな気持ちだったのかな?
ふかふかのカステラに、ほかほかのお茶
あったかくて、とても心地がいい
ね、先輩?
〈END〉
閲覧ありがとうございます
楽しんでいただけたなら幸いです
それでは




